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【脳血管が傷つく食べ物・若返る食べ物】ドクターハッシーが伝授!脳血管を健康に保つ食べ物の選び方

血管は見えないからこそ気をつける!

『ゆほびか』の読者の皆さん、はじめまして! ドクターハッシーです! 突然ですが、皆さんは自分の血管を見たことがありますか?

こんな質問をすると、多くのかたが「ありますよ」と答えます。中には「うっすら青く見えるじゃない」と、腕に見えている血管を指し示してくださるかたもいます。

確かにおっしゃる通りですが、血管は目に見える部分だけではありません。

私たちの健康維持に重要な役割を担っているのは、血管の内側である「内腔」です。

しかし、普通は血管の内部を見ることはできません。「見えない」からこそ、気をつけていただきたいというのが私の主張です。

しかも、血管の病気は、加齢や不規則な生活習慣、ストレスが原因となっています。つまり、その原因すら「見えない相手」で厄介です。

ですから、日頃から気をつけていただかないと、それらが原因となり、血管が硬くなる動脈硬化、動脈硬化による血流の悪化や血液が固まる血栓などが、血液の流れを遮断して起こる心筋梗塞や脳梗塞……といった具合に、死につながる重篤な病気を招くのです。

QOLが著しく低下する

私は、長らく内科外来に携わってきました。そのかたわら、介護つき老人ホームを回る訪問診療にも力を入れています。

ホームには、さまざまな症状を抱えた人が入所しますが、その多くが認知症や脳の血管の病気によって体が不自由になってしまった人です。

どのような状態かというと、多くのかたがご存じだとは思いますが、思ったことを話したり、行動したりすることが難しくなります。「せめて自分で行いたい」と思う、入浴や排便まで、第三者の手を借りないと満足にできません。

意思疎通の難しさから家族など近しい人とケンカが絶えなくなることもあり、患者のQOL(※Quality of life:生活の質などと訳される。患者の状態をはかるための指標の1つ)は著しく低下し、病気を抱えていることをつらく思う人も少なくありません。

そんな患者の治療・支援をしながら、この現状を変えたいと思い、注目したのが「脳の血管」でした。

そもそも、なぜ認知症や脳血管の病気が起こるのでしょう。

その理由の1つに、慢性的な脳の血流低下が挙げられます。

体の血管の中でも、脳には細い血管が非常に多く集まっています。直径100~300マイクロメートル程度しかない「穿通枝」と呼ばれる血管もあるほどです。

この細い血管があるおかげで、脳の表面部分から深い部分まで、隅々に酸素や栄養を送り届けることができ、私たちは身体活動や思考を行うことが可能になっているのです。

一方で、細い血管が多いということは、血流の滞りや詰まりが起きやすい部位でもあると言えます。

脳血管の病気や心臓の病気は、喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常などの生活習慣病に伴う動脈硬化によっても誘発されますが、慢性的に脳の血流が低下することでも引き起こされることが、マウスによる実験で示唆された、という国内での研究報告があります。

脳には、体の中でも詰まりやすい細い血管が張り巡らされている

食事は家庭でも対策しやすい!

なんとか避けたい脳血管のトラブル……。

そのために規則正しい生活、適度な運動、バランスのとれた食事を患者さんにお勧めしていますが、実際のところ、すべてを完璧にこなすのは至難の業です。

体に痛みがある人が運動なんてしたら、症状が悪化してしまいます。

そこで、「せめて、これだけは」と優先順位第1位で指導しているのが、食事の内容を変えることです。
食事なら購入する食材や食品を、「いつもと少し変えるだけ」でできます。

最近はコンビニが増えて、いろいろな食材を調達しやすくなっています。食材調達の不便さを感じることは少ないですし、家庭内でも対策を取りやすくなります。

どんな食べ物を選べばいいかは、次の項で詳しく触れることにして、ここでは血液と血管にダメージを与える2つの悪役を紹介します。

糖化
糖をとりすぎる(血糖値が上がる)と、血液中に余った糖がたんぱく質と結びつき、AGEという物質を生み出します。これが血管を傷つけたり、血管の壁についたりすることで、動脈硬化や脳梗塞が引き起こされます。

飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は、乳製品や肉などの動物性脂肪や、パーム油などの植物油脂に多く含まれています。中でもトランス脂肪酸をとりすぎると、血管を詰まらせたり、傷つけたりする要因になります。

さらにアレルギー症状の悪化、免疫力の低下、心臓病のリスクが高まることもわかっています。最近では、トランス脂肪酸が、がんの発症に関連している可能性があるという報告もあります。

