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【ガチ筋トレのやり方】糖質を食べてもOK!高強度筋トレが軸の「王城メソッド」

カゼが治らない食べると吐く症状が続く

ちはっす。王城恋太です。
私は10年前の2012年2月に、糖尿病と診断されました。
自分なりのやり方で、3カ月で検査数値を正常値に導き、糖尿病は完治。その理論とやり方を綴ったブログは、ありがたいことに多くのかたに読んでいただいています。

今回は『ゆほびかweb』読者のみなさんにも、私が実践した「王城メソッド」をご紹介しましょう。

私の糖尿病が発覚したのは、カゼのような症状が1カ月も続き、病院を訪れたときのことです。その頃には、物を食べると吐くようになっていました。

血液検査をすると、空腹時血糖値は360㎎/㎗(基準値は110㎎/㎗未満)、過去1カ月の平均的な血糖値を表すヘモグロビンA1cは9・5%(基準値は6・2%以下)もあり、誰が見ても紛れもないりっぱな糖尿病と判明したのです。

糖尿病と診断されて驚きはしましたが、当時の私には心当たりがおおいにありました。
高校、大学では空手、社会人になってからはキックボクシングをしていたものの、40歳過ぎでそれらをやめて以来、10年近く運動は何もしていませんでした。その上、毎日外食を繰り返し、体重は最高で90㎏台半ばまで増えていたのです(身長は178㎝)。

そのときの私は、糖尿病=「デブがなる病気」という認識くらいで、病気の知識は何もありませんでした。医者からは「この病気は治らないから一生つきあっていくしかない」と言われ、教育入院を勧められましたが、どうにも納得いきません。
そこで「教育は自分でします」と言って入院を断り、まずは糖尿病を正しく理解することから始めました。

ちなみに、私は医師でもなければ、医療や健康関連の仕事とも一切関係のないビジネスマンです。ただ、糖尿病に関しては、診断を受けてからの2週間、図書館に通い詰め、みっちり勉強しました。専門書や世界の論文を片っ端から読み、何が正しくて、何が間違っているかをきちんと精査したつもりです。

内臓脂肪を減らすことが膵臓を元気にする

その結果わかったことは、糖尿病は治らない病気ではないということです。ここで注意すべきは、単に血糖値が下がっただけでは「糖尿病が治った」とは言えないという点です。

糖尿病とは、インスリンの機能的低下により、細胞が糖を取り込めなくなる病気です。それによって起こる症状の1つが、高血糖です。ですから、血糖値だけ下げても、それは対症療法にすぎません。

本当の意味での糖尿病の治癒とは、インスリンの機能的低下が改善し、細胞が糖を取り込めるようになること。

つまり、一生、糖質をガマンして血糖値を上げないように過ごすのではなく、糖質を摂取しても血糖値が正常値を超えない体になることが、「糖尿病が治る」ということです。

そして、糖尿病を治すために重要なポイントは、内臓脂肪を減らすことです。

インスリンは、膵臓のβ細胞から分泌されます。糖尿病患者は、β細胞が死滅し減っていくことで、インスリンの分泌が不足するといわれています。

そのβ細胞が死滅する大きな原因の1つが、内臓脂肪が増えることなのです。

欧州糖尿病学会の学会誌に掲載された論文(※)では、2型糖尿病患者に1日600㎉の超低カロリー食を続けさせたら、膵臓の脂肪含有量が低下し、インスリン分泌が正常化して、8週間後には糖代謝が正常になったという報告もあります。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-011-2204-7

この事実に基づき、内臓脂肪を減らす手段として行き着いたのが、カロリー制限食と高強度筋トレを軸とした「王城メソッド」です。

血中の糖を取り込む能力を高めるには
「スクワット」と「デッドリフト」が最強!

