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【小林正観】頼まれごとを断らない人は、一生お金に困らない

2020/02/14

釣便図(国宝 十便十宜帖のひとつ)池大雅筆

何も考えずに、頼まれごとをこなし続けた画家がいる

 江戸時代に、池大雅という文人画家がいました。京都の苔寺の近くには、池大雅の美術館もあります。

 池大雅は、頼まれた絵を断ったことがありませんでした。京都ですから、天皇家、御公家さん、武家のお殿様、商人、町人、農家などいろいろな人から、絵を頼まれたそうです。それを1点として、断らなかった。全部描いたのだそうです。

 頼んだ絵を取りに来た人は、絵を頂いて、「ありがとうございました」と言って、玄関先に吊り下げられたざるの中にお金を入れて帰りました。その絵の代金として誰がいくら払ったのか、池大雅夫婦は知らないのです。味噌、米、しょうゆを商人に持ってきてもらうと、そのざるの中から、商人は代金を持っていきました。
 そのような生活をしていた夫婦が、実際にいたのです。

 この話を本で読んだとき、私はすごい衝撃を受けました。今までに、多くの講演会でそれに近い話をしていたものの、池大雅的な生活には踏み切れていませんでした。そこで、「この池大雅的な生き方を実際にしてみたらどうだろう」と思って、私は身をゆだねることにしました。

 もう少し具体的に言うと、どうやって生活をするか、どうやってお金を儲けるかということは考えないで、自分で意識して「頼まれごとは全部引き受ける」と決めました。

 頼まれごとをするとは、喜ばれるということですから、何も考えずにひたすら頼まれごとをやり続けたのです。そうしたところ、いろいろなところからそれなりの収入を得られました。

 そのとき、私の前に4人のかたが現れました。4人はたまたまそのときお金に困っていて、あといくらかあれば助かるということ。その4人の必要とする合計金額が、なんと、そのとき振り込まれていた金額と同じだったのです。

 これはもう、「この人たちに使いなさい」ということだと思い、そのかたたちにお金をお渡ししました。借用書は取っていません。それどころか、いつ返済してもらうかという話もしていません。

 それから少したって、またある金額が口座に振り込まれました。すると今度はまた別の人が現れて、その金額と同じ額のお金に困っていると言われました。そのお金も、もちろん渡しました。

 不思議ですが、「なんとかなりませんか」と言われたときには、なんとかなるようになっているのです。

頼まれごとこそ、人として生きる醍醐味

 このように、お金のことを全然心配しないようになったら、いろいろとお金の入り方が変わってきたという実感があります。

「どうしたら自分の利益が増えるか」ではなく、「どうしたら喜ばれるか」だけ考えて生きていくと、神様は、絶対にその人を放っておかないみたいです。

 そういう考え方の人が何人か集まって、商店街のようなグループを作って、喜ばれる方向でやってみようということになったら、きっとラスベガスのような町ができあがると思います。

 人から何か頼まれて、それをこなしていくことが、人生のすべてであるようです。「人」という漢字は、人と人とがもたれあい、互いに支えあっている形です。人からの頼まれごとがない人は、もたれあったり支えあったりというような、人としての生き方の醍醐味を知らないことになります。

「では、なにかりっぱなことをしなくていいのか。きちんと業績を残さなくていいのか」と聞かれることがありますが、それは趣味としてやるのはかまいません。ただ、人として最終的にやるべきことは「いかに頼まれごとをこなすか」です。
 頼まれごとを一生懸命していると、3年くらいたって、ある方向で集中的に頼まれごとをしていることに気がつきます。それが「使命」「天命」です。それがわかったら、後はもう何も考えなくていい。

 おもしろいことに、頼まれごとというのは、3回に1回はお金を払ってもらえます。

 その受け取りを断る人は、傲慢です。なぜかというと、自分の手元に入ったお金を自分のものだと思っているからです。

 でも、私のところに来たお金は、私が、宇宙の流れの中で一時的に預かるだけ。お金の持ち主は、神様だったり、人類全部、地球全体とも言えます。私はたまたま、一瞬お預かりするだけです。

 だから、お金を受け取るのを断ってはいけません。受け取って、「預からせていただきます」と言うのが正解です。頼まれごとをやって、お金を渡されたら、「ありがとうございます。預からせていただきます」と頭を下げて、どのようにお金を使うか一生懸命に考えて生きていく。

そうすれば、それは生きたお金になります。

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