インドやネパールではあたりまえの「キャベツのスパイス炒め」。実はこのキャベツとスパイスの組み合わせは、がん予防に最強の組み合わせだったのです。
作ってみると実に簡単!しかも、やみつきになるおいしさです。スパイスが好きすぎて7㎏やせたカリー子さんに、超簡単レシピから本場の味を再現する本格レシピまで、スパイスの魔法に誘われる5品を作っていただきました。
あなたのキャベツ料理の新定番が、きっと見つかります!
スパイス料理で7㎏やせた印度カリー子さん直伝!「無限スパイスキャベツ」5品のレシピ
スパイスに魅せられて毎日カレーを作るように
私がスパイスの虜になったのは、5年前の大学生のときでした。一緒に暮らしていた姉が、インドカレーの食べ歩きにハマっていて、「家でも作って」と言われたのがきっかけで、ネットを見てスパイスを使ったカレーを作ってみたのです。
すると、あまりのおいしさと簡単さに感動!それからは、スパイスを買ってきては、毎日、カレーを作るようになり、レシピの幅がどんどん広がっていきました。
私は昔から料理が好きでしたが、和食も洋食も、調味料によってどんな味になるのかが想像できます。でも、スパイスの組み合わせでは、まったく想像していなかった味が生まれるのがおもしろくて、研究が始まりました。
それからは、「スパイスカレーを知らずに死ぬなんてもったいない!」「日本にもっとスパイスを広めたい!」と考えるようになり、大学に行きながら、会社を設立して、商品開発も始めました。
日本や欧州のカレーは煮込み料理ですが、インドのスパイスカレーは炒め料理です。そのため、少量でも作りやすく、時短料理にもなるので、忙しい人にもお勧めなのです。
スパイス生活を続けたら1年半で7㎏やせた
毎日、スパイスカレーを食べていて驚いたのは、1年半で7㎏やせたことです。
「カレーは高カロリーで太る」というイメージを持っている人も多いのですが、スパイスカレーは、市販のカレールーで作るカレーと違って、小麦粉を使いません。スパイスと野菜がたっぷりで、とてもヘルシーなのです。
インドでは、たっぷりの油で作りますが、私は油が苦手なので、少なめにしています。日本は野菜が新鮮なので、油が少なくてもおいしく作れるのです。
私は大学院で、サフランというスパイスによる脂肪細胞の変化について研究していたのですが、スパイスがダイエットをサポートしてくれる可能性も期待できます。
また、ダイエットだけでなく、スパイスによる冷えの改善や、自律神経の調整、胃腸を整えるといった健康効果も確認されています。
スパイスカレーを食べ始めてから、お菓子を食べなくなったという変化もありました。スパイスは香りがよく、料理がおいしくなるので、食後の満足度が高くなり、甘いものを食べなくても満たされるのだと思います。
また、スパイス料理は、私たちが食べ慣れている和食や洋食と違って、「初めて食べる味だ!」とその刺激に脳が反応することも、満足度の高さにつながるようです。
さらには、毎日、スパイス料理という食べたいものを食べて、ストレスがなくなったことで、食べ過ぎてしまうこともなくなり、適正な体重に体が戻っていったのでしょう。
安くて栄養価の高い万能野菜のキャベツ
私は、野菜の中でもキャベツがいちばん好きです。キャベツは、100g当たり22.9㎉で、1/4玉相当の約200gを食べても、50㎉にもならない低カロリー食材です。
しかも、炒めても煮てもおいしくて、スパイスとの相性も抜群です。「ちょっと太ったかな」と思ったときは、いつもキャベツを使ったスパイス料理を作るようにしています。
キャベツは腹持ちもよく、ご飯がなくても満足感が得られます。私はキャベツの芯や外葉も全部使うので、無駄もありません。
1年中、スーパーで安価で手に入る野菜であることも魅力です。キャベツは、インドやネパールでも、あたりまえのように家庭料理に使われています。
そこで今回は、まず地域別のキャベツの定番メニューを4品ご紹介します。
「サブジ」とは、北インドの野菜炒め・蒸し料理のことです。
「タルカリ」は、ネパールの野菜や肉の炒め料理。
「トーレン」は、南インド・ケーララ州の野菜の蒸し炒め料理のこと。
「ポリヤル」は、南インド・タミルナドゥ州の調理法で、「揚げるようにして炒める」という意味です。
これらの4品は、地域によって使うスパイスが微妙に異なっています。そのため、一見、同じように見えるキャベツの炒め蒸し料理ですが、実際に作って食べ比べてみると、その味わいの違いを楽しんでいただけることと思います。
インド・ネパールのキャベツの定番料理の呼び名
