医師の私は鼻炎が解消、体重11㎏減!多くの患者の血圧も下げた「耳の穴もみ」
耳の穴に小指を入れて、前・後ろ・上・下・斜め……と、360度まんべんなく押してみてください。
1カ所につき10~15秒ずつ、じんわり押すと、とても気持ちがいいと思います。
やった後は、頭や顔周りがスッキリとして、耳も柔らかくなっているのがわかるでしょう。
この「気持ちいい」「柔らかい」というのが、実は健康のキーワードです。「硬い」ということは、滞っているということ。
健康であるためには、体のどの部位も柔らかくしておくのが理想です。体や臓器までもが柔らかければ、頭や心もほぐれやすくなります。
とはいえ、かく言う私自身、以前は医師だというのに食べ過ぎ、飲み過ぎの生活で不摂生ばかりして、体は全身ガチガチに硬くて、かなり不健康でした。
当時はとにかく動くのがおっくうで、アレルギー性鼻炎もひどく、いつも鼻がつまっていました。また、ストレスがたまると不整脈が出たり、夜、なかなか眠れなかったりしたこともありました。
このままでは早死にすると思った私は、生活を一変することにしました。手始めに、体を柔らかくして循環をよくしようと考え、そこで始めたのが、ヨガです。
ヨガ教室に通い、徐々に体が柔らかくなると、それまでの不調がどんどん改善していきました。
動きやすくなってエクササイズも実践するようになると、177㎝で74㎏あった体重は、63㎏まで落ち、ますます体調はよくなっていったのです。
つまっていた鼻がスーッと通った!
冒頭で紹介した「耳の穴もみ」も、ヨガ教室で教わったものです。あるとき、鼻炎で鼻がズルズルしていたのですが、ヨガの先生に誘導されてやったところ、途端に鼻がスーッと通ってスッキリしたのです。
自分自身が体調を崩してわかったのですが、健康のために運動をしたり、食生活を改善したりするのは、簡単なことではありません。
ですが、「気持ちがいい」「効果が実感できる」「体が変化した」という経験があれば、習慣化しやすくなります。
耳の穴もみは、まさにそんな健康法の1つです。誰もが簡単にできて気持ちがよく、さまざまな効果が得られるので、今では多くの患者さんに勧めては、実践してもらっています。
170㎜Hgの高い血圧が正常化した!
2019年には、耳の穴もみで具体的にどのような変化があったか、患者さんに調査しました。
すると、なかでも目を見張る結果となったのが、血圧を下げる効果でした。30数名中5人ものかたに、顕著な降圧効果が得られたのです。
例えば70代の女性は、170㎜Hgあった最大血圧が、耳の穴もみを始めて1カ月で下がり出し、けっきょく、降圧剤にまったく頼ることなく130㎜Hg台になりました(基準値は140㎜Hg未満)。
耳の穴もみを行って血圧が下がる理由は、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)のバランスが整うことと、「気持ちいい」と感じるリラックス効果によるものと考えられます。
ストレス社会に生きる私たちは、自律神経のうち、緊張時に働く交感神経が優位な状態に偏りがちです。
交感神経が優位になると、血管が収縮して血圧が上昇します。この状態が長く続くと、高血圧になります。
耳の穴には、迷走神経の末端がきています。迷走神経は、体性神経(運動神経と感覚神経)と副交感神経が合わさったものです。
つまり、耳の穴もみは迷走神経=副交感神経への刺激となり、交感神経優位に偏った自律神経のバランスを整えることに役立つのです。
また、副交感神経はリラックス時に働くので、耳の穴もみで気持ちがリラックスすれば、副交感神経優位となり、血管が拡張して血圧低下につながります。
自律神経のバランスが整えば、血圧以外にもさまざまな不調が改善するでしょう。
なかでも、肩から上の循環がよくなるので、私のように鼻炎がよくなるケースもあれば、「めまいがよくなった」「肩こりが楽になった」という報告もあります。
ストレスが多いと頭も硬くなっているため、耳の穴もみを行うと緊張がほぐれ、「頭痛が治まった」「イライラが解消した」「寝つきがよくなった」「気分がスッキリした」という人もいらっしゃいます。循環がよくなれば肌ツヤがよくなったり、むくみも取れたりと、小顔や美肌効果も期待できるでしょう。
以下では、写真つきで耳の穴もみのやり方をご紹介します。
なお、耳の穴の皮膚はとてもデリケートです。強い圧をかけて刺激するのは厳禁。優しく、じんわりと圧をかけて「気持ちがよい」刺激を味わってください。
耳の穴に指を入れてじんわりと押すだけ! 1日1回で効く「耳の穴もみ」のやり方
①耳の穴の前にある硬い出っ張りの内側に、親指の腹を当て、奥まで入れる
②耳の穴を押し広げるように、じんわりと圧を10秒ほどかける
③少し指をずらして、まんべんなく耳の穴の周囲に圧をかける
④次に、耳の穴に小指を入れ、同様に②~③を行う
⑤耳の根元を親指と人さし指でつまみ、ゆっくり、後ろに10回回す
【補足解説】
耳の穴もみは、耳の穴を押し広げるように、指でじんわり押すのがコツです。
私自身、体調が優れないときは、耳の穴周辺がむくんでいるのか、穴が小さくて指が入りにくいときがあります。それを優しく押し広げていくと、頭も体もスッキリとする感覚が得られるのです。
特に、顔に近い側の斜め下あたりに、押すと気持ちいいポイントがあります。ここは迷走神経がきている場所なので、高血圧のかたや、そこを押して気持ちいいと感じるかたは、ぜひ重点的に押してみてください。
ツボが集まっている耳の上部のくぼみのところをもんだり、耳たぶを引っ張ってグルグル回したりすると、耳がさらに柔らかくなり効果的です。
耳の穴もみは、副作用や危険性がないとはいえ、やはりデリケートな部分なので、必ず爪を短く切り、皮膚を傷つけないよう心地いい力加減で刺激してください。やりすぎも禁物です。1日1回程度でじゅうぶんでしょう。
私はお風呂の中でやることが多いのですが、いつやっていただいてもかまいません。自分の3人の子どもたちに寝る前にやってあげると、目がトロンとしてきて、そのまま寝てしまうこともあります。
続けるうちに、耳たぶがどんどん柔らかくなっていくことに気づくでしょう。また、日によって痛む場所、硬い場所の変化に敏感になります。
皆さんも体と心を柔軟にして、健康になるための第一歩として、耳の穴もみを活用してください。