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【ショウガのウマい活用法】体が芯から温まり免疫力アップ!  美味!ジンジャーみりんシロップ

手軽に体を温めて冬を乗り切り、元気に春を迎えるために役立てたいのが、ショウガです。ショウガの辛み成分は、熱を加えると体を芯から温めるショウガオールになるからです。

ここでは、簡単に作れておいしい「ジンジャーみりんシロップ」と、それを使ったドリンクや利用法をご紹介。砂糖の代わりに本みりんを使うとメリット大なのです!

上品な甘さでショウガの薬効成分が丸ごととれる「ジンジャーみりんシロップ」

 栃木県の農家で生まれ育った私にとって、実家の畑で栽培していたショウガは、寒い季節に欠かせない食べ物でした。

 夏に食べる新ショウガも爽やかでおいしいのですが、冬のショウガは辛みがピリリと効いて、これもまた癖になる味。料理に使うのはもちろんのこと、すりおろしたショウガをお湯や紅茶などの温かい飲み物に入れて、よく飲んでいました。

 ショウガをとると体が芯からポカポカと温まるので、今でも冬になるとショウガは食卓の必需品です。

 とはいえ、ショウガは保存が難しく、使いかけのショウガを冷蔵庫に入れておくと、切り口からカビが生えたり、乾燥して味が落ちたりしてしまいます。そこで私は、手軽においしくショウガをとれる保存食をいろいろと作ってきました。

 その1つが、ジンジャーシロップです。ショウガを煮詰めてシロップにしておけば、毎回すりおろしたり刻んだりする手間が省けます。そのまま飲み物に溶かすだけで、簡単にジンジャードリンクが楽しめます。

保存性も高まるので、作り置きができます。ショウガを加熱すると、体を温める作用のあるショウガオールという成分も増えるので、寒い季節にはぴったりです。

 ジンジャーシロップの作り方はいろいろありますが、私は健康効果と活用範囲の広さを重視して、すりおろしたショウガを「本みりん」に加えて煮込むレシピを考案しました。

 材料はこの2つだけで、砂糖やハチミツなどの甘味料は加えません。その理由を説明しましょう。

本みりんを使うと体にやさしい自然な甘さに

 本みりんは、うるち米で作った米糀に、蒸したもち米や焼酎(またはアルコール)を加えて仕込み、40~60日かけて糖化・熟成させて作られる酒類調味料です。45%以上の糖分と11~14%のアルコールが含まれており、料理に甘みとコクを加え、食材のテリを出したり、煮崩れを防いだりする効果もあります。

 シロップを作る際、砂糖を使うのが一般的ですが、健康志向の人のなかには、砂糖をたっぷり入れることに抵抗感を覚える人が少なくありません。しかし、砂糖と本みりんでは、糖分の中身が違います。

 砂糖はショ糖が主成分なのに対し、本みりんの糖分は、麹菌の酵素の働きで、もち米のでんぷんやたんぱく質が分解されてできた、自然な糖分です。

ブドウ糖など単糖類のほか、オリゴ糖など数種類の多糖類が含まれており、旨み成分のアミノ酸も豊富で、上品でまろやかな甘みが特徴です。砂糖に比べると血糖値を上げにくいので、高血糖が気になる人でも安心して使えます。

 本みりんにはアルコールが含まれているため、沸騰させてアルコールを蒸発させる「煮切り」が必要です。ジンジャーみりんシロップは本みりんを煮詰めて作るので、その過程で自然にアルコール分が飛びます。

 つまり、砂糖の代わりに本みりんを使うことで、体にやさしい、すっきりとした自然な甘さのシロップに仕上げることができ、本みりんならではの旨みや風味も加わり、味に深みが出るのです。

 ちなみに、みりんとして一般に販売されている商品には、大きく分けて「本みりん」と「みりん風調味料」があります。

 本みりんが「酒類」として扱われるのに対し、みりん風調味料はアルコール分1%未満の調味料です。みりん風調味料は、ブドウ糖や水あめなどの糖類に、旨み成分や酸味料、香料などを加えて作られており、発酵は行われていません。

 ジンジャーみりんシロップを作る際は、みりん風調味料ではなく、本みりんを使ってください。また、今回ご紹介するレシピでは、ショウガを皮つきのまま、すりおろして使用します。

ショウガの薬効成分は皮に近い部分に多く含まれているので、丸ごと使用することによって、ショウガの薬効成分をもれなくとることができます。

飲み物だけでなく毎日の料理にも大活躍

 いちばん手軽なジンジャーみりんシロップの活用法は、飲み物に入れること。シロップを約10倍の水などで薄めると、簡単にジンジャードリンクができます。

 お湯で割ってショウガ湯として飲むほか、牛乳や豆乳とも相性がいいので、ジンジャーチャイやホットジンジャー豆乳も、ぜひ試してみてください。甘みがもの足りない場合は、ハチミツやメープルシロップを加えるとよいでしょう。

