足指の刺激はマンネリになりがち
私はこれまで、胎児から100歳まで1万人以上の人たちの脳をMRI(磁気共鳴画像法)画像で診断・治療をしながら、脳番地トレーニング法について研究してきました。
脳は、場所と機能によっておおよそ120の構成要素に分けられます。私は、それらを「脳番地」と名付けて、8つの系統に分けました。
脳は神経細胞が枝を伸ばすように太く広がっていくことによって成長し、複数の脳番地を結ぶ神経細胞のネットワークが密になっていけば、脳の機能は全体的に強化されていきます。効果的な刺激を与えることによって、何歳からでも、脳を鍛え育てていくことは可能です。
足指を刺激したり動かしたりすることは、脳の活性化にとても有効です。足を動かす脳番地は頭頂部のごく小さな部分ですが、足をうまく使うと、体を動かす運動系の脳番地だけでなく、隣接する視覚系や思考系、伝達系などの脳番地など、いろいろなところを刺激できるのです。
足や足指は手とは違い、日常の中で行う動作の種類が限られています。そのうえ、足指を締め付ける靴や靴下を履き、アスファルトや平坦な床しか踏まない現代生活では、足裏への刺激もマンネリ化しがちです。そのため足は、普段とは異なる刺激に敏感になっています。つまり、足や足指を刺激すると、脳が活性化しやすいということです。認知症予防にも、もちろん効果的です。
足指を一本つず動かすと脳が喜ぶ
では、どんな足の使い方をすれば脳の活性化に役立つのでしょうか。お勧めの方法は、
①砂浜や芝生をはだしで歩く
② じゃり道や山道など、変化のある路面を歩く
③片足で立つ
④5本指靴下を履く
⑤足指でものをつかむ
など。要は、普段とは違う刺激を足に与えることが大事なのです。もちろん私自身も実践しています。
足の指を1本ずつ動かすことも、効果的です。普段生活している中で、ほとんどの人は、両足10本の指のうちに何本か、意識があまり通じていない指があるはずです。足には多くの筋肉があり、5本の指それぞれで、使う筋肉も異なります。指1本1本を動かしたり刺激したりすれば、それだけで、脳に多彩な刺激が行き渡り、脳が喜びます。
つま先の細い靴やハイヒールをよく履く人は、足指を自由に動かせなくなっていることが多いです。足指の間に手の指を入れて、足指を広げ、1本ずつ動かすといいでしょう。
他人に足をもまれると深くリラックスできる
足指と足全体をマッサージするのもいいですね。マッサージには特にルールはありませんが、つま先からふくらはぎまでの間で硬くなっている場所を、やさしくもみます。
特に、小指からくるぶしにかけての外足部を念入りにマッサージするのがお勧めです。外足部は意識が向きづらい場所なので、マッサージすると、脳に新鮮な刺激が届き、劇的な若返り効果も得られます。小指を軽くひっぱるだけでも、寝ぼけた頭がシャキッとし、目もパッチリするはずです。小指が縮こまっているかたには、ぜひ試してみていただきたいです。
足のマッサージは、自分で行ってもいいですが、他人にしてもらうとリラックス効果が高まります。私も、実家に帰るたびに母の足をもんでいます。脳を生き生きと働かせるためにも、普段無視されがちな足指にさまざまな刺激を与えるよう工夫してみてください。