
数十年前に北海道で撮影した不思議な写真です。
緑多い山間の湖に白樺の浮島がある風光明媚な写真から、何が幻なのか?と思われそうな写真ですが、この場所がどこなのか?がわからないのです。
情報が多い今でも探し出すことが出来ない場所なのです。
その日北海道の内陸部を撮影しているうちに、道に迷ってしまいました。車が走れる幅の舗装されていない道が続いていたため、どこかには辿り着くだろうと、甘い気持ちで数時間走り続け視野が開けた場所が写真の場所です。
大自然に囲まれた湖に、白樺の浮島がある光景は神秘な印象で、人工物がありません。光の具合は陰日向なく、景色が全体的に照らされていた印象を持ちました。
当時は、車載ナビシステムなどはなく、地図には載っていないような細い道を走って辿り着いたような記憶が残っています。
北海道には、多くの湖があり、伝説も伝えられています。昔話に出てくる理想郷は、えてして二度と辿り着けないような道を当てもなく進んだ先に描かれています。
「ひょっとしたら私もそのような地に入り込んだのでは?」と考えました。ともあれ、後年まで印象に残る風光明媚な景観を撮影できたことは、幸運なことだと思っています。
道に迷ったとしても、一生懸命進んでいれば、きっと未来が開ける。今はそう信じたいと思います。
(秋元隆良)
【Web担当者から】
秋元さんの著書をご覧いただいた北海道在住の読者のかたから、写真の湖が然別湖(しかりべつこ)であるというお手紙をいただきました。秋元さんにもご連絡しました。ご指摘いただき、ありがとうございます。