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【坐骨神経痛や股関節痛におすすめ】座って痛みを解消する「お尻リング」のやり方

キムチのフタに座ったら介助なしで歩けた!

私にとっても、皆さんにとっても、健康は第一。1人でも多くのかたが健康になるためのお手伝いができたら……という思いから、私はこれまでいろんな健康法を研究・考案してきました。

今回紹介するのは、「お尻リング」です。

これを考案したきっかけは、自分自身の体が動かしにくかったとき、自宅にあったマッサージ機でさまざまな部位をほぐしたところ、お尻をほぐすと体が軽くなることを発見! 

前屈してみると明らかに体が柔軟になっていたことから、お尻の硬さが全身に悪影響を与えていたのではないかと思い至ったのです。

お尻のどの部分が一番硬くなりやすいのか、さらに突き詰めて考えてみると、それは恐らく坐骨周りの筋肉です。

お尻は出っぱっているので、通常は座ることで筋肉が刺激されます。でも、坐骨周りの筋肉は骨があって刺激が届きづらいのです。

どうしたら坐骨周りの筋肉を刺激できるのかを考え、私は直径10㎝弱のキムチのフタに坐骨をはめ込むように座ってみました。その結果、ちょうどいい具合に坐骨周りに圧がかかり、お尻がほぐれて、体の動きがよくなることが確認できました。

そこで、私が手伝いに行っているデイサービスで、利用者さんにも試してもらいました。
すると、誰かに手を持ってもらわないと歩けなかった高齢の女性が、10分ほどキムチのフタに座っただけで1人で歩けるようになったのです。そのかたには、私が行くたびにキムチのフタに座ってもらっています。以前は人工透析をした後、足が痛くなっていたのが、最近は痛くないとおっしゃっています。

これは効果がある! と確信し、私はお尻リングをいろんなかたに勧めることにしました。

現在、私が開発したお尻リングは商品化されています。

とはいえ、身近なものでも代用可能です。私が最初に試したキムチのフタや、ガムテープの芯でもかまいません。要は坐骨を入れて、その周りの筋肉に圧がかかるようリング状になっていればOKです。直径8~10㎝を目安に、座ってみて痛すぎない、適度な硬さのものを見つけてみてください。

お尻リングを試したかたからは、さまざまな効果の報告が届いています。いくつか紹介しましょう。

穴に坐骨をスッポリ入れて座るのがコツ!

坐骨神経痛や緑内障の症状が大軽減!

まず、私自身は30代の頃に発症した坐骨神経痛が、悪化しなくなりました。ひどいときは新幹線で足を下ろして座っているのがつらくて、行儀が悪いとわかっていながらよく足を上げていました。今思うと、これも足を上げることでお尻の筋肉が伸びて楽になるから、自然にそうしていたのかもしれません。今は、ちょっと無理をして腰やお尻の辺りが痛くなっても、お尻リングに座ればすぐに痛みが取れます。

また、5年前には緑内障を発症し、医師から「いずれ見えなくなる可能性がある」と言われました。眼圧を下げる点眼薬をさしていても、どんどん見えづらくなり、次第に夜の運転も不安になってきました。
ところが、目が見えづらいときにお尻リングに座ると、パッと見えるようになるのです。点眼薬は意味がないと思い、もう使っていませんが、特に悪化している様子もありません。

Aさん(87歳・女性)は、年とともに足や腰が痛くなり、背中も曲がって歩きにくくなっていました。お尻リングに10分座るのを1日3回繰り返していたら、杖はついているものの、以前よりシャキシャキ歩けるようになったといいます。

Uさん(78歳・男性)は、パーキンソン病と診断されて5年目になります。治療は受けていますが、だんだん歩ける距離が短くなり、1日1000歩ほどしか歩けなかったそうです。
昨年末、奥様に付き添われて初めて私の道場に来て、お尻リングに座ること10分。それを3セット繰り返したところ、普通に歩くことができ、後ろ歩きも、踊りながら歩くこともできたのです! ご本人はもちろん、奥様も大変驚いていらっしゃいました。今では2500歩から、調子のいいときは4000歩くらい歩けるようになったと言います。

このほかにも、便秘や下痢が改善したかた、ひざ痛・股関節痛・腰痛がよくなったかた、姿勢がよくなったり、体が温まったり、気持ちが上向きになったりするのを実感しているかたもいます。

お尻は上半身と下半身の繋ぎ目

では、お尻リングには、なぜこれほどの効果があるのでしょうか。

前述のように、坐骨周りは刺激が届きづらいので、子どもから大人まで、筋肉が硬直している人がほとんどです。ふだんあまり歩かない人はなおさら、お尻の筋肉が刺激されないため硬くなりがちです。筋肉が硬直すると、血流が悪くなります。

私は以前から、健康づくりの決め手は、血流をよくすることだと考えてきました。お尻は上半身と下半身のジョイント部分です。ここの血流がよくなれば、上半身にも下半身にも血液が流れ、全身の痛みや不調の改善が期待できるのです。

血流をよくすることは、体を温め、内臓も元気にします。特にお尻周りが温まれば、腸や膀胱、子宮や卵巣、前立腺のトラブル改善に役立つと考えられます。

お尻リングの使い方は、2つの輪の中に左右の坐骨を入れて座るだけです。

お尻リングに長時間座っていると疲れることがあるので、5~10分を目安に、体の様子を見ながら調節しましょう。また、何時間もの座りっぱなしは、よくありません。時々は立ったり歩いたりして、筋肉を動かすこともたいせつです。

なお、お尻リングを行った後は、筋肉がほぐれているうちに前屈をして、お尻の筋肉をしっかり伸ばしておくと、効果がさらに高まります。

運動前に血流をよくして体を温めることや、運動後に疲れた筋肉をほぐすことにも役立つでしょう。

ぜひ皆さんの生活の中に取り入れて、健康づくりに活用してください。

お尻リングの使い方

●用意するもの

キムチのフタやガムテープの芯など、直径8~10cmのリング状のものを1~2個
こちらは原田先生が考案したお尻リングの商品「原田式ザコザーラ足軽」

①基本のやり方~三角座り~

より効果を高める方法 ❶

坐骨を入れているほうの足を曲げて胸のほうに近づけ、お尻の筋肉を緊張させる
※左右の坐骨を入れる場合は、片足ずつ交互に曲げる

より効果を高める方法 ❷

体を左右に揺らすと、より刺激が伝わりやすい

②基本のやり方~イス~

お尻リングをイスに置き、輪の中に坐骨を入れて座る
※左右の坐骨を同時に入れてもいいし、体の左右どちらかに痛みがある場合は、痛むほうの坐骨だけでもよい

より効果を高める方法 ❶

イスに座った状態で足を前に伸ばし、左右の足を交差させてお尻の筋肉を緊張させる。交差させる足はどちらが上でもかまわない

より効果を高める方法 ❷

体を左右に揺らすと、より刺激が伝わりやすい

③股関節痛に効くやり方

痛みがあるほうの股関節にリングを当てて、そちら側を下にして寝転ぶ
●3つのやり方に共通の注意点
・1回5~10分を目安に行う
・1日何回行ってもOK
・やりすぎると疲れてしまうことがあるので注意
・お尻リングを行っている最中に痛みが出たり、気分が悪くなったりしたときは中止する
・お尻リングを行った後は、筋肉がほぐれているうちに前屈をしてお尻の筋肉を伸ばしておくとなおよい
お尻リングの後は、前屈して、お尻の筋肉を伸ばそう!
この記事は『ゆほびか』2022年7月号に掲載されています。