 ジンジャーみりんシロップはジャムに近い食感なので、そのままヨーグルトなどにかけても、おいしくいただけます。毎日の料理にも、ジンジャーみりんシロップは大いに活用できます。

 特にお勧めなのは、シロップとしょうゆを1対1の割合で混ぜた「万能だれ」。定番おかずの豚のショウガ焼きも、この万能だれ1つで味が決まり、いつもよりワンランク上の上品な味に仕上がります。

 甘さが控えめで、素材の味を消さずにコクとショウガのパンチを加えてくれるので、鶏肉にもみ込んで唐揚げの下味をつけたり、煮物の隠し味に使ったり、万能だれと味噌などを混ぜて青菜の和え物にしたりと、さまざまな料理に使えます。

 ジンジャーみりんシロップは、油や酸味との相性も抜群です。ドレッシングに加えると、酢の酸味がやわらかくなり、油でショウガの刺激もまろやかになります。いろいろな料理に活用して、わが家のショウガ料理のレパートリーを増やしていきましょう。

 私は今回、レシピ作成のためにジンジャーみりんシロップを使った料理をたくさん試作し、毎日食べていました。すると、いつも36.4~36.5℃だった平熱が、36.7℃と、約0.3℃も上がったのです。

 ショウガをとると、体の中からポカポカと温まり、「燃えてる!」という感じがしますが、実際に体温も上がるのです。皆さんもぜひ、ジンジャーみりんシロップで、冷えとは無縁な体を手に入れてください。

以降では、ジンジャーみりんシロップの作り方と、それを活用したドリンクや料理のレシピをご紹介します。

ジンジャーみりんシロップの作り方

【 材料 】

【 作り方 】

1 ショウガをよく洗い、皮付きのまますりおろす。

2 鍋に1と本みりんを入れ、中火にかける。

3 沸騰したら弱火にし、コトコトとした状態で20分間煮詰める。へらでこすると一瞬お鍋の筋が見える程度を目安に火を止める。

4 粗熱がとれたら、清潔な保存瓶に入れ、冷めたら冷蔵庫で保存する。

5 2週間程度を目安に食べきる。

※日がたつにつれて糖分が結晶化してペースト状になるが、問題ない

ジンジャーみりんシロップ活用術①飲み物で楽しむ

シロップを約10倍の水などで薄めると、簡単にショウガドリンクができます。牛乳や豆乳との相性もよく、アレンジも自在。ここでは体ポカポカ効果抜群のホットドリンク4種類をご紹介します。