5品目「無限キャベツカレー」は、私のオリジナルレシピです。キャベツと相性のいいココナッツミルクを組み合わせることで、キャベツをもりもり食べられます。ご飯なしでも食べられる、ハマるおいしさです。
スパイスの基本はクミン、コリアンダー、ターメリック
使われているスパイスは、キッチンにあるものもあれば、ないものもあると思います。どうぞ作りやすいものからお試しください。
そして、「食べてみたらおいしかった」「こんなに簡単だとは知らなかった」と、スパイス料理の魅力をお感じになったら、スパイスを買い足して、別のレシピもお試しください。
きっと、あなたのキャベツの新定番レシピが見つかることと思います。「何から揃えればいいのかわからない」というかたは、クミン、コリアンダー、ターメリックの3つをご用意いただくだけで、基本のスパイス料理が簡単においしく作れます。
辛さを出したいかたは、チリペッパーやブラックペッパーを加えるといいでしょう。これらの辛みは、脂肪燃焼効果を高めてくれることもわかっています。
また、「スパイスはホール(原型のまま)のものとパウダー(粉末)のものがありますが何が違うの?」という質問もよく受けます。
ホールとパウダーでは、成分は同じでも、香りがまったく異なります。わかりやすく言えば、煎りゴマとすりゴマの違いと考えていただくとよいでしょう。一般にホールのほうが香りは強いです。
レシピの材料にある「はじめのスパイス」欄では、ホールスパイスをいくつか使っています。
スパイス料理の醍醐味は、香りです。焦げないように注意する必要がありますが、どうぞ、はじめに香りを引き出すプロセスをお楽しみください。
ココナッツとカレーリーフで南インド料理の味わいに
また、ココナッツとカレーリーフ(オオバゲッキツというミカン科の木の葉)を使うと、南インド料理の味わいになるのでお勧めです。
ココナッツファインは、ココナッツの甘い香りと食感を楽しめます。カレーリーフは、日本のシソのようなもので、必須ではありませんが、香ばしさをアップしてくれます。
今回ご紹介している料理は、冷めてもおいしいので、作り置きや、お弁当のおかずにもお勧めです。どうぞお試しください。
レシピに登場するスパイスほか材料一覧
ここに紹介したスパイスや食材は、近くのスーパーでも手に入るものもありますが、なければ、輸入食材店や百貨店、ネットショップなどで手に入ります。(はじめからすべて揃える必要はありません)
北インドの簡単定番おかず「キャベツのサブジ」
サブジはインドの野菜炒め料理の一つです。ヒンディー語であり、北インドなどでよく見かけます。
クミン、ターメリック、チリペッパーなどの香辛料が用いられ、簡単な野菜カレーのような副菜です。
■材料
キャベツ:1/4玉(200g)ざく切り
油:大さじ1
塩:小さじ1/4
パクチー:(あれば)1株/みじん切り
■はじめのスパイス
クミンシード:(あれば)小さじ1/2
■パウダースパイス
ターメリック:小さじ1/2
チリペッパー:小さじ1/2
【MEMO】チリペッパーの辛みが苦手な人は、辛みのないパプリカパウダーで代用してもOK。パクチーの香りが苦手な人は、完成前に一緒に炒めることで、香りが薄くなる。
作り方
①油にクミンシードを入れ、油の中に浸すようにして、泡を立てて全体的に浮いてくるまでじっくり熱する。
②キャベツ、塩、パウダースパイスを加えて、キャベツがしんなりするまで炒める。
③火を止めて、パクチーを振って混ぜ合わせて完成。
ネパールの家庭の定番料理「キャベツのタルカリ」
タルカリはネパールの野菜や肉の炒め料理の一つです。ネパール語であり、ネパールでよく見かけます。
家庭料理でタルカリといえば野菜料理が多く、クミン、ターメリック、コリアンダー、チリペッパーなどが使われ、インドのザブジと似ています。いわゆる簡単なカレーのような野菜の副菜です。
■材料
キャベツ:1/4玉(200g)細切り
おろしニンニク:小さじ1
おろしショウガ:小さじ1
油(マスタードオイルだとより本格的に):大さじ1/2
塩:小さじ1/4
砂糖:小さじ1/4
ギー(バター5gで代用可):小さじ1
■パウダースパイス
クミン:小さじ1/2
コリアンダー:小さじ1/2
ターメリック:小さじ1/2
チリペッパー:小さじ1/4
【MEMO】すっぱい香りがするマスタードオイルがあれば本格的な味わいに。蒸すことでスパイスのむらがなくなり、キャベツも柔らかくなり、よりカレーっぽい仕上がりに。
作り方
①油でニンニク、ショウガを香りが立ってくるまでじっくり熱する。
②キャベツ、塩、砂糖、パウダースパイスを加えてキャベツをかき混ぜる。
