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【ダイヤモンドダスト】の写真~見るだけで脳が休まる!雪原の神秘の輝き

極寒の冬、北海道は美瑛・富良野。

限られた条件の下でのみ、大自然が作り出す奇跡の演出が「ダイヤモンドダスト」。

神秘的な輝きは見る人を魅了し、脳も心も癒すといいます。

「輝く時間」

 【 北海道美瑛町 】 1/8 AM8:00 快晴

光が木に当たり浮かび上がると、サンピラー(ダイヤモンドダストが光の柱のように見える現象)も輝きだした。心が浄化されるような美しさ

「七色のダイヤモンドダスト」

【北海道美瑛町】2/6 AM7:30 快晴

太陽の角度によって、ダイヤモンドダストは虹色に美しく輝く

「荘厳な輝き」

 【 北海道美瑛町 】 12/22 AM8:00 快晴

太陽が低いと霧氷も太陽柱も黄金色に輝き出す

「目覚めの刻」

 【 北海道美瑛町 】 2/18 AM7:00 快晴

太陽が登り始めるとダイヤモンドダストが一粒ずつ輝き、光の柱となる

「賛歌」

 【 北海道上富良野町 】 1/19 PM3:30 快晴

1日が終わり日が沈む瞬間、サンピラーが黄金色に輝きはじめた

奇跡の気候条件が織りなす荘厳なダイヤモンドダストは脳や心を優しく癒す

写真家 高橋真澄

 自然には、人智を越えたパワーが秘められています。ときに私たちの生命を脅かすこともありますが、言葉では言い尽くせないほどの美しさを見せてくれることもあります。

 私が撮影拠点としている北海道の美瑛・富良野は、極寒の季節になると、まさに自然の力でしかなし得ない「ダイヤモンドダスト」と「サンピラー」が現れます。

 ダイヤモンドダストは、凍った空気中の水蒸気の結晶に、太陽の光が反射する現象です。ダイヤモンドダストが光の柱のように見えるのがサンピラーです。繊細で美しい光の粒が自由奔放に舞う様子を初めて見た人は、必ずといっていいほど息をのみ、言葉を失います。

 ダイヤモンドダストは、非常に限られた条件でしか見ることができません。気温はマイナス15~20℃程度、これより寒くても見ることができません。さらに晴天で、無風であり、適度な湿度がある、日の出ないしは日没の数時間だけです。

 通常、気温が低いと湿度は下がり、空気は乾燥します。しかし、ここ美瑛・富良野は盆地という地形のおかげで、極寒でありながら適度な湿度が保たれている、奇跡的に条件がそろった土地なのです。

ダイヤモンドダストの映像を流す病院も

 そんな美瑛・富良野でも、ダイヤモンドダストを観測できるのは、シーズン中でも月に2回ほどです。ダイヤモンドダストをカメラに収めたくて、10年追いかけていても一度も遭遇しないという人もいます。

 それでも、ダイヤモンドダストを見たいという人は後を絶ちません。輝きながら舞い上がる小さな光の粒には、人の心を惹きつける何かがあるのでしょう。

 以前、北海道大学病院のロビーで、私の風景写真展が開催されました。患者さんを少しでも癒すことができたらと、病院の医師が企画してくれたものでした。その医師は腫瘍学の専門なのですが、抗ガン剤の治療を受ける患者さんが治療中にベッドで横になっているときも、ベッドサイドのテレビでダイヤモンドダストの映像を流してくれています。

 確かにダイヤモンドダストの放つ光の心地よさには、癒しにつながる何かがあるように思えます。

美しいダイヤモンドダストの写真を眺めると脳が活性化し自律神経のバランスが整う

医療社団法人くどうちあき脳神経外科クリニック理事長・院長

 雪原に舞う光の宝石、ダイヤモンドダスト。銀色に光輝く太陽柱。高橋真澄さんの作品を見たとき、私はその美しさに圧倒されると同時に、大いなる自然界の営みに畏怖の念と、感動がこみあげてきました。

 私は脳外科医ですが、うつ病や認知症の治療にも取り組み、多くの補完療法を導入しています。

 高橋さんの作品に胸を打たれた私は、美しい風景写真に補完療法としての可能性を感じました。そこで、これらの写真が、脳にどのような影響を与えるのか、エビデンス(科学的な根拠)を取ることにしました。

 私が用いているのは、コンピュータで脳波を3次元で解析する技術です。これにより、脳の活動状態を色分けし、MRI画像のように立体的に見ることができます。代表的な3色のうち、赤は脳が非常に活性化している状態、青は脳の活動が鎮静化・単調化している状態、緑は安定した普段の状態を示します。

 実験には、3名の健常な女性に協力していただき、

①写真を見る前の脳の状態

②写真を見た後の脳の状態

③写真を見た前後での脳の元気度

を調べました。

 結果は、ダイヤモンドダストを見た後、3名全員の脳が緑や青の状態から赤に変化しました。下のAさん(42歳)の画像で、脳が変化する様子がよくわかると思います。

自律神経のバランスを整えることにつながる

 この結果に、私は大きな希望を感じました。なぜなら、実際、現地に風景を見に行かなくても、高橋さんの作品からあふれるエネルギーは見る人に作用し、脳を活性化するということがわかったからです。

 一般に人はきれいなものを見ると、自律神経のバランスがよくなり、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になるといわれています。「きれい!」と感動すると、それがスイッチとなり、副交感神経が優位になるものと思われます。

 美しい風景写真を眺めることは、脳の活性化と自律神経のバランスを整えることにつながり、健康維持の一助となります。今後は難病の治療に、風景写真を生かす可能性を探りたいと考えています。