初日の出は、一年の最初の夜明けで、多くの人が初日の出参りを行う習慣は、日本古来のものとされます。
元号が令和になって最初の初日の出は、令和2年の元旦となり、新元号で初めての日の出には、新しい時代に更なる期待を寄せるべく、例年以上に多くの人が初日の出を拝むため出かけようです。
私も、この記念すべき初日の出を撮影するべく、富士山と合わせて撮影できる本栖湖に向かいました。2019年大晦日の深夜に到着しましたが、深夜にもかかわらず多くの車が列をなしていました。数日前から、「元旦は晴れ!初日の出を見れる確率は高い!」との報道からがあり、多くの人が新時代の日の出を拝むために集まったと思いました。
車列から距離を置き、車の中で朝を待つことにし、あたりが薄っすらと明るくなってきたころに、撮影ポイントに出向かい日の出を待ちましたが、天気予報の晴れとした情報とは違い、厚い雲に覆われていたので、富士山からの日の出は見られませんでした。
しかし、多くの人があきらめて帰ったときに奇跡が起きました。
徐々に雲が消え太陽が現れたのです。手足も凍るような氷点下の気温の中、撮影に挑みました。富士山上の太陽は鮮やかな光を放ち、その下を行く雲には濃い色が着き、見方によっては龍が泳ぎ渡るようにも感じました。この先続く令和の時代を祝うかのような、めでたい初日の出に出会うことができました。不思議なことに、この数分後に富士山は再び雲に包まれます。
令和初日からもうすぐ1年の日を迎えます。作品を整理しながら振り返ってみると、この写真を撮影したときは、世界じゅうがこのような閉塞的な状況に見舞われわれることは、まったく予想していませんでした。でも、明けない夜は決してありません。この作品をご覧になったかたの心に、希望の光が灯ることを願っています。
(秋元隆良)