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【ふき掃除】は女性にぴったりの適度な運動!不妊の悩みにも活用される

骨盤内の血行が改善し、卵巣機能も活性化!

 日本人の生活様式が西洋化した現在、健康を維持するためには「適度な運動」が必須であることは広く認知されています。

 実は、不妊治療にも適度な運動は欠かせません。私のクリニックでは、不妊や婦人科系疾患に悩む患者さんたちに、栄養療法と運動療法を柱とした治療を行っています。

 しかし、「適度な運動」といわれても具体的にどのような運動がいいのかとか、「忙しくて運動をする時間が取れない」といった話がよく聞かれます。

 そういったかたがたでも、室内で簡単に取り組める適度な運動があります。それが「ふき掃除」です。

 昔の日本人の生活は、座卓で食事をして、ふとんで寝て、そのふとんを畳んで押し入れにしまい、和式トイレにかがんで用を足していました。

 これはまさに「適度な運動」づくしの生活で、足腰の筋肉を動かすシーンが数多くあり、それが腹直筋などの腹筋群や、大腿四頭筋、腸腰筋など、骨盤に付着する大きな筋肉群を鍛え、筋肉から発生する熱で基礎体温を上昇させていました。

 アフリカやインドなどの国を見ると、田舎で質素な生活をしている人人は多産です。これは昔の日本と同様、足腰の筋肉を動かす生活を日々続けているからです。

 対して、同じ国でも、メイドが家事をする都市部の富裕層の間では、日本と同じように不妊症に悩む女性が増えているのです。

 不妊症には、運動で子宮まわりの筋肉を鍛えて、骨盤周囲を温めることが非常に有用です。

 骨盤内の血行が改善し、その結果、子宮内膜が厚くなり、卵子が着床しやすい環境が整います。さらには、基礎代謝が向上して卵巣機能も活性化し、妊娠力が高まります。

 しかし、仕事に家事に忙しい現代女性たちにとって、運動するだけの時間を作ったり、ジムに行ったりするのは簡単なことではありません。

 そして、ふき掃除は運動になるだけでなく、実際に部屋がきれいになります。きれいな部屋で過ごすことは精神面にもよいですし、掃除をやり遂げたときの達成感とすがすがしさは最高です。

 やり方のコツとしては、今日はリビングの床、明日はキッチン、明後日は玄関など、1、2日に1回程度でよいので、少しずつ継続して楽しみながら行うことです。

 小さな満足でも、積み重ねると自信になり、精神的なストレスを乗り越えることになります。

子宮内膜症の改善にもふき掃除は有効

 この精神的なストレスも不妊の大きな要素です。しかし、不妊治療中の女性には、過大なストレスを感じている人が少なくありません。

 仕事や家事のストレスに加えて、夫の家族の妊娠を期待する言葉なども大きなストレスとなります。ストレスを少しずつ解消できれば、神経系、ホルモン系の働きが安定化し、生殖機能の向上につながります。

 私は、いっしょに不妊治療にいらっしゃるご主人にもふき掃除を勧めています。ふき掃除で鍛えられる箇所は、男性も日ごろ鍛えていない場所です。足腰が強くなることで、夫婦生活にも自信がつくようになります。

 なにより、ご主人がふき掃除をすると、奥さんはすごく喜びます。ご主人もいっしょになってやってくれるという連帯感や思いやりが、安心感を高め、自律神経の働きもよくなって、ストレスを軽減します。

 夫婦のコミュニケーションもよくなり、それがまたさらなる気持ちの安定につながります。

 ふき掃除は、不妊に限らず、生理痛や子宮内膜症、子宮筋腫などといった婦人科系疾患の改善にも有用です。

 骨盤内の血流が悪くなるのは、足の血流が悪いことが大きな要因です。足を環流した血液は、足の筋肉が収縮することで筋肉中の静脈が圧迫されて血液が押し上げられ、心臓に戻ります。

 その際、静脈の弁で逆流を防いで、下肢の循環は保たれています。足の筋肉が弱くなると、この循環がくずれてしまいます。

 その結果、骨盤内の血流も悪化し、活性酸素が骨盤内に多く発生して、骨盤内に炎症が起こりやすくなります。

 生理時の月経血が卵管を通して骨盤内に逆流すると、月経血中の子宮内膜が生着(せいちゃく)しやすい環境ができてしまい、子宮内膜症の原因となります。

 生理痛が重いかたや子宮内膜症のかたは、ふき掃除を習慣化するのがお勧めです。

 ふき掃除以外にもトイレ掃除や、特にお風呂掃除も足腰の運動になります。適度な運動になり、環境もきれいになって、ストレスも解消する。一石三鳥のふき掃除をぜひ習慣にしてみてください。