タマネギを切って塩と混ぜて、瓶に詰めて1日置けば、乳酸菌豊富な「発酵タマネギ」の完成です。甘みやうまみが倍増し「料理がおいしくなる」と大評判。太りにくくなる、便秘が改善する、血液がサラサラになる、アレルギーやうつ症状を緩和するなど、健康効果もたっぷりです。
タマネギと塩を混ぜて一晩置くだけで完成!美味しい発酵タマネギの作り方
監修 発酵生活研究家 栗生隆子
材料
●タマネギ:2個 ●塩:小さじ1/4
作り方
①タマネギをみじん切りにする
②タマネギと塩を1分ほど混ぜる
③瓶に詰め、蓋をして常温で1日置く(夏の気温が高い時は半日)
混ぜるだけ、かけるだけ!発酵タマネギを使ったおかずとごはんの手間なしレシピ11
監修:栗生隆子 料理・スタイリング:古澤靖子
【納豆タマネギ】
材料
●納豆:1パック ●発酵タマネギ:大さじ山盛り1 ●しょうゆ:適量
作り方
納豆に発酵タマネギとしょうゆをかけて混ぜる
【タマネギ冷奴】
材料
●豆腐:1/2丁 ●発酵タマネギ:大さじ山盛り1 ●ポン酢:適量
作り方
水気を切った豆腐に発酵タマネギとポン酢をかける
【タマネギそうめん】
材料
●そうめん:2束 ●発酵タマネギ:大さじ山盛り2 ●めんつゆ:適量
作り方
発酵タマネギを入れためんつゆに、そうめんをつけて食べる
【ツナタマトースト】
材料
●発酵タマネギ:大さじ2 ●ツナ缶:1/2缶 ●マヨネーズ:大さじ1 ●塩コショウ:少々 ●食パン:1枚
作り方
発酵タマネギ、水気を切ったツナ、マヨネーズ、塩コショウをあえたものを、パンにのせてトースターで3分焼く
【タマドレサラダ】
材料
●発酵タマネギ:大さじ2 ●オリーブ油:大さじ1 ●塩コショウ:適量 ●好みの野菜:適量
作り方
ボウルに野菜以外の材料を入れよく混ぜてドレッシングをつくる。食べやすい大きさに切った野菜にドレッシングをかける
【ミートオムレツ】
材料
●発酵タマネギ:大さじ2 ●ひき肉:50g ●卵液:卵2個分 ●塩コショウ:少々 ●油:適量
作り方
① 油を引いたフライパンに、発酵タマネギとひき肉を入れ肉の色が変わるまで炒め、塩コショウをしていったん取り出す
② 油を引き直したフライパンに卵液を流す。固まり始めたら①を真ん中に入れ卵を折りたたむ
【簡単ドライカレー】
材料
●発酵タマネギ:大さじ山盛り3 ●ひき肉:100g ●カレー粉:大さじ1 ●しょうゆ:大さじ1/2 ●ケチャップ:大さじ1 ●油:適量
作り方
油を引いたフライパンに、発酵タマネギとひき肉を入れ肉の色が変わるまで炒めたら、カレー粉を加え炒める。しょうゆとケチャップで味つけし、材料がヒタヒタになる量の水(分量外)を入れ煮詰めたら完成
【あっさりピラフ】
材料
●発酵タマネギ:大さじ山盛り2 ●好みのキノコ:適量 ●シーフードミックス:適量 ●米:1合 ●水:170㎖(硬めの水加減) ●塩:小さじ1 ●バター:1かけら
作り方
炊飯器に米と水を入れた後にバター以外の材料を入れ炊く。米と具を混ぜないこと。炊き上がったらバターを入れて完成
【魚のホイル焼き】
材料
●サーモンや白身魚:1切れ ●発酵タマネギ:大さじ2 ●好みの野菜やキノコ:適量 ●塩コショウ:少々 ●オリーブ油:少々
作り方
アルミホイルの上に魚を置き、発酵タマネギ、野菜、キノコをのせ、塩コショウとオリーブ油をかけて、アルミホイルを包み、トースターで10分焼く
【タマネギカルパッチョ】
●発酵タマネギ:大さじ山盛り2 ●刺身やスモークサーモン:適量 ●酢:適量 ●塩コショウ:少々 ●オリーブ油:適量
作り方
お皿に刺身を盛り付け、発酵タマネギ、オリーブ油、酢、塩コショウをかける
【冷製トマトスープ】
材料
●発酵タマネギ:大さじ山盛り3 ●トマトジュース:250㎖ ●酢:大さじ1 ●オリーブ油:少々 ●塩コショウ:少々
作り方
器に材料を入れよく混ぜたら完成
発酵タマネギで料理が格段に楽でおいしい!血液がサラサラになる、便通がよくなる!
