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【目と心身の不調】を瞬時に解消!自律神経が整う! 「目を5秒閉じるだけ」即効セルフケア(前編)

目の酷使による体調不良が急増中!

最近は、目の痛みや疲れ、視力低下を訴える人がとても増えています。最も大きな原因は、テレビやパソコン、スマートフォン、ゲームといったデジタル機器の普及で、目を酷使していることでしょう。

 特にここ数年は、オンライン授業やリモート会議の導入のほか、おうち時間が長くなり、中高年層にも動画コンテンツをよく見る人が増えているようです。そのせいで老若男女問わず、目の不調を訴える人がますます多くなってきている印象です。

 また、目の不調と同時に、頭痛、肩こり、便秘、不眠、イライラ、不安感といった、体や心の不調を訴える人が多いのも、最近の傾向です。実は、目の疲れは自律神経(※)を乱し、体や精神にも悪影響を及ぼすのです。

 例えば、近くを見るときは毛様体が収縮し、目のレンズである水晶体を厚くしてピントを合わせます。これは副交感神経(リラックス時に働く神経)の働きによるものなので、毛様体筋の緊張が続くと自律神経が乱れます。

しかも、仕事やゲームなどで動画を見て興奮しているときは、交感神経(活動時に働く神経)が活発になっています。すると、副交感神経と交感神経の働きがせめぎ合い、自律神経に狂いが生じてしまうのです。デジタル機器の明るい光も、体内時計を狂わせ、自律神経を乱すと言われています。

 加えて、私たちは情報の約80%を目から得ています。その情報を処理するのは脳です。大量の情報が休む間もなく目から脳に送られると、脳も疲れてしまいます。その結果、記憶力や意欲が低下したり、体や心の不調を招いたりします。

目を休ませるだけで劇的に症状が改善

 あるとき、19歳の女性が、視界の狭さと視力低下を訴えて来院されました。頭痛や不眠もあり、脳外科や内科も受診しましたが、異常はないといわれたそうです。当院でも目に異常は見当たりませんでした。

 ところが、生活習慣を聞くと、一日中ほぼ休みなく目を酷使していることがわかりました。そこで、目を休めて、自律神経を整える方法をアドバイスしたところ、嘘のように症状が改善したのです。

 このことをきっかけに、目の疲労が自律神経を乱すことに気づいた私は、以来、目を休めて自律神経を整えることのたいせつさを啓蒙しています。

 では、目の疲れからくる不調や、自律神経の乱れを予防・改善するには、どうすればよいのでしょうか。デジタル機器がこれほどまでに普及し、どこにいても目を酷使せざるをえない環境にある今は、意識して目を休めたり、目を疲れさせない工夫をしたりする必要があります。

 目を休める方法として私がお勧めするのは、「目を5秒閉じる」ことです。よく「パソコン作業は1時間ごとに15分休憩を」と言われますが、実際にはなかなかできないもの。でも、「5秒目を閉じるだけ」なら、簡単にできるのではないでしょうか。

 思い出したときに目を5秒閉じることで、毛様体筋を休め、自律神経を整えることに役立ちます。また、人はパソコンやスマホなどを集中して見ているときは、まばたきの回数が通常の約3分の1に減り、目が乾燥しがちです。

目を5秒閉じると涙で目が潤うため、傷や感染から目を守り、ドライアイによる目の痛みや不快感、それによる自律神経の乱れを防ぐことができます。

 たった5秒とはいえ、こまめに繰り返すことで目から入る情報が減り、脳を休ませることにもつながるでしょう。

目も老化する! こまめな微調整がたいせつ

 そのほか、目を休ませる以前に、目を疲れさせない対策を講じることも大事です。肌や体と同じように、目も確実に老化します。45歳以降になると目の調節力はどんどん衰え、60代ではほぼゼロになります。

これは抵抗しても避けられない現実。目にがんばってもらうのではなく、必要に応じてメガネやコンタクトレンズ、老眼鏡を正しく使用して、目を疲れさせないようにいたわりましょう。

 なお、これらは医療機器なので、眼科で適切な度数を処方してもらい、一度作ったら終わりではなく、定期的に検査を受けて、微調整してください。

 目や体に不調がある人は、必ず最初に病気の有無を検査する必要があります。目の病気は自覚症状が現れにくいので、眼科できちんと診てもらいましょう。緑内障や白内障の早期発見、老眼鏡を作ることも視野に入れ、相性のいいかかりつけ医を見つけておくことをお勧めします。

 糖尿病、甲状腺機能の異常、貧血の有無なども確認しておきましょう。特に病気がなければ、目を休めて自律神経を整えることで、目の疲れや痛み、かすみ目、ドライアイ、スマホ老眼、それに付随する頭痛、肩こり、不眠、イライラなども改善が期待できます。

「目を5秒閉じる」を実践した人からは、「不安が解消した」(70代・女性)、「目の疲れとともに、親の介護疲れや心配も緩和された」(40代・女性)という声が届いています。

後編では、「目を5秒閉じる」ときのコツと、併せて実践したい習慣をご紹介します。

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