お金の悩みの原因は「お金がない」ではない
お金に関する不安の原因は、「お金がない」ことではありません。
自分の手元にお金がいくらあるか、お金を何に使っているか、これから何に使うか―いうなれば「お金の通り道」をきちんと把握できていないために、今あるお金が見えなくなっている。このことこそが、お金の悩みの真因です。
かつては私も、お金がないことに悩んでいました。10年ほど前、私の退職とほぼ同時に、リーマンショックの影響で夫の会社が倒産するという大惨事が起きました。
住宅購入の直後で、子供はまだ幼いというタイミングだったため、真剣にお金と向き合わざるを得なくなりました。
これが、私がお金の通り道を意識するようになったきっかけです。当初は“恐怖体験”以外の何物でもありませんでしたが、結果的に、お金の通り道を把握する術が身についたことで、人生はみるみる好転。お金の悩みは消えました。
お金の通り道を把握するために、私が最初にやったのは、ごちゃごちゃの財布の中からよけいなモノを出す「財布の片づけ」でした。
お金がないと感じているかたは、今すぐ、お財布の中に入っているモノを全部出して、左のルールに従って、ほんとうにいるモノだけを戻してください。
財布が片づき、お金の通り道がスッキリすると、「お金は今●●●●円ある」と、「ある」ことにフォーカスできるようになります。
キャッシュカードは財布に入れなくていい
これからご紹介するノウハウは、すべて、私自身が実践していることです。
もともと1人でやっていたのですが、あまりの成果に驚いたので、まず、友人8人に試してもらいました。
すると8人全員のお金の悩みが解決したので、その後、クライアントさんたちにもお伝えするようになったのです。その数は、おかげさまで、3500人にもなりました。
財布の片づけの方法のなかでも重要なのは、山のようなカード類の整理。キャッシュカードとクレジットカードを、1枚を残してすべて解約するのがミソです。
しかも、そのキャッシュカードは、財布には入れません。月初めに決まった額をATMでおろす以外は、全く使わないのです。
キャッシュカードを1枚にするとは、すなわち、お金を預ける銀行を1ヵ所にしぼる、引き落とし口座を1ヵ所にする、通帳を1冊にまとめるということです。
通帳が1冊になると、出費のすべてが、1ヵ所に記録されることになります。複数の口座を使っていると、お金の流れが見えません。
しかし、毎月の出費・収入が1ヵ所で管理できるようになると、家計簿をつけることもなく、お金の通り道をきちんと把握できます。
なお、通帳を1冊にしても、ふだん使いの口座と、貯蓄用の口座を分けておきたいかたは、「総合口座」がお勧めです。
総合口座では、「普通預金口座」と、「定期預金口座」「貯蓄預金口座」という2種類の貯蓄用の口座がセットになっています。
さまざまな支払いのあとで、余った金額を貯金するのでは、決して貯金はできません。給与振込日の翌日に、定期預金口座にすぐお金が入るように設定すれば、お金は自然に貯まります。
なお、1枚残したクレジットカードも、使う場面はほとんどありません。
「3月=新学期の準備に●円以内」、「6月=家族の夏服を●円以内」、「8月=家族旅行に●円」と、カードを使う目的と金額を月初めに決めたら、それ以外の日常の買いモノはすべて、月初めにキャッシュカードでおろした現金だけでやりくりしましょう。
最後に、要注意なのが、交通系のICカード。プリペイド機能、自動チャージ機能は、お金の通り道を煩雑にしがちです。
交通系カードを、交通費以外の買いモノに利用しているかたで、月にいくら買いモノしているかすぐ答えられない場合は、交通費以外での使用はお勧めしません。
私のカードには、自動チャージ機能はなく、1ヵ月分の交通費だけを月初めにチャージします。買いモノには使いません。
幸せな気持ちでお金を払ってほしい
お金は幸せに生きるためのツールですが、「幸せになるためにお金を使えていますか?」と尋ねると、ほとんどの人は答えに詰まります。
幸せな気持ちでお金を払えないのは、つらいことだと思います。
財布が片づき、お金はあるということに気づけば、「今あるお金で幸せになるためには、何に使おうか」と計画することができます。
そして「幸せになるため」と、納得してお金を使えます。逆にいうと、納得できないことには使わなくなります。
幸せに生きるための財布の片づけを、皆さんもぜひお試しください。