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なぜ一流の人は「トイレ掃除」にこだわるのか——知らない人にも自分にも気づかうことが運と成功を導く【前編】

成功者はこだわっている! いつもトイレをピカピカにする2つのメリット

ホスピタリティー・マナー講師の松澤萬紀さん

私は12年間、ANAの客室乗務員(CA)の仕事をしていました。500万人以上のお客様の対応をさせていただいた経験を生かして、現在はホスピタリティー・マナー講師に。幅広い世代のかたがたに、気づかいやマナーのたいせつさをお伝えしています。

気づかいやマナーは、あなたの人生を左右する重要な要素です。私がそのように気づいたのは、一流と呼ばれるかたがたの日頃の気づかいの習慣を間近で見ていたことがきっかけでした。

例えばトイレ。一流のかたがたには、自宅のトイレのみならず、不特定多数が使用する外出先のトイレまで、きれいな状態にしてから退出するかたが少なくありません。それが、一流の人たちにとってはあたりまえのことのようなのです。

芸能界では、ビートたけしさん、アキ子さん、郷ひろみさん、麒麟の川島明さんなどが、自宅あるいは出先でのトイレ掃除にこだわっていると公言されています。

一流の人には、自宅あるいは出先のトイレ清掃にこだわっている人が少なくない
(右 郷ひろみさん/ 左 麒麟の川島明さん)

 また、経済界では、松下幸之助さん(パナソニック創業者)、鈴木清一さん(ダスキン創業者)、鍵山秀三郎さん(イエローハット創業者)などが、トイレ掃除の重要性を説き、会社を大きく発展させています。

トイレをきれいに使うお客様には共通点がある

トイレ掃除をすることには、2つのメリットがあると思います。1つは、他者からの信頼を得られること。もう1つは、自信が高まるということです。

まず1つ目の「他者からの信頼を得られる」について、私がCAだったときの話をさせていただきます。

CAは、お客様にトイレを快適にご使用いただくために、こまめに掃除をしています。お客様が使用した後は、大抵、便器や洗面台の周囲に水はねや汚れがあるもの。それをCAは、できる限りいつも拭き上げ、いつお客様がトイレを使っても、清潔、ピカピカな状態であるようにしているのです。

ごく稀に、CAが掃除をする必要もないほど、トイレをピカピカにしてくださるお客様がいらっしゃいます。トイレットペーパーの端を三角に折り、洗面台や鏡の水滴までしっかり拭いてくださるのです。

このようなかたは、おおよそ100人に1人の割合しかいらっしゃいませんが、その人たちは身の回りのかたへの気づかいが常にあり、魅力的に見えました。

100人に1人の彼らは、次の人への心配りがあるばかりか、機内のトイレを自分の家のトイレと同じように使おうと思ってくださっていたのかもしれません。

CAが行うトイレ掃除は、仕事の一環です。でも、お客様が機内で行うトイレ掃除は、他者への気づかいです。名前も知らない、話をしたこともない相手にも気づかいができるからこそ、周囲の人たちから信頼され、応援される——そんな人こそが、一流なのだと思います。

ところでANAには、「小さいことほど丁寧に、あたりまえのことほど真剣に」という社訓がありました。

意識さえしない小さなこと、あたりまえのことにも、ふだんから真剣に取り組んでいると、それがやがて大きな信頼につながります。

不特定多数の人が使うトイレを掃除するのに、特段の技術はいりません。やろうと思えば、誰でもできることです。でも、それをしている人は、たった1%。ですから、誰でも実行さえすれば、1%の一流になれるのではないでしょうか。

外出前のトイレ掃除で仕事がうまくいく

次に、2つめのメリット「自信が高まる」については、私自身の体験も絡めてお話しします。

私は、以前どこかで「トイレ掃除をすると運がよくなる」と聞いてから、毎日欠かさず、家のトイレを掃除するようになりました。

トイレは狭い空間ですし、掃除を毎日していればひどく汚れるわけでもありません。毎日やっていることは同じです。だからこそ、掃除中は「無」の状態になれる。集中して掃除している間は、余計なことは考えずにいられます。

マナー講師として、全国各地でお仕事をさせていただくようになって13年経ちますが、今でも講義当日の朝は緊張してしまいます。

そこで私は、緊張をほぐすため、トイレ掃除をしてから出かけるようにしています。すると、トイレ掃除をしなかった場合より、自信を持って人前に立て、本来の力を発揮でき、その日の仕事がうまくいくのです。

掃除とは自分をたいせつにする行為

自宅や出先のトイレを含めて、自分を取り巻く環境を美しく整えることは、自分をたいせつにすることにつながります。

自分のことをたいせつにできるようになれば、人生がもっと幸せで過ごしやすいものなるのは言わずもがなです。

また、他者をたいせつにする気づかいは、気づかうお相手本人だけでなく、あなたの周囲のおおぜいの人からの信頼と応援を導きます。

自分をたいせつにするアクションであり、他者をたいせつにするアクションでもあるトイレ掃除。幸せに生きるためには必須だと、私は考えています。

逆に、トイレが汚いままだと、「自分はなんてだらしないんだ……」「自分も他者もたいせつにできていないのでは……」という念が、無意識のうちに心に沁みついてしまうかもしれません。

また、汚れた状態に慣れてしまうと、汚れていることに気づきにくくなります。そんな状態では、うまくいくこともいかなくなるし、改善の糸口もどんどんつかみにくくなりますよね。

ちなみに、私の行うトイレ掃除では、毎日を健康に過ごせていることに感謝しながら、便器の内側の汚れはモップで落とし、便器の外側・床・壁はトイレシートで拭いています。トイレットペーパーの端は、もちろん三角折り。掃除道具は目につかない場所に片づけ、換気扇は24時間回しています。

 おかげさまで、全国をあちこち飛び回る生活をしていますが、いつも健康です。

(後編に続きます)