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【山本光輝】稀代の書家が会得した 「神降ろし」で無限の力を得る技術(②)

天地光彩
(山本光輝)

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自分は天からの力を伝えるための存在

 私はそれから、ある理由で池田先生に破門されて凹んでいましたが、そんな中、東京・神保町の三省堂で個展を開く機会をいただきました。

 そのとき、1人の来客が驚いた様子で「どうしてこの書から光が出ているんですか? どうやって書いたんですか?」と尋ねられたのです。別の日にも「書に光が見える」と仰る方が2人現れました。

 それ以降、私の書画を飾ったら病気が改善したという報告を皮切りに、出世した、お金に困らなくなったといった声が届きはじめます。さらには、重篤な脳腫瘍が発見され手術入院された方から「20日間で退院できた」、牧場経営の方から「瀕死の子牛が甦った」など、私自身、にわかには信じがたい報告も次々と届いたのです。

 お礼を言われても「そんな神がかりな力が自分にあるわけがない」と、私は首を横に振っていました。

 ある日、知人が生け花を前にして、「山本さん。花には香りがないって知ってますか?」と言いました。

「えっ? ありますよね。実際に今、いい香りがしますし」と私。

「山本さんは、花は自らの養分で香りを作って、昆虫や鳥たちを呼ぶと思っているのでしょう?」

「そうじゃないのですか?」

「実は、この花は、自分の香りを宇宙空間から集めているんです。元はここなんですよ」と知人は言い、天空を指さしたのです。

 そこで私は、ハッと気づきました。「そうか。私の書もそれだ。私は単なるストローのような存在で、書の力は天から降りてきて、筆に伝わり、書かせられているんだ」。

 同時に、植芝開祖の合気道が「神降ろし」と呼ばれる理由も腑に落ちました。私が植芝開祖と道場にいたあのとき、先生を通じて降りてきた神様の技を見ていたのだと。

合気道の呼吸法を取り入れた書法

 自分の書画に不思議な力のある理由を考えるうちに、いつも書を書くとき「いろは……」と声に出し、息を吐きながら筆を動かしていることに気づきました。この呼吸法的所作は、合気道と通じるものです。

 合気道の最大の特徴は、呼吸を重視することです。力を抜き、息を吐きながら技を出すことで氣を巡らせ、大きな力を発揮するわけです。

 ということは、伝統的な毛筆による書と、合気道で培った「長呼気丹田呼吸法」(吐く息を長くする腹式呼吸)を組み合わせれば、体と書の両方によい氣がめぐるのではないか。こう思い至ったのが、「いろは呼吸書法」誕生のきっかけです。

「いろは呼吸書法」では、「いろはうた」と「ひふみ祝詞」のそれぞれ48音を発声しながら書いていきます。このとき、宇宙に充満している言霊の波動に共鳴するために、言葉の意味を考えず、ただひたすら書いていきます。うまく書こうという意識はいっさい働かせません。

 そこには合気道の稽古の目的である「神人合一」、つまり宇宙と一つになる「無我・無心、無情」の心境があります。そうすることで私たちの魂は光を放ち、「神降ろし」の無限の力が発揮されるのです。

植芝先生も語っていた「サムハラ」の言霊

 上の書は、右に「いろはうた」、左に「ひふみ祝詞」、中央に「サムハラ」を書いています。

 サムハラとは、古くから伝わる最強の厄除けの言霊です。日清・日露戦争や第一次世界大戦時には、サムハラをあしらったお守りが兵士の中で流行し、九死に一生を得る奇跡が続出したとのこと。大阪の立売堀にあるサムハラ神社が、その歴史を現代に伝えています。

「サムハラ」は、漢字に似た特殊な文字で書かれますが、今回の書は、それとも異なる「アキル文字」という神代文字(漢字伝来以前に神様との通信に使われていたとされる文字)の一種で書いています。

 ノートルダム清心女子大学教授の保江邦夫先生は、理学博士でありながら神道に造詣が深く、著書も多数お持ちで、何より合気道の達人でもあります。

 保江先生と初めてお会いしたときに、植芝開祖と道歌を書いた書画を差し上げました。保江先生はそれを見て「サムハラだ!」と叫ばれ、それがきっかけで、いっしょに大阪や岡山のサムハラ神社詣でをしたこともあります。

 かつて植芝開祖が稽古中に「わしの守護神はサムハラ龍王じゃ!」と仰ったことがあります。

 当時は何のことかわからず、長い間謎の言葉でしたが、保江先生とのご縁で一気に謎が解けました。

 そして、大阪のサムハラ神社の主祭神が造化三神であることにも、ただならぬご縁を感じています。造化三神とは、天地万物の創造神です。混沌として天地も定まっていない宇宙空間に、最初に現われた神が天御中主大神。次に現われたのが髙産巣日大神と神産巣日大神とされます。

 先日、サイキック・アーティストのHaraYukoさんが私のハイアーセルフ(魂を導く高次元の自己)を描いてくださったのですが、畏れ多いことに、それは天御中主大神でした。

そして、陽と陰のエネルギーを持ち、言霊のエネルギーで創られているとされる髙産巣日大神と神産巣日大神は「いろは・ひふみ」の言霊の神といえます。

 私が合気道に入門し、書道へと導かれた人生の流れすべてがハイアーセルフの導きだったのだと、感謝とともに実感しました。サムハラひふみの図に込められたすばらしい神々のエネルギーをぜひ、受け取ってください。

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