
30種類以上の酵素が消化を助けてくれる
逆流性食道炎の治療では、食事内容の見直しと改善が重要です。特に、夜にドカ食いする習慣のある人や、肥満の人などは、乱れた食生活を改めないかぎり、胸やけや呑酸などの症状はなかなか改善しません。
しかし、患者さんの中には、仕事の都合やつきあいなどで、食事習慣を変えるのが難しいという人も少なくありません。
そこで私は「消化酵素を含む食べ物を取り入れれば、消化がよくなって逆流性食道炎の症状も緩和されるのではないか?」と考え、さまざまな食品を試してみました。
その結果、米こうじがよいことがわかったのです。
米こうじは酵素の宝庫で、でんぷんを分解するアミラーゼやたんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼなど、30種類以上もの酵素が含まれています。
患者さんたちに米こうじをとるよう勧めたところ、「夜中に胸やけや苦いものが上がってくることが減った」という声が多く聞かれました。
米こうじは、スーパーなどで売られている乾燥のものや粉末のものをそのまま、一つまみ程度食べればOKです。食後に甘酒を少量飲むのもよいでしょう。ただし、加熱処理してある甘酒は消化酵素が死滅しているので、伝統的な製法で作られた非加熱の甘酒を選ぶか、手作りの甘酒をお勧めします。
米こうじ以外で消化酵素が豊富に含まれている食べ物の代表格が、ダイコン、カブ、ヤマイモ、ショウガ、タマネギ、ニンジン、ホウレンソウ、パイナップル、キウイ、バナナ、イチゴ、オレンジなどです。
消化酵素は、熱に弱いので、野菜はサラダや浅漬け、ダイコンおろしなどのかたちで食事に取り入れるとよいでしょう。
果物は糖分も多く、食べすぎると肥満の原因となるので、食後に適量をとるのがお勧めです。
