女性の9割が足トラブルのリスク持ち
外反母趾、巻き爪、タコや魚の目。
足のトラブルの主な原因は、一般的に、足に合わない靴だと思われています。しかし私は「足に対する無関心さ」も問題だと考えます。
足に無関心なかたの多くは、立ち方・歩き方が乱れています。
猫背、おなかを突き出して立つ、足裏全体をペタペタ地面につけて歩くなどのクセがあり、無意識のうちに、足に負担をかけ続けているかたは、年齢を問わず少なくありません。このような習慣は、足の骨を徐々に変形させ、「開帳足」や「扁平足」を招きます。
開張足とは、足の横のアーチが崩れ、足の幅が広くなってしまう前足部の変形です。ハイヒールをよく履く人など、足の前方に過度の負担がかかり続けている場合には、特に発症が多いようです。現代の女性の約9割が、自覚はなくとも、開張足の傾向があるようです。
偏平足は、皆さんもご存じのとおり、足の縦のアーチの崩れです。
開張足や偏平足は、それ自体に激しい痛みはないため、病気と思う人はあまりいません。しかし、放置するとさまざまな足のトラブルにつながります。実際、フットケア外来の患者さんでは、外反母趾のあるかたはほぼ100%、開張足です。
開張足や偏平足から外反母趾を合併したり、巻き爪になったり、その巻いた爪が皮膚に食い込んで炎症が起きたりすることもあります。タコや魚の目などの皮膚の病変も、多くの場合、原因は足の骨の変形です。
これらの足のトラブルが悪化し、強い痛みを伴うと、歩くのが苦になり、結果的に、健康寿命が縮まるリスクにもつながります。
日本人は自分の足に無関心すぎる
残念なことですが、日本人は、全般に足に対して無頓着です。
ヨーロッパ諸国では、フットケアを行うことができる国家資格があり、病院や薬局などにはフットケア施設が必ずと言っていいほど併設されていて、誰でも気軽にフットケア師による施術を受けられます。
フットケアが積極的に行われているのは、足をたいせつにする意識が広く浸透しているからでしょう。
一方の日本人は「足は汚い」との思い込みが強いためか、人に足を見られたり触られたりするのを恥じらいがちで、自分の足に無関心です。
しかし、自分の足に関心を持ち、ていねいに洗ったりもんだりと、適切にケアする習慣をつけておくと、年を取っても、美しさと歩きやすさを兼ね備えた、健康な足でいられるのです。
顔と同じように足もていねいに洗いたい
足に負担をかけない姿勢を心がけるとともに、自分の足に関心を持ち、いたわってほしいと思います。
下に、足指の基本的なセルフケア法をまとめました。外反母趾、足の爪や皮膚の病変を防いだり改善したりするために、正しい姿勢や歩き方と同じくらい大事なのが、入浴中と入浴後のケアです。
顔や手をていねいにケアするのと同じように、足も、やさしく洗い、拭き上げ、マッサージしましょう。
高価なインソールやコンフォートシューズを買いに行くよりも手軽に、大きな効果を得られます。
ポイントは2つだけ!立ち方と歩き方を変えれば足のトラブルは避けられる!
◆外反母趾や巻き爪の根本的な原因である、開張足・偏平足を防ぎ、治す基本のキです。今日からぜひ心がけましょう。
①軽くを胸を張って、背すじを伸ばす(ただし反らし過ぎないこと)
②歩くときは、かかと・足の第5指の付け根、第1指の付け根、の3点で重心を移動させる(正しい重心移動で足トラブル改善!)。立つときも、この3点に重心を乗せる
◆正しい重心移動で足トラブル改善!
①かかとで着地
②重心を小指の付け根に移動
③重心に親指の付け根に移動し、親指で地面を蹴り上げる
外反母趾・巻き爪・陥入爪を撃退!足指のセルフケア
◆歯ブラシ洗い
歯ブラシ洗いだけで、爪のトラブルが改善したかたもいます。やわらかい歯ブラシを用意し、皮脂を取り過ぎるとよくないので、2~3日に1回行います
※足水虫やがあるかたは、自分専用の歯ブラシを用意する
①少量の石鹸の泡で、汚れを落とす。爪、爪の周りの溝や生え際など、角質のたまりやすい部分を歯ブラシでやさしくこする
②石鹸をていねいに洗い流す
◆拭く
バスマットで足裏の水滴を取るだけではNG。水分が皮膚に残っていると不衛生ですし、乾燥の原因にもなります
①やわらかいタオルで、指の間、爪の周りの水分をていねいに拭き上げる。こすらず、押さえるように拭くと、皮膚や爪が傷つかない
②タオルとバスマットは清潔に。洗濯をこまめに行う
◆もむ
足指、爪、爪の周囲をやさしくもむと、指先の筋肉やの緊張が解け、足の柔軟低下(もしくは)も防げます。保湿クリームを使い、やさしくもみましょう
※お勧めはワセリンや尿素入りクリーム。爪周辺は、爪専用のオイルやクリームもよい
①保湿クリームを手に取って、ふくらはぎ、かかと、足裏、指先、爪と爪の周囲、の順にマッサージ。手のひらや指の腹でやさしく圧をかける。足裏は強めに押してもよい
②指は付け根から指先へ、円を描くようにもむ
③爪と爪の周囲は重点的に。先端から根元に向かってやさしくもむ
④爪の生え際をつまみ、指先を刺激する
★冷えや乾燥を防ぎ、クリームを浸透させるため、もんだ後は靴下を履くといい