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【脂肪肝と食事】肝臓がフォアグラになる食生活とは…体によさそうな甘い健康飲料が実はワナ

あなたの肝臓が「フォアグラ」に……

私たちが、肥満や脂肪肝の改善に最も重要だと考えているのが「砂糖水(加糖飲料)を飲まない習慣」です。加糖飲料は、肝臓にとっての〝毒〟にほかならないからです。

糖を過剰に摂取すると、直接的に脂肪肝の原因となります。

例えば、採れたての穀物をそのまま食べるなら、問題は少ないのですが、精製され、食物繊維など他の成分が削ぎ落とされた糖質ほど、肝臓への害が大きくなります。

フランス料理のフォアグラは、消化がよいように柔らかく蒸したトウモロコシを、強制的に直接胃に流し込む食べさせ方で飼育したガチョウの肝臓で、脂肪肝そのものです。

トウモロコシは、総カロリーの75%が糖質(でんぷん)です。

でんぷんは、小腸でブドウ糖に分解されます。

ブドウ糖は、膵臓から分泌されるインスリンの働きで細胞に取り込まれて、脳や筋肉、各臓器のエネルギーとして使われますが、使われなかった分はグリコーゲンとなり、肝臓と筋肉に蓄えられます。

肝臓と筋肉がグリコーゲンでいっぱいになると、新たに入ってきたブドウ糖はインスリンによって中性脂肪に変換され、体に蓄積します。

フォアグラになるガチョウは、ほとんど運動できない環境で飼育されます。筋肉を動かさず、グリコーゲンをほとんど消費しない状況で、多量の糖質を与えられ、ブドウ糖から中性脂肪への変換が進み、肝臓に脂肪が蓄積していくのです。

もし、あなたが運動不足で、精製された糖質を多くとる食生活をしていれば、まさに自分の肝臓をフォアグラにしているようなものです。

水、お茶、ブラックコーヒーで数値は改善!

精製糖質の最たるものが、砂糖です。砂糖は、サトウキビやテンサイなどの植物を原料として、限りなく不純物が取り除かれ、真っ白に精製された糖質です。

砂糖は、ブドウ糖と果糖が1対1で結びついてできています。

果糖は、糖類の中で最も甘みが強い糖です。果物に多く含まれることから、なんとなくヘルシーなイメージかもしれませんが、実はブドウ糖以上のくせ者です。

近年の研究で、果糖を急速に摂取すると、直接的に肝臓を障害するとわかりました。

果糖は、摂取量が少量なら、小腸内で酵素の働きによりブドウ糖と有機酸に変換されます。

しかし、量が多いと小腸の処理能力を超えてあふれ出し、そのまま肝臓へ向かいます。そして、肝臓の処理能力を超えた果糖は、肝障害や肝臓の脂肪化を引き起こすのです。

加糖飲料や加工食品には「果糖ブドウ糖液糖」がよく用いられます。砂糖よりも安価で甘味が強く、液体で加工しやすいからです。

果糖ブドウ糖液糖は、トウモロコシを原料に人工的に精製されたもので、果糖の割合が50%以上90%未満、残りがブドウ糖です。

つまり、肝臓への害が砂糖以上に大きいのです。

栄養ドリンクやスポーツドリンク、乳酸菌飲料など、一見「健康によさそう」なイメージの飲料にも果糖ブドウ糖液糖が含まれています。

また、野菜や果物をそのまま食べれば、食物繊維の働きで糖質の吸収が穏やかになりますが、ジュースで飲むのはぜんぜん違います。体によかれと思って飲んでいる100%果物・野菜ジュースなどが、実は肝臓に害を与えることは、もっと知っていただいたほうがよいでしょう。

脂肪肝を指摘されているかたは、飲み物を、水、無糖のお茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶など)、ブラックのコーヒーにしてください。

信じられないと思うかたは、まずは健康診断の前の1カ月だけでも実践してみてください。きっと肝臓の検査値に改善が見られるでしょう。

※「リポビタンD」はラベルに原材料名の記載はないが、炭水化物量はこの数値

加工食品と精製糖質を減らすとやせる!

砂糖水に次いで気をつけるべきは「加工食品」です。

ここでいう加工食品は「原料の形がわからない食べ物」と考えてください。

例えば、カップ麺やスナック菓子、ケーキ、クッキーなどの甘いもの、ミートボールやチキンナゲットなどです。

加工食品には、先ほど挙げた果糖ブドウ糖液糖のほか、乳化剤、保存料などの添加物が含まれています。また、糖分や塩分、脂肪が多量に含まれていることも多くあります。

アメリカ国立衛生研究所の研究によると、各種の栄養成分の含有量はほぼ同じになるように設定した「加工食品を使わない食事」と「加工食品ばかりの食事」を4週間にわたって実験の参加者に食べてもらったところ、加工食品を食べたグループは1日あたり平均500㎉も多く食べ、体重も増えました。加工食品は食べ始めるとやめられず、多く食べてしまうということです。

日常の食生活で加工食品をゼロにするのは難しいかもしれませんが、できる限り減らしましょう。

白米、白パン、麺類などの精製糖質を減らすこともお勧めしています。過度の糖質制限は、低血糖症などの恐れがあり、よくありませんが、現代人のほとんどは、主食として糖質をとりすぎています。

1日の糖質量を130g以内にして、続けてみましょう。1食当たりの主食は白米なら70g(茶碗の半分)、食パンなら60g(6枚切り1枚)、ラーメンなら60g(生麺1/2玉)が目安です。

減量が成功し、脂肪肝が改善した後も、精製糖質を1日130g以内にする習慣を継続すると、リバウンドすることもありません。生活習慣病の予防にもなります。ぜひ実践してみてください。

この記事は『ゆほびか』2023年2月号に掲載されています
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