ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

“足助体操”とは?足首を回すだけで腸が元気になり血液がきれいになる!

万病の原因は腸にある

 足助体操は、関西の治療家・足助次朗先生が創案し、1941年に体系化した体操で す。

 5年ほど前、私は知人から、次朗先生の妻である照子先生を紹介していただきました。照子先生から足助体操の理論を聞いたとき、私は衝撃を受けました。

 「この体操は生命力の根源にアプローチする、本物の健康法だ」と確信したからです。次朗先生は、万病の原因は「退行性変化」にあると考えていました。

 退行性変化とは、日常生活で動かさなくなった筋肉や筋膜、臓器、血管などが萎縮したり、硬くなったりする現象です。

 老化と間違えられやすいですが、若い人にも起こります。中でも、腸が硬くなって働きが悪くなると、老廃物が溜まりやすくなるため、血液が汚れ生命力が下がると、次朗先生は考えました。

 そして、腸の硬化を改善することを重視したのです。実は、これは私の専門である漢方の考えと一致します。

 私たちの体は、飲食物を受け入れ(受納<じゅのう>)、それをエネルギーに変え(化生<かせい>)、さらにエネルギーを蓄えながら(貯蔵<ちょぞう>)、その過程で生じる老廃物を排泄しています。

 漢方では、これらが滞りなく行われることを重視します。この流れが滞ると、生命力の源である、新鮮な血液や筋肉が作れなくなってしまうからです。

 一連の流れをストップさせる、大きな原因のひとつが、「老廃物の停滞」です。漢方では老廃物の停滞は、血液の汚れ(瘀血<おけつ>)に直結すると考えます。瘀血は血流を悪化させ、その結果、さまざまな病気が生じます。

 つまり、老廃物の停滞の停滞は、生命を支えるプロセスを滞らせ、万病のもとになりかねないのです。

 ですから、まずは腸の硬化を改善し、老廃物をしっかり排泄できるような体になることが重要です。

 いうまでもなく、腸は排泄の重要器官ですし、受納・化生・貯蔵にも大きく関係しています。腸は、生命活動を支えるプロセスの、かなめの器官と言えます。

腸が活発なら生命力も上がる

 次朗先生は、「腸が活発に働けば、生命力も増強される」と述べています。これはまさしく、生命力の鍵を握る器官は、腸だということです。

 病に冒(おか)され、動くこともままならなかった次朗先生は、体を動かすためには、まず健康の土台である生命力を上げる必要があると考えました。

 では、生命力はどこから生まれるのか。それを追究した結果、辿り着いたのが腸だったのです。

 生命力の根源である腸にアプローチすることで、体を一から作り直す。私が足助体操を本物の健康法と言う理由は、ここにあります。

足首回しで腸が動き出す!

 次朗先生が考案した約200種類の動きの中でも、足助体操の真髄と言えるのが、「足首回し」です。

 足首回しを試していただくと、ひざ、太もも、骨盤、仙骨が連動するのがわかると思います。さらに、その振動が腸に伝わっているのがわかるでしょうか。

 つまり、足首を回すだけで、生命力の根源である腸の活性化につながるのです。

 腸の動きが活発になれば、老廃物も排泄されやすくなります。そうなれば、きれいな血液が全身を巡るようになり、結果として、さまざまな不調も改善していくのです。

 寝たままできるので、病気の人でも行えます。足首回しを習慣にすれば、健康の土台が安定し、病気を寄せつけない体に近づくはずです。

腸を活性化する“足助体操”とは?

足助次郎氏

 足助体操(あすけたいそう)の創始者・足助次朗(あすけじろう)氏は、幼い頃から病弱で、60以上もの病に苦しめられてきました。

 その苦痛に満ちた闘病体験から生み出されたのが、足助式医療體操(足助体操)です。

 万病の原因である退行性変化を予防・改善するには、きれいな血の製造を阻害する腸の硬化を改善することが第一と考えた次朗氏は、約200 種類の体操を考案。

 そのすべてに、腸を活性化する動きが取り入れられています。また、次朗氏の妻・照子(てるこ)氏も足助体操によって死の淵から生還した1人。生涯を通して、足助体操の普及に努められました。

効果を上げるポイントは手とつま先の向き。【足首回し】の正しいやり方

まずは基本姿勢を確認してください。正しい姿勢から、「足首回し」を行うと、その振動は腸だけでなく全身に伝わります。

足首回しを行った後は、体の歪みを取るために、「背伸びの運動」を行います。

全身に振動を伝えるための【基本姿勢】

足首の緊張をゆるめ腸を動かす【足首回し】(横八の字)

