なぜ冷えは万病の元なのか?
ココア豆乳は、体の冷えや自律神経の乱れに悩んでいるかたにお勧めしたい飲み物です。
冷えは今や女性特有の症状ではなく、子どもや男性まで、年齢や性別を問わず見られる症状になりました。
東洋医学では、「冷えは万病の元」とも言われ、体の不調を知らせるシグナルだと捉えられています。そのため私は、ライフワークとして冷えの治療に取り組んできました。
なぜ冷えが万病の元なのかと言えば、東洋医学でいう生体の機能の「気・血・水」のバランスを崩してしまうからです。
生体エネルギーである「気」が乱れると、不眠やうつといったストレス性の不調や病気にかかりやすくなります。血液やホルモンを指す「血」が乱れると、頭痛や肩こり、のぼせ、生理不順など、血液循環の悪さによる症状が引き起こされます。
体液や免疫力を指す「水」が乱れると、むくみや頭痛、便秘、耳鳴りなどの症状が表れるのです。
体が冷えると、まず血の巡りが悪くなって、続いて水分代謝や、気の巡りも悪くなってしまいます。冷えは全身の不調にかかわってくるので、早期に解消することが重要です。
これを西洋医学の面からいうと、「冷えは自律神経に著しい悪影響を与える」ということになります。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、バランスをとりながら体中の機能を調節しています。交感神経は心身を活発にし、副交感神経は心身をリラックスさせます。血流や内臓の働きも自動調節しています。
しかし、冷えが続くと、この自律神経のバランスが乱れて、さまざまな症状が起きてしまうのです。
ココアを飲むと保温効果が長く続く
冷えを改善する飲み物として、今注目されているのがココアです。私たちが行った実験でも、ココアには体を温める強い作用があり、しかもその効果は持続することが明らかになりました。
実験では、ココア、コーヒー、緑茶、お湯の4種類の温かい飲み物を飲んでもらい、手の甲の温度を測定しました。室温は25℃です。
結果は劇的でした。ココアを飲むと、10分後には体の表面温度が著しく上昇し、保温効果がいちばん長く持続したのです。
コーヒーや緑茶、お湯は、上昇した温度はココアには及ばず、保温効果もそれほど持続しませんでした。
冷えは、手足など末端の血流が悪くなっていることも原因の1つです。そこで、被験者に温かいココアとコーヒーを飲んでもらい、手の指先の血流量を測定しました。すると、ココアは明らかに手の指先の血流量が増加していたのです。
これらの実験により、ココアは体を温めて、冷え改善の強い味方になることがわかりました。
自律神経を整えるココアの成分
また、ココアに含まれるテオブロミンという成分には、自律神経を安定させる作用があります。
ココアのもう1つの重要な成分が、カカオポリフェノールです。カカオポリフェノールには、老化や病気の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があり、抗がん作用や、抗動脈硬化作用なども認められています。
ほかにも、肌の回復を早めたり、便秘、便臭の改善、細菌感染を予防したりする効果なども確かめられています。
大昔、ヨーロッパの王侯貴族の間では、ココアは薬として飲まれてきました。ココアやチョコレートの原料となるカカオ豆にはいろいろな働きがあると知られていたのでしょう。
ココア豆乳の相方である豆乳にも、健康づくりに有効な成分が豊富です。代表的なのは、女性ホルモンの1つのエストロゲンと似た働きをするイソフラボンという成分です。
エストロゲンが減少すると、骨塩量が減って骨粗鬆症にかかりやすくなったり、コレステロールが増えて、生活習慣病のリスクが高まったりします。更年期の不快な諸症状もエストロゲンの減少によって引き起こされています。豆乳には、エストロゲンの減少によって起こるさまざまな不調を緩和する効果が期待できるのです。
以上のような効果が期待できるココアと豆乳の組合せは、作り方も簡単なので、体の冷えや自律神経の乱れ、更年期の諸症状に悩んでいるかたにはぴったりの飲み物です。