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【大愚和尚】人間関係の苦しさを手放す!大人気僧侶の一問一答(その①)

「お釈迦様は壮絶な経験があったからこそ、人間関係について熟考し、結果として悟りを開かれたのでしょう」(大愚和尚)
Index
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①人づきあいが苦手な自分を恥じなくていい(本記事)
②一問一答「人づきあいが苦手です。」
③一問一答「人からの評価が気になります」
④一問一答「頼み事をするのが苦手です。」
⑤一問一答「上司に怒られるのが苦手です。」
⑥一問一答「私だけ結婚できないのはなぜ?」
⑦一問一答「老親に口出しをしてしまいます。」

固定した「私」を手放せば楽になる

人生は川の流れのごとしといいますね。でも、もし流れているのが石だったら、あちこちにぶつかり、たちまちにっちもさっちもいかなくなってしまいます。

実際には、自在に形を変えられる水だからこそ、川は流れる。私たちも柔軟性を備えたほうがいいのです。自分を固定してしまっては、人づきあいは難しくなる一方です。

私のことを「私」だと思っているのは自分だけで、親からすれば「子ども」、子どもからすれば「母」、仕事仲間からすれば「同僚」「上司」「部下」……ですよね。

だから、他者との関係性によって、私を変えるほうが自然なのです。相手次第で、しっかり者の私になる場合も、少し甘えた私になる場合もあるでしょう。明るくにぎやかな私の日も、もの静かな私の日もあるでしょう。

人間関係でやりづらさを感じるのは、もしかすると、絶対固定された自分など存在しないのに「私、わたし」と、頑なに我を押し通そうとしたり、今の人間関係の状態に固執したりするあまり、相手に受け入れ難くさせてしまっているからかもしれません。

この世は諸行無常。あらゆるものは移ろい続け、変わらないものはありません。ですから、人づきあいも「去る者は追わず、来る者は拒まず」が望ましいのですが、すぐに実践できる人はいません。心の柔軟性を高めるためには練習が必要。焦らず、自分のペースで習得していきましょう。

「学ぶ」の語源は「真似る」。超一流の先生を真似ることができたら最高です。柔軟に、巧みに生きた先生。苦しみを手放して、完全なる幸福に至った先生。お釈迦様を真似ぶ——つまり仏教を学ぶことで、柔軟に生きる術が身につくのです。

人づきあいが苦手な自分を恥じなくていい

 私が開設しているYouTubeチャンネル『大愚和尚の一問一答』には、たくさんの悩みが届きます。特に、人間関係の相談は、年齢や性別を問わず多く寄せられます。苦しみを捨てたい、手放したいという気持ちはよく理解できます。

ただ、人生とは成長するための営みで、「そもそもこの世は生きづらい」というのが仏教のスタンスです。

お釈迦様さえ、例外ではありません。周囲の人に嫉妬されたり、裏切られたり、激しいバッシングを受けたり、殺されそうになったこともあります。しかし、そうした壮絶な体験に直面しても、お釈迦様は決して、うろたえませんでした。

むしろそのような出来事に直面するたびに、弟子たちに、人間の愚かさと、心を育てる必要性を説かれたのでした。

私が思うに、学校で、職場で、あるいはご近所さんとの集いや趣味のサークルの中で、嫌な人や苦手な人に遭遇するのは、決して偶然ではありません。

どう対処したらよいのだろうかと悩むことは成長につながります。つらい経験を経て、人の心の痛みを知ることもあるでしょう。尊敬できる人ばかりが人生の師ではありません。

むしろ、嫌な人や苦手な人こそが自分の心を鍛え、磨いてくれる人生の師だったりします。だから、どんな相手に対しても、冷静に自分を保ち、感情的にならないこと。そう覚えておくだけで、今ある悩みを解放できるかもしれません。

お釈迦様でさえ、人づきあいにおいて、多くの障害があったのです。少なくとも、人づきあいに悩む自分を、恥じたり責めたりする必要はありません。

相手を憎まず悩みを手放す方法

「感情に振り回されるのではなく、理性を育てる」というのが仏教の教えです。

例えば、誰かに悪口を言われたとしましょう。そのとき、反射的に相手を憎むのは感情。「なぜ悪口を言われたのだろう?」と考えて、自分を見つめ、それが相手の問題であれば気にしない。しかし、自分の問題であれば、すなおに反省し、改善しようとするのが、理性です。

物事はどんな場合も、発端となる要因があるから結果を招きます。このことを仏教では「因果の道理」といいます。

そしてあらゆる人間関係において、難しさの要因は、自分の外側ではなく内側にあると、お釈迦様は発見されました。すべての悩みは自分の内側で生じた問題であり、「身口意」、すなわち行動(身)、言葉(口)、心(意)を改めることで、悩みから解放されると説いておられます。

次回からは、身口意を改め、人間関係の悩みを手放すヒントを一問一答でご紹介していきます。

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①人づきあいが苦手な自分を恥じなくていい(本記事)
②一問一答「人づきあいが苦手です。」
③一問一答「人からの評価が気になります」
④一問一答「頼み事をするのが苦手です。」
⑤一問一答「上司に怒られるのが苦手です。」
⑥一問一答「私だけ結婚できないのはなぜ?」
⑦一問一答「老親に口出しをしてしまいます。」