魂をきれいに浄化してシャキッとさせる祝詞
大祓詞は、1000年もの間受け継がれてきた、神道では最もスタンダードな祝詞です。般若心経と並び称されるほどポピュラーで、そのパワーには大きなものがあります。
でも、ときどき神社を参拝されるというかたや、家に神棚があるというかたでも、大祓詞を丸ごと奏上したことのあるかたは少ないのではないでしょうか。
私は、ビジネスマン向けに大祓詞のセミナーを行っていますが、実際、大祓詞に初めて触れたというかたも少なくありません。ですが、ひとたび大祓詞を知ると、誰もが強く引かれていくようです。そんな不思議な力を大祓詞は持っています。
初めて大祓詞に触れるかたに、私はこのように説明しています。例えば誰でも、出かける前にお風呂に入ったり、ヒゲを剃ったりしてシャキッとしますね。そんなふうに、魂をきれいに浄化して、シャキッとさせるのが大祓詞です。
これを怠っていると、魂はよどんだままになってしまって、何事もうまくいきません。でも日々、大祓詞を奏上すれば、本人はもちろん家族、社会、そして日本も浄化され、うまくいきやすくなります。
祝詞とは、そもそも神職が奏上して、一般人と神様をつないでくれるものです。神社で正式参拝をすると、大祓詞を奏上していただくことができますから、これもぜひお勧めしたいのですが、自分で奏上すると、神道の奥深さが行間から伝わってきますし、清々しくなってストレスの解消にもなります。
千度祓い、万度祓い(祓い言葉を千回、万回唱える修法)という言葉がありますが、万度はたいへんだとしても、千度ならば1日3回程度奏上すれば1年で達成できますから、十分に可能です。セミナーを受講したかたからは、千度祓いを達成したら人生が変わった、運気がよくなったという報告もいただいています。
大祓詞に登場する神様は5柱だけ
とはいえ、大祓詞を初めて見ると、なんだか難しそうだと尻込みしてしまうかたもいるかもしれません。そんなときは、神様の名前から入っていくのも1つの手です。
大祓詞はとても長いのですが、実は神様は5柱しか登場しません。この5柱を知るだけでも、神道の奥深さがわかりますから、早速見ていきましょう。
大祓詞の前半に出てくるのは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)です。皇御孫命=瓊瓊杵尊が降臨して日本の国を治めましたよ、出雲系の国津神(土着神)から伊勢系の天津神(高天原の神)にエネルギーチェンジしましたよ、という話をしています。
瓊瓊杵尊が三種の神器を携え、多くの神々を従えて高千穂に降臨する姿をイメージしてみてください。
そして、大祓詞の後半では、祓戸四神(はらえどよんしん)が登場します。祓戸とは禊を行う場のことで、禊と祓いをつかさどる四柱です。
祓戸四神は、とても人気があります。例えば出雲大社では、本殿に至るまで緩やかな坂を下ります。その途中に祓戸四神を祀る祓社があるのですが、こちらは参拝の大行列ができることも珍しくありません。
人気の瀬織津姫は祓戸四神のリーダー
そして祓戸四神の中でリーダーとなるのが、少し前から女性の間で大ブレイクしている瀬織津比売(せおりつひめ)です。アイドルグループで言ったら、センターのような存在ですね。
大祓詞の後半では、まず、この瀬織津比売が私たちの罪穢れを川に流します。
続いて、速開都比売(はやあきつひめ)が罪穢れをグルグル巻きにして海に沈めます。
それを気吹戸主(いぶきどぬし)がフーッと吹いて飛ばします。
速差須良比売(はやさすらひめ)がそれをキャッチして、どこかに持っていってしまいます。
これであなたの罪穢れは、跡形もなく消えました。
このように、大祓詞を全部そらで言えなくても、5柱の神様について語れるだけで神道の奥深さに触れることができますし、奏上するときにもより魂を込められるはずです。
喜び楽しむことで運は開けていく
祓戸四神に興味の出たかたにお勧めのスポットがあります。1つは、先ほどご紹介した出雲大社の祓社。もう1つは、同様に祓戸四神を祀る宮崎の速川神社です。
大祓詞には「速川の瀬に坐す瀬織津比売」という一節がありますが、速川神社のそばには、まさにこの速川が流れています。瀬織津比売ファンを連れて行くと「ここに座っておられたのか」と感激されます。
こうした話を聴いた後、改めて大祓詞を読み直してみると、なんだか楽しい内容に思えてきませんか。それでいいのです。神道は喜び楽しむことですから。そうすることで、さらに運も開けていくことでしょう。