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【小林正観】【営業の極意】喜ばれることは、売り上げに結びつく

一流の営業は、営業活動をしていないらしい

ある集落のすべての家に、車を売った男がいる

喜ばれる存在になろうと踏み切ることができたなら、ものすごくおもしろい人生が待っていることを、断言します。

テレビで、「数百軒の集落に1人だけ車のディーラーがいて、集落の家すべてにM社の自動車が入っている」という番組がありました。そのディーラーが、すべての家にM社の車を売っているそうです。

集落には、M社のライバル社から、多くの辣腕ディーラーが投入されました。しかし、すべてのディーラーは、住民たちから同じ言葉を言われます。

「あの人がN社を勧めればN社。T社を勧めればT社。あの人がM社を勧めるなら、ずっとM社の車を買います」

いったいどんなディーラーなんだ? と、テレビ局が取材に入って、わかったことがありました。

そのディーラーは、携帯電話を24時間ずっと持っていて、トイレでも、お風呂でも、布団の中でさえ、いつも手元に置いているそうです。そして、峠で車が故障したと聞くと、午前2時でも3時でも駆けつけます。町で接触事故を起こすと、相手が怖そうな人のときでも、その人と渡りあってくれるそうです。休日前に車が故障したというときは、どんな遠くに行ってでも、代車をみつけて持ってきます。

交通事故や故障に遭ったとき、「家族や親戚に連絡して嫌な顔をされるよりは、あの人に電話したほうがいい」と、住民たちは判断するのだそうです。

集落じゅうの人は、「その人からM社の車を買っていると、車を買うだけでなく、車にまつわるすべての安心を買える」と気づいていたのでした。

「いかに売ろうか」ではない。「いかに自分が役に立てるか」だけ。

私が講演会でこの話をしたところ、M社の本社に電話をして、そのディーラーの名前と連絡先を聞き出した人がいました。そして、ディーラーと直接電話をしたそうです。

そのディーラーは電話で、「車を売ろうとしてセールス活動をしたことは一度もない。なぜか向こうから、車を買いたいと電話がかかってきて、注文があるから売っている」と話したということです。

この人は、「いかに売ろうか」を考えていなかった。集落の人たちのカーライフの中で「いかに自分が役に立てるか」だけを、いつも考えていたんです。

それで携帯電話の電源を24時間入れていたわけなのですが、実際のところ、真夜中に電話がかかってくることが1年に何回あるのかというと、ほんの1、2回だそうです。だから、携帯電話を1日じゅう手元に置いているのは、大したことではないと言います。「365日、毎日寝られなかったら大変ですが、そんなことをやっているわけではない」と。

喜ばれることは、売り上げに結びつきます。ただし、売り上げのために無理して嫌々やっていると、その本音は、いつかばれてしまいます。(『小林正観CDブック 神様を味方にする法則』より)

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