脂肪分を取ると体内の脂肪が減ると判明!
ダイエットを始めるとき、まず控えるものに、脂肪や油を多く含む食品を挙げる人が多いと思います。「脂っこいものを食べると太る」とずっと認識されてきたからです。
ところが、脂は実はダイエット食です。脂を積極的に取ることが、体内の脂肪を減らすという驚きの作用があることがわかってきたのです。やせたければ、かえって脂肪分をたくさん取ったほうがいいのです。
アメリカではニュース雑誌『TIME』の2014年6月号で、「EAT BUTTER(バターを食べよう)」という特集が組まれるなど、脂を控えることが体にとって最善ではないとの報告が多く発表されています。
日本でも、現在、脂の摂取を増やす方向になっています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年)」を見ると、脂肪分の1日の摂取目標量は55g とされています。
しかし、上限は設けられていません。脂肪分は、体に不具合をもたらすものではないからです。
むしろ、目標摂取量に足りない人が多いことが問題となっています。
それでも脂肪分を取ることが不安な人のために、脂肪の摂取が体内の脂肪を減らすしくみについて簡単に説明しましょう。
まず、脂肪分が体内脂肪を減らすには、1つ条件があります。それは、体内に糖質が過多でないことです。
ご飯やパンを減らし、そのうえで脂肪を取ると、代謝がアップし、脂肪の燃焼を増やしていきます。
糖質過多の状態では、体内のエネルギーは糖(ブドウ糖)から産生されます。しかし、糖質が枯渇すると、脂質を燃焼してエネルギーを作るようになります。
これが、脂肪が体内の脂肪を減らすメカニズムです。
生クリームは優れた栄養食品
その脂肪分を手軽に取る方法としてお勧めなのが生クリームです。製菓用の純正生クリームには、乳脂肪分が30%以上も入っています。
そのうえ、ビタミンCと食物繊維以外、すべての栄養素が含まれているのですから、必須栄養素の摂取という点でも非常に頼もしい食品です。
とはいえ、生クリームをそのままゴクゴク飲むというのも難しいでしょう。そこでお勧めしたいのが、「生クリームコーヒー」です。
昔からコーヒーには生クリームがつきものです。ホイップした生クリームを浮かべた「ウインナーコーヒー」が好きな人も多いのではないでしょうか。
泡立てた牛乳を使った「カフェラテ」や「カフェマキアート」が若い女性には人気ですが、牛乳の代わりに生クリームを使うと、健康効果が高まり、風味もグッとアップすることでしょう。
ただし、砂糖は入れないこと。そして、生クリームは必ず乳脂肪のものを使ってください。植物性脂肪のクリームや、植物性脂肪が混ざったクリームでは効果が得られません。
脂肪分やたんぱく質は脳や体を作る
乳脂肪の純正生クリームなら、いくら飲んでも構いません。コーヒーに好きなだけ入れて、飲みたいときに好きなだけ飲んでください。
1日に3回、特におなかがすいたときに飲むと空腹感がなくなるので、過食を防ぐことができます。
生クリームコーヒーをたくさん飲んでも、皮下脂肪や内臓脂肪となって体につくことはありません。不要な脂肪は吸収されることなく、体外へと排出されるのです。
便秘ぎみの人は、生クリームの量を多めにするといいでしょう。便秘を解消する効果があります。逆に、下痢になりやすい人は量を減らすとよいでしょう。
脂質は、細胞膜や、代謝や神経伝達など、生体活動を調整するホルモンの主な材料です。
特に脳は、脂肪6割、たんぱく質4割でできており、神経細胞を覆う膜状成分には脂質が欠かせません。
そのため、体内で脂質が不足すると、肌荒れや乾燥肌、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患、糖尿病などの生活習慣病、うつ病などの精神疾患まで、さまざまな疾病を誘発することがわかってきました。
これらの解消には脂質とたんぱく質をたっぷり取ることがたいせつになります。私のクリニックではダイエット外来を行っていますが、肥満に悩む女性には生クリームを勧めています。実際に「健康的にやせられた」という声もたくさんあります。
生クリームは、脂肪分とたんぱく質を豊富に取りながらやせられる、理想のダイエット食なのです。