ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

【砂糖をやめる】砂糖中毒から脱却して病気と老化を防ぐ法を医師が解説

「甘いものが欲しい」は砂糖中毒の証拠

「砂糖は体に悪い」

 これはほとんどの人が、なんとなく理解していることだと思います。特に恐ろしいのは、砂糖の持つ中毒性、依存性です。

 ここ数年、空前のスイーツブームが起こっています。コンビニやスーパーで売っているデザートやケーキ類、焼き菓子、菓子パン、スナック類なども以前よりもとてもおいしく作られていて、人気も売り上げも、うなぎ登りのようです。

 しかし、それに比例して、日本人の砂糖摂取量も急増しています。砂糖は一度摂取すると、しばらくしてまた欲しくなる中毒性を備えています。「体が疲れたので、甘いものが食べたい」。

 これは脳が栄養を欲しているからではなく、単に砂糖の中毒症状なのです。「体に悪いことがわかっていても、つい手が出てしまう」「やめようと思ってもやめられない」というレベルになると、もう麻薬と一緒です。

 麻薬に中毒性があり、危険なのは誰もが理解しています。しかし、「甘いものが欲しくなる」のは自然なことだと思っています。これがとても怖いところなのです。

病気の原因は肥満ではなく砂糖

 砂糖の取りすぎが危険なのは、血糖値が急激に上がり、糖尿病のリスクが高まるからです。

 人間は進化の過程で飢餓状態の歴史のほうが長かったので、現代の日本のように、砂糖が必要以上にあり、血糖値が急上昇するという状況は想定されていませんでした。

 そのため私たちの体内には、血糖値を上げようと働くホルモンはたくさんありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。 

 ところが、砂糖中毒に陥った現代人は、ことあるごとに砂糖を取り、常に血糖値が上がりやすい状態にあります。しかし、血糖値を下げるためのホルモンは1つしかないので、血糖を下げるシステムが間に合わなくなり、糖尿病という病気を発症するわけです。

 ここで、「糖尿病などの生活習慣病の原因は肥満だ」とよく言われます。しかし、糖尿病や高血圧などの患者さんを見ると、太っていない人も多くいます。

 砂糖中毒になると、太っていないかどうかに関係なく、生活習慣病になりやすくなります。生活習慣病の原因は肥満ではありません。砂糖こそが諸悪の根源なのです。

袋に入った加工食品は買わない!

 この話を患者さんにすると、「家で料理をするときに、そんなに白砂糖を使っていません」と言うかたがいます。しかし、実は怖いのは、台所の砂糖ではありません。「目に見えない砂糖」なのです。

 先に挙げたコンビニやスーパーで売っている菓子やパン類などの加工食品には、大量の砂糖が含まれています。レトルト食品やカップ麺、お弁当屋さんで売っているお弁当や総菜なども然りです。

 そして、砂糖とともに気をつけたいのは、人工甘味料です。最近では、一般家庭の調理では使われることのない香料や乳化剤、人工甘味料を多く使用している加工食品のことを「超加工食品(ウルトラ加工食品)」と呼ぶようになりました。

 袋詰めされたパンや焼き菓子、スナック類、シリアルのほか、チキンナゲットなどの再構成肉、即席麺類、即席スープ、清涼飲料水など、日本のコンビニやスーパーに置かれている「袋入り」食品の多くは超加工食品と考えられます。

 ブラジルのサンパウロ大学栄養学科の研究チームの報告によると、米国人が摂取する総カロリーのうち、これら超加工食品から摂取している割合は約58%に上るそうです。

 また、人工甘味料などの添加糖は約90%が超加工食品から摂取されているというデータがあります。

 日本において、このようなデータはまだ発表されていませんが、販売されている製品はほぼ同じなのですから、同様の結果が予測されるか、日本の加工食品のほうが精巧で美味なため、もっと悪いデータになるかもしれません。

