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【ひすいこたろう×三浦直樹】病気を治すことが人生の目的ですか?(前編)

『病気が治る人の予祝思考! 前祝いの健康術』(マキノ出版刊)。

この本では、毎月、100人以上のがんや難病の患者さんが全国から訪れる人気クリニックの予祝ドクター三浦直樹さんと作家ひすいこたろうさんが、「病気が治る人の考え方」を語っています。

ここでは、病気になった人が陥りがちな思考のワナと、さらに幸せになるための考え方を2人が語った対談をお届けします。

「予祝」=日本古来の引き寄せの法則(前祝い)

病気が治れば幸せとは限らない

三浦直樹(以下、三浦) 重篤な病気にかかった人たちは、よく「この病気さえ治れば、幸せだ」という言葉を口にします。ところが、そういう人たちが、実際に病気が治った場合に、本当に幸せになれるどうかというと……。

ひすいこたろう(以下、ひすい) 必ずしもそうじゃない?

三浦 そうなんですね。また、「この病気になる前は、幸せでしたか? 肉体的、精神的にご無理を重ねていたから、この病気になった可能性はないですか?」ともお尋ねします。

ひすい  心身ともに無理をして、病気になってしまう人はたくさんいるでしょうね。

 心理学博士の小林正観先生は、「性格病理学」なるものを研究されていました。病気の出発点を追っていくと、臓器の故障→コリや張りや痛み→疲労→「ストレス」と至るわけで、根っこは心であり、病気と心の問題は密接にかかわりがあるのではないかと。

 例えば、花粉症の人は完璧主義の人が多いとか、症状によって共通する性格があるのではないかという研究でした。病気の出所を追いかけていくと、けっきょく、心や性格、生活習慣に行き着くところがありそうですね。例外はあると思いますが。

三浦 確かに自律神経(意志とは無関係に体の機能を調節している神経)のしくみや、その乱れからくる免疫力(病気に打ち勝つ力)の乱れを考えれば、自分はこうあるべき、こうすべきというストレス→交感神経の(自律神経のうち、活動時に活発になる神経)優位状態→ストレスホルモンの分泌→自律神経の乱れ→ホルモンバランスや血流の悪化→病気という構図がありますね。

 実際、自分が無理をしていたことを自分から認めてくださる患者さんはとても多いですね。そこで、「病気が治ったとしても、同じ生活習慣に戻れば、また、同じ病気になってしまいますよ」というと、「それもそうですね」と納得してくれるかたも多いのです。

 ただ、なかには、そういう仮定の話が通じなくなってしまうケースもあります。それが、がん宣告を受けた場合などですね。「とにかくがんさえ治れば幸せだ」となりがちです。

ひすい  それほど、がんの宣告は死刑宣告に近く受け取られてしまうわけですね。

三浦 そんなときも、あらためて、「どうしてこの病気を治したいのですか」と問いかけることがあります。もちろん、患者さんと信頼関係が構築できてから、カウンセリングの中ですることになりますが。

ひすい  お医者さんも患者さんも、病気を治すのがあたりまえだと思ってるなかでのその質問は、一瞬、時が止まるでしょうね。

三浦 患者さんによって、いろいろな反応が返ってきます。困惑や驚き、無反応ということもありますね。いずれにしても、これは、ぜひ問いかけておきたい重要な質問なのです。

病気が治らないほうが都合のいい人が2割いる!?

ひすい  自分の病気を治したくないという人もいますか?

三浦 いらっしゃいますね。
「疾病利得」という考え方があります。患者さんが病気であることで、社会的心理的に利益を受けている。こういう場合、患者さんは病気であるほうが都合がいいので、治りたがらなかったり、治ろうとしない。

ひすい そうした患者さんは、どれくらいいらっしゃる感じですか?

三浦 10人の患者さんがいれば、だいたい2~3人……。

ひすい  けっこう多いですね。

三浦 主に、うらみつらみ系の病気のかたですね。
 ある50代の女性は、ご主人が愛人のところに行くので、止めようとして、足で手の指を踏まれたことがありました。

 それがきっかけで、リウマチが始まるんです。その女性は、いろいろな大学や有名病院の名医といわれた人を順番に回っていく。彼女の目的は、「たくさんの名医をめぐっても治らないようなひどいことを、あなたは私にしているのよ」と、ご主人にわからせたいのです。

ひすい  三浦先生はそのかたに、どんなお話をしたんですか。

三浦 そういうご主人は絶対謝らないから、あきらめたほうがいいよと。「とにかく、治りたくないと思っている人を僕は治療しませんよ」ともいいました。
 夫婦関係に悩んで、うつになるかたも多いですね。男性もいます。仮面夫婦のような関係の場合、世間体を気にして我慢してきたけど、けっきょく、奥さんのほうから別れることが多いですね。

ひすい  離婚すると、病気がよくなる人もいるのですか。

三浦 けっこういますね。40代後半の女性で、悪性リンパ腫の全身転移があり、まじめに治療に取り組んできたのですが、治しては再発、治しては再発をくり返して、すっかり疲れてしまった人がいました。

 相談を受けたので、「もう好きなことをしたら?」とアドバイスしたんです。そこで彼女は、全財産を下ろして豪華客船に乗って、半年旅行を楽しんで帰ってきたら、がんが消えていたのです。

「先生、お金なくなりましたがどうしたらいいでしょうか?」と彼女。
「元気になったんだから、働けばいいじゃないですか」といいましたよ(笑)

(次回に続きます)