歩くだけじゃ脂肪は減らない

私が自らの糖尿病を完治させた「王城メソッド」のやり方を紹介します。
実はこれ、食事と運動が基本という意味では、糖尿病学会の治療ガイドラインと同じです。違うのは、糖尿病学会が歩行をメインとした運動を勧めているのに対し、王城メソッドでは高強度筋トレを行う点です。

もちろん、歩行のような有酸素運動が好きなかたは、それでもかまいません。ただ、前ページで述べたとおり、糖尿病を治すためのポイントは、脂肪を減らすことです。体に蓄えられる脂肪の量には個人差があり、それぞれの上限を超えたときに糖尿病が発症すると考えられています。

カロリー制限や有酸素運動で体重が落ちても、筋肉まで落ちてしまったら、基礎代謝量が下がります。

そうなると、今までより少ない摂取量でカロリー過多となり、再び脂肪が蓄積しやすい体になってしまいます。そして脂肪が上限に到達し、糖尿病が再発するという悪循環に陥ります。

それを防ぐには、筋肉をつけながら脂肪を落とすことが大切。そのため、王城メソッドでは筋肉のつきにくい有酸素運動ではなく、高強度筋トレを推奨しているのです。

また、筋肉細胞の中にある「GLUT4」は、血中の糖をつかまえて吸収する作用があります。筋トレをすると、このGLUT4が増えるため、耐糖能(上昇した血糖値を正常に戻す能力)も劇的に改善します。

行う筋トレは、「スクワット」と「デッドリフト」の2つです。
やり方は後で詳しく紹介していますが、鍛えたい筋肉にちゃんと効かせるには、正しいフォームで行うことが重要です。
デッドリフトをするにはバーベルも必要なので、ジムに入会することを強くお勧めします。

重すぎる重量はフォームを崩し、ケガの元になるので、無理のない重量で行ってください。バーベルは重りを使わず、バーだけでもOKです。スクワットはバーベルなしでもかまいません。

この2つの筋トレを、とにかく自分ができる「限界まで」行います。

恐らく、次の日は全身が筋肉痛になるでしょう。その筋肉痛が治まるまで、筋トレはやらないほうが安全です。
筋肉の分解・合成には48時間かかるといわれているので、それまでに筋肉痛が治まったとしても、筋トレをやるのは2日に1回がベストです。スクワットとデッドリフトを、1日交代で行ってもよいでしょう。

コンビニやファミレスの食事でも大丈夫!

次に、食事について説明します。食事はカロリー制限が基本です。

1日の摂取カロリーが、標準体重の標準摂取カロリー内に収まるよう、特に最初のうちはきっちり計算して食べてください(1日の摂取カロリー量は左ページの表参照)。

私は質よりカロリー重視で、コンビニやスーパーで買える、カロリーが明記された食品をよく利用していました。ファミレスもカロリー表示がされているので便利です。

最も避けたいのは、飽和脂肪酸の多い食品(牛や豚、加工肉、バターやチーズ、ココナッツ、パーム油など)です。

食事療法の一番の目的は、体の脂肪を減らすことです。脂肪を減らしたいのに脂肪をとっていたのでは、何の意味もありません。

ただし、筋トレをして筋肉を増やす分、たんぱく質はしっかり摂取する必要があります。理想は、魚、鶏ムネ肉やササミなど、食事からの摂取です。とはいえ、必要なたんぱく質量を食事で確保しようと思うと、どうしてもカロリーが高くなってしまいます。そこで、私はプロテインで不足分を補っていました。

炭水化物は精製されたものより、玄米やオートミールなどの全粒穀物のほうが、血糖値は上がりにくいです。甘いものはもちろん絶対にNGです。デザートが欲しければ果物にしましょう。

なお、糖質は決して悪者ではありません。糖質を制限しすぎると、耐糖能が低下し、おにぎり1個食べただけで血糖値が急上昇してしまう体になります。

糖質をとっても血糖値が正常値を保てる体に戻したいなら、糖質制限は絶対にお勧めしません。

発症後間もないデブなら3カ月で治る!

