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【麹の食べ方】摂り方は「毎日・ほんの少し」医師直伝の手作り塩麹レシピを公開

臨床医が驚いた麹の健康効果

前回の記事:【麹の効果】腸内環境を改善し若々しさを保てる!日本の麹菌のココがすごい!

私は10年以上、医師として大学病院に勤務し、麹の世界に入るつもりは全然ありませんでした。

あるとき父が、白麹を使った製品を作り、それを患者さんに試してほしいと持ってきたときには、「えー、嫌だな。ほんとうに効くの?」と疑っていたほどです(笑)。ところが、その製品を臨床の場で試したところ、想像以上のよい結果が出て、そこから麹の魅力にハマってしまったわけです。

では、麹が体にどのような作用を及ぼすのか、ご説明しましょう。

①腸内環境を劇的に改善

近年、腸内細菌の研究が飛躍的に進みました。腸と脳が相関関係にあることや、病気に対抗する免疫細胞の6~7割は大腸で成長することなどがわかっています。

腸内環境をよくするために最も必要なのが、「酪酸菌」(※1)を増やすことです。

※1 酪酸や酢酸という酸性物質を作る細菌

そして麹を食べると、大腸の中で酪酸菌が増えるのです。

酪酸菌は、酢酸と酪酸という2つの物質を作ります。どちらも酸なので、腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌が育ったり活性化するのを抑制します。酢酸はビフィズス菌からも作られますが、酪酸は酪酸菌からしか作れません。また、酪酸は、大腸が必要とする栄養の約9割を占めるエネルギー源でもあります。

つまり、酪酸菌が増えれば酪酸がたくさん作られ、大腸の細胞が活性化します。腸内細菌も活性化し、善玉菌が増えて腸内環境が改善するのです。

私の行った臨床実験では、10人の被験者が白麹を食べた後の腸内の酪酸菌の割合の変化を調べたのですが、1カ月で有意に増えるという結果が出ました。

そのほか、酪酸菌が増えると、インスリンというホルモンの分泌が増えます。インスリンは血糖を下げる物質なので、当然、血糖値が下がります。

鹿児島大学の研究では、高血糖のラットに米麹を加えた芋焼酎を与えたところ、血糖値が有意に低下するという結果が出ています。つまり、麹は糖尿病にも有効なのです。

②免疫力をアップ

腸内環境を改善すれば、免疫力も上がるのですが、それ以外の部分でも、麹は免疫力を高めてくれます。

黒麹をとると「ナチュラルキラー細胞」(以下、NK細胞)の数が増え、活性も上昇します。NK細胞とは、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する細胞です。

以前、父が大学教授と共同で行った研究では、麹ドリンクを飲んだ人は、飲まなかった人に比べてNK細胞の数が1・5倍に増えるという結果が出ています。

また、私の研究では、麹をとると「制御性T細胞」が増加するという結果が出ています。制御性T細胞は、免疫の調整役の細胞で、免疫の暴走を抑える働きをします。心筋梗塞の予防や糖尿病の対策、免疫疾患(リウマチやアレルギーなど)にも役立つと言われています。

③ストレスを抑制

現代はストレス社会と言われて久しいですが、新型コロナウイルスが登場してからは、さらに拍車がかかったのはないでしょうか。

ストレスホルモンが分泌されると、たんぱく質からアミノ酸への分解が促進されるため、筋肉が細くなってしまいます。

このストレスにも、麹は抜群の効果を発揮します。

鹿児島大学の林国興教授と父がブロイラー(※2)を使って行った共同研究では、麹菌が脳の下垂体に作用して、ストレスホルモンを抑制する「ブトキシブチルアルコール(以下BBA)」の分泌を促す、という発見をしました。

※2 短期間で急速に成長するよう品種改変された食用のトリ

エサに0・05%の黒麹を混ぜるだけで、ブロイラーの腸内にBBAが生産され、この物質が脳下垂体に働きかけて、ストレスホルモンを抑制します。その結果、筋肉の分解が抑制され、同じ量のエサを食べても、麹菌入りのブロイラーは筋肉が大きくなったのです。

また、黒麹を食べさせたラットは、そうでないラットに比べて、おなかの脂肪が5~10%減ったという実験結果もあります。このことから、麹は体内の脂肪を減らし、筋肉を増やすということが言えます。

麹の摂り方

毎日の食事にほんの少し麹が入るだけでいい

駆け足で麹のすばらしさ(ほんとうはまだまだ言い足りません!)を説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

麹のとり方ですが、手軽なのは、みそ汁を飲む、または、塩麹を塩代わりとして料理に使う。あるいは、みそや塩麹をほんの少量、ペロッとなめてもいいでしょう。なぜなら、ごく微量(0・05%)の麹で、じゅうぶんな健康効果が得られるからです。

その際たいせつなのは、みそは加熱処理をしていない生みそを選び、塩麹は手作りすることです。

麹のたんぱく分解酵素が働くのは30~50℃前後。60℃まで上げると、たんぱく分解酵素は消えてしまいます。市販の塩麹は、米麹を60℃ほどの温度で短時間に溶かし、加熱処理で甘みを出しています。それでは麹の効果が得られないのです。

なお、血圧が高いかたは塩分が気になるかもしれませんが、生みそや手作りの塩麹でしたら、血圧を上げる心配はありません。むしろ、下げてくれる効果が期待できます。

最後になりますが、家畜の飼料や農産物の肥料に麹を入れると、大きく育つだけでなく、味もよくなります。土壌に撒けば、土の性質も劇的に改善します。麹が私たち人間や環境に与えてくれる恩恵は無限大です。これは神様が日本にくださった「愛の微生物」だと思っています。ぜひ日々の食卓にご活用ください。

塩麹の作り方

材料

米麹  300g
食塩  90g
水   400㎖

作り方

麹と塩をボウルに入れ、よく混ぜる
❶ を煮沸消毒した保存容器に入れ、
  水の半量(200㎖)を入れ、フタをして1日置く
翌日、残りの水を入れ、全体をよくかき混ぜる
1週間~10日程度、常温で置く。夏場は5日置く。
 1日1回、かき混ぜて空気を入れる
米粒がどろっとしてきたら発酵した証拠。
  味を見て、塩のしょっぱさの角が取れて
 まろやかになっていれば出来上がり
※冷蔵庫で保存し、3~4カ月で使い切る

使い方

  • 塩代わりに使う
  • 浅漬けにする。洗った野菜を切ってポリ袋に入れ、野菜の重量の1/10の塩麹を入れてよくもみ、空気を抜いて、冷蔵庫で一晩寝かせる
  • 肉や魚に塗って、肉なら半日、魚は1時間ほど置いてから調理する

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