発酵生活研究家 栗生隆子
時間が経つほど甘みやまろやかさが増す
腸を整えて体を元気にしてくれる発酵食品。その中でも、わずかな時間でサッと手作りでき、常備菜のように使えて、毎日の料理に大活躍するのが、タマネギを発酵させた「発酵タマネギ」です。
作り方は、切ったタマネギを塩といっしょに混ぜて、瓶に詰めて1日置くだけ。たったこれだけです。
発酵食品の手作りは難しいと思っているかたもいるでしょうが、一度作ってみると、ビックリするほど簡単です。
発酵タマネギは、冷蔵庫で約2週間保存できます。時間がたつほど熟成が進み、うまみやまろやかさが増しておいしくなります。
2週間たつ頃には、ピクルスのような酸っぱい味になります。
炒めなくてもしんなりとして、炒めた後のような甘みがあり、辛みも抜けているので、料理にも使いやすいです。カレーやチャーハン、ピラフの具材に使えますし、ハンバーグやロールキャベツの種に使うとお肉がトロトロになります。
オリーブ油や塩コショウと合わせればドレッシングの出来上がり。サンドイッチに入れると味のアクセントになります。用途の広さが発酵タマネギの特長です。
忙しいときは具材を切ることもめんどうに感じるもの。発酵タマネギならいちいち切る必要がなく、料理が格段に楽になります。
私も「発酵タマネギがあるから家で料理をしよう」と思ったことが何度もあります。「発酵タマネギがあれば、10分で何かしら作れる」という安心感があるのです。
発酵中にタマネギ臭も抜けるので口臭の心配もありません。タマネギ嫌いの子どもでも、発酵タマネギなら喜んで食べてくれると思います。
ムラサキタマネギで作ると、色合いがきれいです。春の新タマネギで作ってもいいでしょう。
料理の消化がよくなり胃腸の負担が軽減
タマネギと言えば、高血圧や動脈硬化を予防する“血液サラサラ効果”が有名です。これは、タマネギに含まれている硫化アリルという成分に、血小板の凝固を防ぐ働きがあるからです。
もちろん発酵タマネギには、発酵食品としての効能も期待できます。
料理に加えれば、食べ物の消化がよくなり、胃腸への負担が軽くなります。腸の善玉菌を増やす乳酸菌もたっぷりですし、菌が作り出すアミノ酸や酵素も摂ることができます。
料理にアレンジしやすく、飽きることなく続けられますから、タマネギや発酵食品の健康効果を得やすいと思います。
「シュッ」と音がしたら発酵が進んでいる
私が発酵タマネギを作るようになったのは、天然酵母パン屋さんで教えてもらった、タマネギの天然酵母から作ったバゲットのおいしさに感動したのがきっかけでした。
最初はタマネギと水だけで発酵させていましたが、作っているうちにタマネギの臭いを少なくしたいと思い、塩を少し入れることにしました。
タマネギと水分が出合うと、菌が発生し発酵がスタートします。塩を入れるのは、タマネギの水分を引き出し「菌を起こす」ため。塩味をつけたいわけではないのです。
こうして立ち上がった菌は、タマネギの糖分をエサに増え、発酵が進みます。この最中に、菌がタマネギの臭い成分を分解してくれます。
また、少量の塩には、雑菌の繁殖を抑えつつ発酵を活性化する「調整力」があるようです。
よりよく発酵が進むのに、最適な塩の量を研究したところ、タマネギ2個に対して、塩小さじ1/4がベストだとわかりました。
これはタマネギの量に対して、3%の塩分量にあたります。タマネギ1個で、発酵タマネギを作るときも、3%の塩分量を目安に作ってみてください(※)。
材料を瓶に入れて常温で1日置くと、乳酸菌が立ち上がってきます。その後、冷蔵庫に入れて発酵を遅らせます。25度以上の夏日は、半日ほど置いてから冷蔵庫に入れます。
気泡が出てきたり、蓋を開けたときに「シュッ」「ポンッ」といった音がしたら、乳酸菌が増えて発酵が進んでいる合図です。
簡単に手作りできる発酵タマネギですが、万が一「発酵しない」「カビが生えた」といったことが起こったら、保存容器の衛生状態が関係している可能性があります。
容器が汚れている、洗剤が残っている、水滴がついたまま保存した、といったことが原因かもしれません。容器は使用前に熱湯を回しかけ、水滴を拭いてから使用してください。
1日1さじの発酵タマネギは糖尿病、肥満、うつ、アレルギーを防ぐ「万能薬」