③キャベツがしんなりしてきたら、火を弱め、ふたをして3分ほど蒸す。
④仕上げにギーを加え、混ぜ合わせて完成。
南インド・ケーララ州の「キャベツのトーレン」
トーレンは南インドの野菜の蒸し炒め料理のことです。マラヤーラム語であり、南インドのケーララ州あたりでよく見かけます。
マスタードシード、カレーリーフ、ターメリック、チリペッパー、ココナッツファインなどと炒め合わせ、蒸して調理します。ポリヤルと食べられている地域も近く、両者は似ています。
■材料
キャベツ:1/4玉(200g)細切り
ココナッツファイン:大さじ4
おろしショウガ:小さじ1
油(ココナッツオイルだとより本格的に):大さじ1
塩:小さじ1/4
■はじめのスパイス
ウラドダル(あれば):小さじ1/2
マスタードシード(あれば):小さじ1/2
クミンシード(あれば):小さじ1/2
カレーリーフ(あれば):10枚
■パウダースパイス
ターメリック:小さじ1/2
【MEMO】マスタードシードは、油となじむとナッツのような香りに。ダルの食感は、アーモンドやクルミで代用してもOK。ココナッツファインの香りが好きな人は、加熱しすぎると香りが飛ぶので注意。
作り方
①油にウラドダル、マスタードシードを入れ、油の中に浸すようにして熱する。
②マスタードシードが跳ね始めたら、クミンシードを加える。
③クミンシードが泡を立てて浮いてきたら、カレーリーフとショウガを加える。
④キャベツ、塩、ターメリックを加えて混ぜ合わせる。
⑤キャベツがしんなりしてきたら、火を弱め、ふたをして3分ほど蒸す。
⑥ココナッツファインを加え、2分ほど炒めて完成。
南インド・タミルナドゥ州の「キャベツのポリヤル」
ポリヤルは南インドの野菜炒め料理のことです。タミル語であり、南インドのタミルナドゥ州あたりでよく見かけます。
揚げるようにして炒めるという意味合いがあり、野菜とマスタードシード、豆、ターメリック、チリペッパー、ココナッツファインなどと炒め合わせます。
■材料
キャベツ:1/4玉(200g)ざく切り
ココナッツファイン:大さじ2
油:大さじ1
塩:小さじ1/4
■はじめのスパイス
チャナダル(あれば):小さじ1
マスタードシード(あれば):小さじ1/2
カレーリーフ(あれば):10枚
ヒング(あれば):小さじ1/8
■パウダースパイス
ターメリック:小さじ1/2
チリペッパー:小さじ1/2
【MEMO】ココナッツは少なめなので、ココナッツが苦手な人にもおすすめ。チャナダルはカレーにもよく使われるが、火が通るまで時間がかかる。
作り方
①油にチャナダル、マスタードシードを入れ、油の中に浸すようにして熱する。
②マスタードシードが跳ね、収まってきたらカレーリーフとヒングを加える。
③キャベツ、塩、パウダースパイスを加えてキャベツがしんなりするまで炒める。
④ココナッツファインを加えて2分ほど炒めて完成。
印度カリー子オリジナル「無限キャベツカレー」
キャベツに相性がよいのは、ココナッツミルク!だと思います。キャベツだけなのに異常においしいキャベツカレーの作り方を紹介します。
■材料(4人分)
キャベツ:1/2玉(400~500g)ざく切り
ニンニク:3かけ みじん切り
ショウガ:1かけ みじん切り
タマネギ:1/2個(100g)薄くスライス
トマト:1/2個(100g)ざく切り
ココナッツミルク:100㎖
水:100㎖
塩:小さじ1
油:大さじ1
■はじめのスパイス
マスタードシード(あれば):小さじ1/2
フェヌグリークシード(あれば):小さじ1/4
カレーリーフ(あれば):10枚
■パウダースパイス
コリアンダー:小さじ1
クミンパウダー:小さじ1
ターメリック:小さじ1/2
チリペッパー:小さじ1/4
ブラックペッパー:小さじ1/4
【MEMO】フェヌグリークシードはメイプルのような甘い香り。トマトはトマト缶でもOKで、甘みが強くなる。
南インドカレーのタマネギは、みじん切りではなく薄切り。水が少ないかもと思っても、蒸しているとキャベツの水分が出てくるからだいじょうぶ。
作り方
①油にマスタードシードを入れ、油の中に浸すようにして熱する。
②マスタードシードが跳ねはじめたらフェヌグリークシードを加え、跳ねがおさまってきたらカレーリーフを加える
③ニンニク、ショウガ、タマネギを加え、中火で5分ほど炒める。
④トマトを加え、ペースト状にする。
⑤パウダースパイスを加え、弱火で1分ほど炒める。
⑥キャベツ、ココナッツミルク、水、塩を加えて5分ほど煮る。
⑦味見してみて、ものたりなければ塩(分量外)で味を調えて完成。