 つまり、家庭で料理に使う砂糖を減らすだけではあまり意味がなく、コンビニやスーパーなどで販売されている、袋に入った超加工食品をやめなければならないのです。

 血糖値が上がり、糖尿病になると、血管が傷むため、万病・老化の原因になります。「世の中の多くの病気の原因は砂糖だ」と言っても言い過ぎではありません。

 砂糖をやめること、袋に詰められた超加工食品を買わないこと、これが健康長寿のための第一歩なのです。

以降に、砂糖中毒から脱却するための方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

朝食か昼食に生野菜ジュースをとる

小松菜は「天然のマルチサプリ」

 砂糖中毒の治療は、食べたときに血糖値がなるべく上昇しないようにすることです。急激に上がった血糖値が下がるとき、砂糖中毒の人は甘いものを欲するからです。

 そのための最もよい方法は、砂糖の入った超加工食品をやめること。そして、摂取する炭水化物(糖質)をゼロに近づけること。糖質をゼロにすれば血糖値は上昇せず、中毒症状も出ません。

 炭水化物の摂取量を控え、質のよいたんぱく質を多く取ること。具体的に言えば、ご飯、パン、麺類などの穀類やイモ類を控え、赤身肉、魚介類、卵、大豆、大豆製品などでたんぱく質をしっかり取ることです。

 こうした食事を「ケトン食」と言います。私たちの体は、糖質をエネルギーに変える糖質代謝のほかに、体内の脂肪を分解してエネルギーに変換する「ケトン体回路」があります。ケトン食は、このケトン体回路が動きやすくなる食事です。

 ケトン体回路を回すと、血糖値を上げずにエネルギーを作ることができるため、血管を傷めることがありません。また、ケトン体から生成されたエネルギーは、糖から作られたエネルギーよりも効率がよく、最近では、病気や老化を予防して寿命を延ばすという観点からも、ケトン食が注目されています。

 とはいえ、砂糖中毒の人が今すぐケトン食を始めようとしても、なかなか難しいでしょう。そこで私は、砂糖をやめる食生活の一歩として、次のことを勧めています。

❶朝食か昼食を生野菜ジュースにする

 生野菜ジュースは、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的です。私は特に、小松菜とリンゴのジュースを勧めています。

 小松菜は「天然のマルチサプリ」と言われるように、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維などを豊富に含み、1年じゅう店頭に並んでいます。また、抗酸化作用も高く、老化予防にも役立ちます。

 小松菜だけでは飲みにくいので、リンゴを入れると飲みやすくなります。リンゴにもビタミン類などが豊富に含まれます。

 それでも飲みにくい人はさらにバナナを入れる手もありますが、バナナは糖質が多いので入れ過ぎないようにしてください。

 果物はスーパーなどで実物を買って、ジューサーで作るのが基本になります。忙しくて市販の野菜ジュースを買う場合は、砂糖や人工甘味料、添加物が入っていないものを選んでください。

❷発酵食品を積極的に食べる

 麹、みそ、しょうゆ、納豆、漬け物、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品は、腸内環境を整えるなど、多くの健康作用があります。

 特に麹は、砂糖の代わりに調味料として活用できます。

❸野菜から食べる

 食事の際は、野菜から先に食べるようにしてください。それだけでも血糖値の急上昇を抑える効果があります。

❹よくかんで食べる

 よくかんでゆっくり食べることで、血糖値の急上昇を抑え、満腹感が得られやすくなるので、過食の予防になります。

MCTオイルを摂取する

 そして、私が今、日本人を砂糖中毒から救う製品として注目しているのが、「MCTオイル」です。

 MCTオイルとはココナッツなどから抽出した脂肪酸100%の無味無臭の健康油です。現在は、
スーパーやネット通販などでも手軽に購入できます(360g入りで2000円前後)。

 MCTオイルを取ると、すぐケトン体回路からエネルギーとして使われます。脳が糖を欲しなくなり、おなかが空かなくなるため、砂糖中毒から逃れられるのです。

 私の運営する老人介護施設では、砂糖を抜くことを徹底し、食事はMCTオイルを併用したケトン食を提供しています。すると、入所している要介護3~4の患者さんたちに、劇的な症状の改善が見られているのです。

 現在、ケトン食を用いて、脳の酸化ストレスを軽減し、アルツハイ
マー病の危険因子を抑制する方法も一部の研究機関で検討されているようです。このことから、認知症やアルツハイマー病にも砂糖が大きく関係していることがわかります。

 私自身も最近は、朝食はMCTオイル入りのコーヒーを飲み、昼食はゆで卵2個と小松菜などの緑黄色野菜を食べ、おやつとしてMCTオイル入りのコーヒーを飲んでいます。夕食は好きなものを楽しんでいますが、血糖値を上げるものはなるべく控えています。