筋トレもカロリー制限も、できない理由を並べる人は必ずいます。そういう人に言えるのはただ一つ、「病気を治したいならつべこべ言わず、まず3カ月やってみろ!」

それだけです。

私と同じデブで2型糖尿病を発症して間もない人なら、3カ月きちんと実践すれば、糖尿病は治ります。その期間さえがんばれば、後はまた好きなものが食べられるのです。

当然、治ってからも脂肪が上限値に達しない程度に、運動は続ける必要があるでしょう。ただし、それは高強度の筋トレでなくても、お楽しみ程度で十分です。

私のブログには、王城メソッドを実践して糖尿病が治ったという報告も多数寄せられています。

検診で糖尿病が発覚した自称「デブ親父」さんは、糖質制限を3カ月続けたら、小盛りの天丼を食べただけで血糖値が190㎎/㎗まで上がるようになったのだとか。

でも、私のブログを読んで一念発起。糖質制限をやめて、死ぬ気で筋トレに励んだところ、3カ月後には血糖値が落ち着き、ラーメンやケーキを食べても食後2時間後血糖値は120㎎/㎗以下になったそうです(食後血糖値の正常値は140㎎/㎗以下)。

妊娠糖尿病で、2人の子どもを抱えて生きる希望をなくしていた女性も、王城メソッドを実践。100㎎/㎗を超えていた空腹時血糖値は、3カ月後には74㎎/㎗に(空腹時血糖値の基準値は109㎎/㎗以下)。プチトマトを4個食べただけで食後1時間後血糖値が175㎎/㎗に達していたのが、ピザ1人前を食べても140㎎/㎗、2時間後は105㎎/㎗まで下がるようになったと言います。精神的にも落ち着き、自信を持って育児ができるようになったと、感動の報告をしてくれました。

ほかにも、ヘモグロビンA1c(※)が15%以上と測定不能だったところから、4カ月で5・2%に下がったという驚きの報告もありました。やせ型の人でも、血糖値が正常値に戻った例もあります。

とにかく3カ月、実践あるのみ!流した汗は嘘をつきません。

※過去1カ月の平均的な血糖値を表す数値で正常値は6.2%以下

「ガチ筋トレ」のやり方

筋トレ初心者は、必ずバーベルのあるジムに入会してトレーナーにフォームを教わること。悪いフォームはケガや痛みの元!! 運動できない体になったら糖尿病は改善できません!

❶スクワット

①足を肩幅程度に開いて背筋を伸ばして立ち、両手を前に伸ばす
②骨盤を前傾させて出っ尻にする
③お尻を後ろに引いてイスに腰掛けるようなイメージでしゃがみ、ゆっくり立つ

スクワット(バーベルを使う場合)

重量/フォームが崩れない程度のやや軽めの重量で行う。重りをつけずにバーベルのバーだけでもOK

①肩甲骨を寄せて、首の出っぱった骨の下あたりでバーベルをかつぐ
②以降のやり方は、バーベルを使わないときと同じ

❷デッドリフト

重量/フォームが崩れない程度のやや軽めの重量で行う。重りをつけずにバーベルのバーだけでもOK

①足を肩幅に開いて立つ。肩幅よりやや広めの位置でバーベルを持つ
②背中をまっすぐ伸ばし、骨盤を前傾させて出っ尻にする
③息を吸って、その息をおなかに落として腹圧を高める
ひざを軽く曲げ、背中はまっすぐなまま体を前傾させる。

ハムストリングのストレッチを感じる位置まで前傾したら、出っ尻がキープできるようにひざを曲げて、さらにバーベルを下ろす
※バーベルは下まで下ろしてもよいし、すねの下あたりまででもよい

⑤全身の力を使ってバーベルを引っこ抜くように一気に起き上がり、肩を落として肩甲骨を寄せる。
※足幅、骨盤を前傾させる角度、バーベルを下ろす位置は、各自の可動域に合わせて調整する

注意点

  • 体調が悪いときは迷わず休む
  • できないことは無理にやらない。その代わり、できることは限界の限界までやりきる
  • 1日やったら2日休む
  • 回数・セット数は目安。あくまでも「限界まで」行うことが重要。限界までやっているなら、回数・セット数とも減らしてOK
  • 低強度からスタートし、日を追うごとに強度を増す(バーベルの重量を増やす)ことを目標にする。かなりの筋肉痛になるのは覚悟する
  • とにかく3カ月は真剣に行う。甘い物、揚げ物は一切食べない
  • 薬を服用している人は主治医に相談し、低血糖に気をつける
この記事は『ゆほびか10月号に掲載されています