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【首を温める】と免疫力が高まる!落ち込み・不安など心のケアにも

脳幹を活性化すると自己治癒力が高まる

 私は患者さんが自分で心身をケアして、病気や不調を予防・改善できる方法を勧めています。

 特に患者さんからの評判がよいのが、「首を温める」ケアです。首を温めると、肩こりや頭痛、不眠、疲労感などの不快症状や、高血圧や糖尿病などの慢性病を改善する効果が得られます。 

 首を温めるだけで、ここまでの健康効果が得られる秘密は、脳の深部にある「脳幹」という器官にあります。首の後ろには、脳幹を活性化させる絶好のゾーンがあるのです。

 脳幹は大脳辺縁系、大脳新皮質からなる大脳と比較すると、非常に小さな器官です。しかし、脳幹は呼吸や体温、心拍、血液循環の維持など、生命活動の根幹を支えるきわめて重要の役割を担っています。

 それに加えて、もう一つ見逃せない働きがあります。病気を治す「自己治癒力」にも大きくかかわっている点です。私は長年、ガンや生活習慣病、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の病気など、多くの慢性疾患の患者さんを診てきましたが、これらの疾患の根本原因は「脳幹の機能低下による、自己治癒力の弱体化にある」と私は考えています。

 自己治癒力とは一般に自然治癒力とも言いますが、私は「自分で治す」という意味を込めて、自己治癒力と言っています。

 自己治癒力は次の4つに支えられています。

①内臓や血管を意思とかかわりなく調整している自律神経系

②病気から体を守る免疫系

③内臓の働きを調整するホルモン分泌をつかさどる内分泌系

④姿勢や運動をつかさどる脊髄筋肉系

 脳幹は、これらの司令塔として機能しています。脳幹が正常に働いていれば、例えば体内に病原菌が入ってきたり、ガン細胞のような異常な細胞ができたりしても、4つのしくみが働いて自己治癒力が発揮され、病気を防いだり、健康を回復したりできるわけです。

 逆に脳幹の機能が低下していると、自己治癒力が働かなくなり、病気になったり、不快症状が出やすくなったりするわけです。

 脳幹を弱体化させる原因の1つが、頸椎(首の骨)のゆがみです。脳幹は、一部が頸椎の中にはまり込んだ状態で位置し、脊髄とつながって全身の働きを調整しています。姿勢が悪い状態が続くなどすると、脳幹がはまり込んでいる後頭骨、第1頸椎と第2頸椎の間にゆがみが生じます。

 頸椎がゆがむと、その内部にある脳幹は圧迫されます。また、首の後ろ側の動脈もねじれ、脳幹への血流が阻害されます。こうなると脳幹は正常に機能しなくなり、自己治癒力の低下につながっていきます。

 病気や体調不良に悩む人は、間違いなく後頭骨と第1、第2頸椎の間にゆがみがあります。私の診療所では、頸椎のゆがみを矯正して、脳幹を活性化する「脳幹療法」を行い、さまざまな病気に治療効果を上げています。

 この脳幹療法の理論から家庭用のケアとして考案したのが、冒頭でお話しした首を温める方法です。私はこれを自分でできる「脳幹マッサージ」のやり方の1つとして、患者さんにも勧めています。

心の不調にも効果大

 後頭部の髪の生え際の下、右耳の後ろから左耳の後ろにかけてのエリアを「脳幹ゾーン」と言います。この部分に温熱刺激を与えることで、首の筋肉を効果的に緩め、頸椎のゆがみを解消することができます。

 頸椎のゆがみが解消すれば、おのずと脳幹が正常に機能するようになり、自己治癒力も戻って、あらゆる病気や不調が改善していきます。

 首を温めることにはもう1つ、リラックス時に働く副交感神経を優位にし、自律神経のバランスを整える効果もあります。副交感神経を優位にすることで、ストレスから解放されて体をリラックスし、また血流がよくなる作用もあります。

 血流がよくなると、高血圧や糖尿病、心臓病など、循環器系の病気が改善します。また、実践者から「白髪が減って黒髪が増えた」「円形脱毛症が治った」などの声が聞かれますが、これは頭皮の血流がよくなったことによります。

 首を温めることで自律神経のバランスが整うと、これに連動して白血球のバランスもよくなり、免疫力を高めることができます。これは実際にデータを取って、効果を証明しています。

 また、首を温めることは、心のケアにもなります。職場の人間関係が原因で、気分の落ち込み、不眠、食欲低下、不安感に悩まされていた女性は、首を温めるように指導すると、少しずつ気分が穏やかになり、ストレスがたまりにくくなりました。さらに続けるうちに食事がおいしく感じられるようになり、さまざまな不調も解消しました。

 寒い季節は、全身にこりや痛み、しびれが生じやすくなります。首を温めることで、このような不快症状の予防・改善にもなります。ぜひペットボトルや蒸しタオルを使って、首を温めるようにしてください。

脳幹の機能を活性化させる「首の温め方」

◆用意するもの

「ふたがオレンジ色のホット飲料用のペットボトル(280~350mlのもの)」「50~60℃前後のお湯(少し熱めで心地よく感じる程度)」

温める「脳幹ゾーン」はここ!後頭部の髪の生え際の下、右耳の後ろから左耳の後ろにかけてのエリア

①ホット飲料用のペットボトルに50~60℃のお湯を注ぎ、キャップをしっかり閉める

② ①のペットボトルを、後頭部の髪の生え際の下にはめ込むように押し当てる。3秒かけてゆっくり押し、そのまま3秒キープした後、5秒かけてゆっくり力を抜く

③右側に少しずつ場所を移動しながら右耳の後ろまで行ったら、今度は中央から左耳の後ろまで同じように刺激する。これを3分ほど繰り返す。

ペットボトルが用意できないときは、マフラーや蒸しタオル、手などで温めても効果はある

ほかに蒸しタオルを首に当てる、首用の湯たんぽを使うなどの方法もよい