東京医科歯科大学名誉教授 藤田 紘一郎
便秘、アトピー、疲労にも効果がある
話題の「発酵タマネギ」を私も食べてみました。生のタマネギよりマイルドで、食感が柔らかく、タマネギ臭もしないので、そのままでもおいしくいただけました。
味に深みが出るのは、発酵の主役である菌のおかげです。菌たちはタマネギの糖分をエサに増え、タマネギの成分を分解します。
この働きで、タマネギのうまみが増したり、においが消えたりするのです。これは味噌やしょうゆ造りと、まったく同じ仕組みです。
ちなみに私が食べたのは、作って3日目の発酵タマネギ。もう数日たてば、さらに乳酸菌が増えて酸味が増すはずです。
発酵タマネギの魅力は、おいしさだけではありません。健康面でも発酵タマネギには、
・糖尿病を改善する
・肥満を改善する
・便秘を改善する
・アレルギーやうつ症状を緩和する
といった、まるで万能薬のような効果を期待できます。
正確に言えば、発酵タマネギを食べて腸内で作られる物質に、優れた健康効果があります。
この物質を「短鎖脂肪酸」といいます。短鎖脂肪酸には、
・インスリンの分泌を促し血糖値が上がるのを抑える
・脂肪の取り込みを抑える
・腸のぜん動運動を促す
・アレルギーやアトピー、うつや疲労の原因になる体の炎症を抑える
といった働きがあることがわかっています。
糖尿病や肥満を予防し、腸内環境もよくすることから、高血圧の改善につながる可能性もあります。
そして、発酵タマネギは、この短鎖脂肪酸を増やすのに、たいへん適した食べ物なのです。
万能薬の作り手「腸の善玉菌」が激増する
腸には、無数の腸内細菌が住んでおり、人間に有益な働きをする善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)、健康に悪影響を及ぼす悪玉菌(病原性大腸菌やウェルシュ菌など)、優勢な菌に加勢する日和見菌が互いに暮らしています。
万能薬である短鎖脂肪酸は、腸内で善玉菌たちによって作られます。そのため、短鎖脂肪酸を増やすには、腸内の善玉菌を増やし、元気にすることが必要です。
善玉菌を増やす方法のひとつは、善玉菌の仲間である乳酸菌やビフィズス菌を体に入れることです。これには、乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵食品を食べるのがお勧めです。
食事で取り入れた乳酸菌やビフィズス菌は、胃酸で大半が死にますが、これらの死骸は腸に着くと、善玉菌を増やす働きをしてくれます。
善玉菌を増やすもうひとつの方法は、善玉菌にエサを与えること。エサは「オリゴ糖」と「食物繊維」です。オリゴ糖や食物繊維を摂取すると、善玉菌は急激に増えます。
ある実験で、オリゴ糖を摂取する前後で、被験者の糞便中の善玉菌(ビフィズス菌)の割合を測りました。オリゴ糖の摂取前は、善玉菌の割合は17%でしたが、オリゴ糖を摂取して1週間後には、善玉菌の割合は30・7%まで増えていました。
善玉菌がオリゴ糖や食物繊維をエサにして増えるときに、同時にさまざまな物質が生み出されています。
実は、このとき生まれる副産物のひとつが、短鎖脂肪酸なのです。
1日スプーン1杯でも効果を期待できる
それでは発酵タマネギの成分を見てみましょう。タマネギには100gあたり2・8gと、多くのオリゴ糖が含まれます。善玉菌のエサになる水溶性の食物繊維も、100gあたり0・6gと豊富です。発酵食品なので乳酸菌も摂れます。
3つの成分を同時に摂れるから、発酵タマネギは短鎖脂肪酸を増やすのに最適な食品と言えるのです。
先ほど紹介した効能以外にも、短鎖脂肪酸には、悪玉菌の増殖を防いだり、免疫力を高めたりする働きがあります。また、腸の粘膜を補修する働きがあるので、近年注目を集める「リーキーガット症候群」の改善にも役立ちます。
以前、被験者に3食中1食だけ、発酵させた野菜を食事に加えていただき、腸の状態がどう変わるかについて、調べたことがあります。
2週間後に被験者の腸内細菌を調べると、実験前より明らかに善玉菌が増えており、「1日1食、発酵野菜を加えただけで、2週間でこれだけ変わるんだ」と驚きました。
まずは1日1食、スプーン1~2杯の発酵タマネギを食事に加えるだけでも、2週間も続ければじゅうぶん効果が実感できると思います。