これらのことを踏まえて、次項からは、「脳血管を傷つける食べ物」と、逆に「脳血管が若返る食べ物」を紹介していきます。

脳血管を傷つける食べ物 ワースト5

1位 ピザ

堂々の第1位は、ピザです! 好物だという人も多いので、とても心苦しい結果です……。残念ですが、ワースト1位の理由をご説明します。

ピザ生地に使われる小麦粉の主成分は、炭水化物です。つまり、糖質が非常に多く含まれているといえます。糖質をたくさんとると、過剰な糖がたんぱく質と結合して糖化を起こし、血管を傷つけ、脳血管を詰まらせる原因となります。

さらに、ピザにはたっぷりのチーズがトッピングされています。チーズなどの乳製品の脂質は、体の中で固まる性質があります。これが血管壁に付着して血管の内腔を狭めることによっても、同じ症状が出てきます。

ただし「食べすぎたら」のお話で、適量をいただく分には問題ありません。以下にご紹介する食べ物も同様に「食べすぎ」には注意してください。

2位 アメリカンドック

フワフワの衣は小麦粉ですから、ピザ同様に糖化を起こして、脳血管が硬化する原因となります。

さらに、衣にたっぷり油を吸い込んでいるのもよくありません。血液中の脂質が増えて血管壁に付着すると、炎症が起きて、血管を傷つけてしまいます。

3位 天ぷら

衣の小麦粉には、たっぷりの油が吸収されていますから、血管に悪い食べものであることはいうまでもありません。血液中の脂が脳や首の血管に付着して炎症を起こすと、表面がはがれます。それが血栓となり、血管を詰まらせて脳梗塞を起こすこともあるのです。

4位 カルビ

カルビは、あばら骨あたりの肉ですから、非常に脂の多い部位です。「カルビを食べる」とは「牛の脂を摂取する」こと。摂取した脂が人間の脂に変わるだけです。それが内臓脂肪になったり、血中の脂質を増やし、血管を詰まらせやすくします。

5位 バター

バターの原料は牛乳の脂肪分。つまり、固まりやすい動物性油脂です。豚骨ラーメンが冷めると表面にうっすらと固まった脂が浮いてきますが、バターをとると、それと同じ現象が体の中でも起きます。

体内で固まった脂は、おなかや内臓にくっついて内臓脂肪になるだけでなく、血管壁にもくっつき、血管を傷つけます。

脳血管が若返る食べ物 ベスト5

1位 生野菜

野菜には抗酸化作用、血圧を下げる降圧作用があるビタミンが豊富に含まれています。

高血圧は脳の血管を傷つけて、脳出血の原因にもなります。また血管が傷つき、動脈硬化が進むと、脳の細い血管が詰まって、脳梗塞を引き起こすこともありますから、野菜は積極的に食べていただきたいです。

このように脳血管の病気を防ぐのに役立つビタミンですが、加熱することによって壊れてしまうものもあるので、できるだけ生野菜を食べるのがお勧めです。

2位 シイタケ

シイタケには「エリタデニン」という特有の成分が含まれています。この成分には、血中のコレステロールを減らす効果があります。

血中コレステロールが多いと、血管の細胞組織にコレステロールが押し込まれ、血管の硬化を引き起こします。血中のコレステロールが減れば、血管の組織に押し込まれたコレステロールも減るので、血管を柔らかく健康的に維持・改善することができるのです。

この効果は、生のシイタケよりも干しシイタケのほうが高いと言われています。

3位 イワシ

魚には脂が多いのですが、不飽和脂肪酸といって、人間の体内の脂を取り去ってくれる働きがあります。

脂肪酸には、不飽和脂肪酸のほかに、飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸は冷えると固まりますが、不飽和脂肪酸は固まりません。人間の体に入ったときに、固まった脂は内臓や血管壁にくっつきますが、不飽和脂肪酸がそれを溶かし、結果的に血栓や血管が硬くなるのを防いでくれます。

不飽和脂肪酸にはオメガ9、6、3の3つがあります。なかでも体によいのが、イワシやサンマなどの青魚にたくさん含まれているオメガ3です。

4位 コンニャク・ヒジキ・大豆

悩みに悩んだ第4位5位は、まとめて3つの食材をご紹介します。

まず、コンニャクです。食物繊維が豊富なので消化しづらく、腸に残ります。コンニャクに含まれる食物繊維が腸の中でバリアとなり、コレステロールが血中に吸収されるのを防御してくれます。そのおかげで、血管は傷つかずに済み、健康体を維持できます。ただし、糖分の含まれているコンニャクゼリーはお勧めできません。

ヒジキも、コンニャクと同様にコレステロールの吸収を抑えてくれる食品です。

大豆には、たんぱく質がたくさん含まれているので、筋肉をつけるのに役立ちます。筋肉がしっかりつけば、体に取り入れた糖がエネルギーとして燃焼されやすくなりますので、結果として血管を傷つけなくて済みます。また、脂肪分が多いのですが、植物性の体によい脂ですので、安心していただけます。

この記事は『ゆほびか』2023年3月号に掲載されています