ショウガ湯

シンプルなお湯割りは、朝の1杯に最適。体が芯から温まり、ピリリとしたショウガの刺激でシャキッと目が覚めます。

【 材料 】 1人分

ジンジャーみりんシロップ 大さじ1

熱湯 150

【 作り方 】

❶耐熱カップにシロップを入れて、熱湯を注ぎ混ぜる。※甘さが欲しいときは、お好みではちみつやメープルシロップを加えてもよい。

ホットジンジャーレモネード

レモンの酸味が爽やかなホットドリンク。暑い季節には、冷たい水や炭酸水で作るのもいいですね。

【 材料 】 1人分

ジンジャーみりんシロップ 大さじ1

熱湯 150 

レモン汁 大さじ1/2

はちみつ 小さじ2

レモンスライス 1

【 作り方 】

❶耐熱カップにシロップ、レモン汁、はちみつを入れ、熱湯を注ぎ混ぜる。

❷耐熱グラスに注ぎ、レモンスライスを浮かべる。

ジンジャーチャイ

チャイ(スパイスを効かせたインド風ミルクティー)にアレンジ。煮出さずに、電子レンジで簡単に作れるのも魅力です。

【 材料 】 1~2人分

ジンジャーみりんシロップ 大さじ2

紅茶 ティーバッグ2

熱湯 100

牛乳 200

シナモンパウダー 小さじ1/4

【 作り方 】

❶熱湯にティーバッグを入れ、1分間置き、濃い目の紅茶を蒸し出す。

❷耐熱カップに牛乳と❶、シロップ、シナモンパウダーを入れて混ぜ、600wの電子レンジで2分間加熱し温める。

※甘さが欲しいときは、お好みではちみつやメープルシロップを加えてもよい

ホットジンジャー豆乳

コクのある豆乳にシロップの甘さとショウガのパンチが加わり、温かくてホッとできるドリンクに。牛乳で作ってもOK。

【 材料 】 1人分

ジンジャーみりんシロップ 大さじ1

無調整豆乳 150㎖

【 作り方 】

❶耐熱カップに豆乳と、シロップを入れて混ぜ、600wの電子レンジで1分30秒加熱し温める。

※甘さが欲しいときは、お好みではちみつやメープルシロップを加えてもよい

ジンジャーみりんシロップ活用術②そのままかける

やさしい甘さとショウガの刺激が、ヨーグルトに好相性。パンやホットケーキ、果物などにかけるのもお勧めです。

ヨーグルトのジンジャーみりんがけ

ヨーグルト100gにジンジャーみりん

シロップを小さじ2かけていただく。

ジンジャーみりんシロップ活用術③万能だれにする

ジンジャーみりんシロップとしょうゆを1対1の割合で混ぜると「万能だれ」に。これ1つで料理の味が決まります。

【 材料 】 できあがり約200㎖

ジンジャーみりん

シロップ 100

しょうゆ 100

【 作り方 】

すべての材料を混ぜる。冷蔵庫で2週間保存可能。

豚バラとタマネギのジンジャーみりん炒め

【 材料 】 2人分

豚バラ肉 200

タマネギ 1/2

ゴマ油 小さじ1

万能だれ 大さじ3

『作り方』

❶豚バラ肉は5㎝幅に切る。タマネギはくし切りにする。

❷フライパンにゴマ油を熱し、タマネギを炒め、

 しんなりしたら豚バラ肉も加えて炒める。

❸豚バラ肉に火が通ったら、万能だれを加えさっと炒める。

ジンジャーみりんシロップ活用術④ドレッシングにする

ショウガの風味が効いた手作りドレッシングに。オイルはお好みで、ゴマ油を使ってもおいしくできます。

【 材料 】 できあがり約100㎖

ジンジャーみりん

シロップ 大さじ2

お酢 大さじ4

オリーブオイル 大さじ2

小さじ1

ブラックペッパー 少々

【 作り方 】

すべての材料を混ぜる。冷蔵庫で5日間保存可能。

季節野菜のジンジャーみりんサラダ

一口大に切った季節の野菜にジンジャーみりんドレッシングを振りかけていただく。


医師解説【ショウガの薬効】

イシハラクリニック副院長/石原新菜(いしはら にいな)

1980 年、長崎県生まれ。小学2 年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2006 年、帝京大学医学部卒業。同大学病院で2 年間の研修医を経て、父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療に当たっている。テレビや雑誌でも活躍。『ショウガで温活!病気知らず』(マキノ出版ムック)など、ショウガを紹介する書籍も多い。

体を内側から温めるのは季節を問わずたいせつ

 私が普段の診療で主に処方する約150種類の漢方薬のうち、7割5分にショウガが配合されています。

 ショウガの薬効は実に多彩で、体を温める作用のほか、血流の促進や代謝アップ、痛みや炎症を抑える作用、高血圧や高血糖を改善する作用、胃を健康に保つ作用、せきやのどの痛みを緩和する作用、抗菌・抗ウイルス作用、抗酸化作用などがあります。

 ショウガは、生のものと加熱したものでは、薬効成分が異なります。ショウガの皮の近くに多く含まれる辛み成分のジンゲロールは、熱を加えるとショウガオールという成分に変化するのです。

 ジンゲロールには、体の末梢の血管を拡張して血流をよくする働きがあり、体の深部の熱を体表に運ぶことで、手足が温まります。「生のショウガは逆に体を冷やしてしまう」と言われるのはこのためです。

 一方、ショウガオールは、胃腸の壁を直接刺激することで血行を高め、体の中心部から熱を生み出します。ですから、慢性的な冷え症の人や寒い季節には、加熱したショウガで体を芯から温めるショウガオールをとるほうが適しています。

 実際、漢方薬でも、生のショウガを乾燥させた生姜と、ショウガを蒸してから乾燥させた乾姜の2種類の生薬があり、ひどく体が冷えている人には、ショウガオールが多い乾姜を処方します。

 皮ごとすりおろしたショウガを約20分間煮て作るジンジャーみりんシロップには、このショウガオールがグンと増えています。

 体を冷やす作用のある白砂糖は使わず、本みりんで甘さを出している点も、とてもいいと思います。本みりんには、体を作るたんぱく質の元となるアミノ酸が豊富なうえ、発酵食品なので、腸内環境の改善にも役立つでしょう。

 現代人には、低体温の人が増えており、体を内側から温めることは季節を問わずたいせつです。ジンジャーみりんシロップは、ドリンクだけでなく、料理やスイーツにも合い、活用範囲も万能でしょう。

 毎日継続してとることで、冷え症や低体温の改善はもちろん、むくみの改善やダイエット、美肌、免疫力のアップなど、さまざまな健康効果が期待できると思います。