両足首を回して、1回八の字を描くのに、目安となる秒数は6~10秒です。速く回す必要はありません。たいせつなのは、あなたが楽に感じる速さで動かすこと、そして同じ速さを保ったまま、回し続けることです。「足首を回し続けても負担を感じない速度」を見つけてください。続ける時間の目安は3~5分ですが、「しんどいな」と思ったら休み、それ以上は決して無理をしないでください。

①足首の力を抜く

かかとを揃えたまま、両足で八の字を描いていこう。足首から力を抜いて動かすこと

②ひざをなるべく浮かさない

右下に向かって両足首を回していく。ひざができるだけ浮かないように気をつける

③同じ速さを保ちながら

右下から上に向かって、両足首を回していく。ここでピュッと足首を返さないこと。同じ速さを保つ

④両足が最初の位置に戻った

そのまま動きを止めず⑤へ移る

⑤丁寧に動かす

左下に向かって両足首を回していく。足首に力を入れず、同じ速さで丁寧に回す

⑥左下から上に向かって両足首を回していく

左下から上に向かって両足首を回していく。①に戻り、これで1回。一連の動きを10回行う

背骨の歪みを強制する【背伸びの運動】

①基本姿勢から伸ばす

基本姿勢から、左手と左足を同時に伸ばし、一気に緩める。足は、かかとを立てて、かかとえおグッと腰から押すように伸ばす。左右それぞれ3回ずつ、息を吐きながら行う

②足をハの字にして伸ばす

両足を肩幅に開く。両足の親指を内側に倒す(ハの字)。この姿勢のまま、左手と左足を同時に伸ばし、一気に緩める。次に、同じように右手と右足を伸ばす。左右それぞれ3回ずつ、息を吐きながら行う

③足を逆ハの字にして伸ばす

かかと同士をつけ、両足の小指を外側に倒す(逆ハの字)。この姿勢のまま、左手と左足を同時に伸ばし、一気に緩める。次に、同じように右手と右足を伸ばす。左右それぞれ3回ずつ、息を吐きながら行う。以上を終えたら、あお向けのまま、ゆっくり深呼吸

【応用編】腸をさらに活性化する足助体操

腸の硬さを改善するのに適した2つの足助体操を紹介します。時間に余裕があるとき、「足首回し」と「背伸びの運動」の間に行ってください。なお、2つの足助体操は、必ずセットで行ってください。

S時結腸の詰まりを取る【左足上げ】

①かかとを揃えてつま先を立てる
②左足を勢いよく振り上げる。このとき、すねと足の甲の間の角度を90度にしたまま振り上げる。ひざ裏は、痛みが出るようなら曲げてもかまわない
③足を下に降ろす。必ずしも接地させる必要はない
④「しんどいな」と思うまで何度か繰り返す。最初は10回ほどでもじゅうぶん
⑤最後にグターっと脱力してリラックス

左下腹部にある結腸への刺激を目的とした動きのため、左足を動かすだけでかまいません

直腸の動きを活発にする【お尻たたき】

①うつ伏せになる

②左足のかかとで、右のお尻の真ん中を「トン」と叩く

③右足のかかとで、左のお尻の真ん中を叩く。②③の動きを何度か繰り返し、終わったらすぐには動かず少し休む

Q:「足首回し」は何回、何分やるのがいいのでしょうか?

A :回数に決まりはありません。それよりも「応力(おうりょく)」にあわせて無理をしないことがたいせつです(畑田)

無理せず行うことが自然治癒力を引き出す近道

 足助体操では、「応力(おうりょく)」を重視します。応力とは、一人ひとりがもつ力のこと。

 足首をどのくらいのスピードで回せるか、何回、何分回せるかは、人それぞれ違います。決して無理をせずに回し続けられる速さや回数が、その人の応力です。

 「自分の応力に合わせて、足首回しやその他の足助体操を行うことで、私たちに本来備わった、病気を治そうとする力(自然治癒力)が引き出される」と、足助次朗先生は言いました。

 逆に、応力を超えて無理をすると、体が緊張してしまい、その結果、自然治癒力がうまく引き出されないのです。

 速さや回数にとらわれず、自分のその日、その時の応力を感じながら体を動かしてください。「しんどいな」と思ったら、そこで終了。

 翌日1回でも多くできれば、それだけ応力が向上したということです。根気よく毎日続ける心構えが大切です。