まぶたが垂れてきて眠そうな顔に見える「眼瞼下垂症」。実は、女性は20代後半から発症すると言います。眼瞼下垂症になると、頭痛、肩こり、顎関節症、歯周病のほか、不眠症やうつ、不定愁訴なども引き起こします。
心身の不調の原因が、実はまぶたにあったなんて!以下の症状に1つでも当てはまるなら、これから3回の記事でご紹介する「まぶたテープ」を試してみてください。
眼瞼下垂症セルフチェック!
次の項目で、1つでも当てはまるものはありませんか?
- □目を覚ますためにいつもまぶたをこする
- □コンタクトレンズを使っている
- □花粉症などのアレルギーがある
- □アイメイクをする
- □逆さまつげがある
- □よく泣く(泣くとリラックスできる)
- □アトピー性皮膚炎がある
- □眠そうな顔、怖そうな顔だと言われる
- □疲れやすい
- □気持ちが沈むことが多い
- □眼精疲労がある
- □頭痛持ちである
- □肩こりに悩まされている
- □歯が浮く、顎関節が痛い
- □舌が疲れる、舌が痛い
- □まぶしさに弱い
眼瞼下垂症の最大の原因はまぶたをこすること
まぶたの位置がしだいに下がり、黒目の一部を覆うようになる、いわゆる“下がりまぶた〟は、医学的には「眼瞼下垂症」と言います。
こうした症状は、中高年になってから起こると思っているかたが多いのではないでしょうか。
しかし、実際は、女性の場合、眼瞼下垂症は20代後半から始まります。なぜなら、眼瞼下垂症の最大の原因は、まぶたをこすることだからです。
女性は、メイクをすることで男性よりもまぶたをこする回数が多いため、眼瞼下垂症が若いうちから始まってしまうのです。実際、私が眼瞼下垂症の手術を行うのは、女性が男性の5倍という多さです。
コンタクトレンズをしている人も、まぶたを引っ張ったり、こすったりする回数が多く、眼瞼下垂症が起きやすくなります。アトピー性皮膚炎や花粉症の人も、まぶたをこすってしまうので、注意しましょう。
まばたきも、まぶたに負担をかけているので、加齢によって負担が蓄積されることが、眼瞼下垂症につながります。では、どうしてまぶたが下がってしまうのか、筋肉のしくみをご説明しましょう。
脳を刺激するまぶたのミュラー筋
まぶたの開閉は、上まぶたの内側にある上眼瞼挙筋という筋肉が、収縮したり、弛緩したりして行われています。
この上眼瞼挙筋の先には、腱膜があり、瞼板というまぶたのふちを作る薄い組織とつながっています。上眼瞼挙筋が収縮すると、腱膜を引っ張って瞼板を持ち上げ、まぶたが開くようになっているのです。
まぶたが開くしくみ
しかし、目をこすると、腱膜と瞼板の接合部分が外れたり切れたりします。ここが外れたことで、すぐにまぶたが開かなくなるわけではありません。
上眼瞼挙筋と瞼板をつなぐミュラー筋という特殊な筋肉がサポートしてくれるので、腱膜と瞼板が外れても、まぶたは開くようになっているのです。
とはいえ、症状が進行すると、歯を食いしばるなど力を入れないと、まぶたが開かなくなります。腱膜とミュラー筋が引っ張られた状態になって、「腱膜性眼瞼下垂症」と診断されるのです。
腱膜性眼瞼下垂症は、手術で治療でき、まぶたが開けられるようになるだけでなく、体調までもよくなる人が多いのが特徴です。
術後、体調がよくなる理由には、ミュラー筋が大いに関わっています。皆さんは、眠くなったときや朝起きたときに、無意識に目をこすっていませんか。これは、覚醒のためにミュラー筋をこすっているのです。
ミュラー筋にはセンサーがあり、こすることで刺激が脳の覚醒の中枢である青斑核に伝わり覚醒のスイッチが入るようになっています。
この青斑核への刺激は、交感神経を刺激するだけでなく脳を緊張状態にするのですが、常にこの状態だと、逆に体の不調を引き起こします。一
方、手術で腱膜性眼瞼下垂症が改善すると、がんばってまぶたを開ける必要がなくなり、ミュラー筋の負担が減ります。
その結果、青斑核から交感神経を刺激したり脳を緊張状態にしたりすることが少なくなり、不調が治まる人が多いのです。
下がりまぶた(腱膜性眼瞼下垂症)が進行する様子
①腱膜が外れただけで、腱膜はまだ目の奥に引っ張られていない。この段階を腱膜分離症という
②腱膜が滑っている状態で、腱膜すべり症と言う。その度合いに応じて、瞼が下がってくる
③こうなると、まぶたは黒目部分に覆いかぶさるように垂れ下がり、腱膜性眼瞼下垂症と診断される
以上、眼瞼下垂症のセルフチェック法と眼瞼下垂が起こる筋肉のしくみについてお話ししました。
第2回では、眼瞼下垂症によって引き起こされるさまざまな身体症状についてお話しします。