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【ひも療法】足の長さを揃えると背が伸びる!股関節を正しい位置に戻す姿勢矯正方法

骨盤という体の土台を支えているのが股関節

股関節の角度を正しい位置に戻し、左右の足の長さを揃える。すると、骨格が整って痛みが消え、自律神経(※)のバランスが整い、さまざまな疾患がよくなる。

※血圧や体温、内臓など体の機能を調整する神経

これは、200万例を超える症例から得た事実であり、「礒谷療法」の考え方です。礒谷療法とは、柔道整復師であり、薬剤師でもあった初代院長・礒谷公良(故人)が、戦前に創始した骨格矯正術です。
当時は跛行(片足が不自由で歩行困難な状態)の患者さんが多く、初代院長はこの跛行の研究から股関節の重要性に気づき、股関節を矯正する礒谷療法を考案、確立しました。

礒谷院長はこの療法で跛行はもちろんのこと、全身の痛みや慢性的な内臓疾患、炎症性疾患、さらに脳性小児マヒまで治しました。
今のようにインターネットがない時代でしたが、礒谷療法は口コミで広まり、大勢の患者さんが全国から来院するほどでした。
それでは、礒谷療法の根本的な考え方をご紹介します。

股関節は上半身と下半身をつなぐ要の関節で、骨盤と大腿骨を接合しています。この股関節がズレて左右差が生じると、骨盤のどちらかが上がったり下がったりします。すると、その上に乗っている脊柱が前後左右に傾き、肩や首がゆがんできます。同時に、両足の長さも違ってきます。骨盤の右側が上がれば右足が長くなり、左側が上がれば左足が長くなります。

骨盤は、家に例えると、土台のようなものです。土台が傾けば全身の骨格がゆがみ、それが神経や血流を圧迫して、さまざまな痛みや症状を引き起こします。この土台となる骨盤を支えているのが、股関節なのです。

股関節のズレが病気の原因!

礒谷療法では、骨盤を水平にするために股関節の左右差を矯正します。それによって両足の長さが揃い、体の正中線に沿って背骨が伸び、生理的な湾曲を描くようになります。また肩も水平になるので、頭が正中線の真ん中に乗ります。これが、本来の正しい姿勢です。

この矯正で大事なのが、股関節の角度です。股関節は、骨盤側にある寛骨臼という受け皿に、大腿骨の骨頭がはまっています。それを正面から見ると、骨頭から大腿骨頸部を挟んで大転子があり、大腿骨につながっています。
この骨頭、大転子、大腿骨が作る角度(頸体角)は、本来130度で曲がっています。上から見ると、骨頭と大転子の角度(前捻角)は、前方に10~30度の範囲にあります。

骨頭、大転子、大腿骨が作る角度は130度

ところが、人にはそれぞれ体の使い方にクセがあり、股関節も毎日、少しずつずれていきます。
例えば、いつも体を同じ側にねじって仕事をしていたり、同じ側の足を上に乗せて足を組んだり、同じ側の手に重い荷物を持ったりしていると、股関節の角度が変わって、内側にねじれたり、外側にねじれたりしてきます。これを、私たちは「転位」と呼んでいます。

転位には、股関節のところで大腿骨が外側にねじれる「前方転位」と、内側にねじれる「後方転位」があります。前方転位は骨盤の位置が上がって前に出るため足が長くなり、後方転位は骨盤が下がって後ろに行くため、足が短くなります。7~8割の人は、片方が前方転位なら、もう片方は後方転位になっています。

この左右の角度のズレは、股関節位置ではわずかでも、下に行くほど大きくなり、左右の足の長さも1~2㎝違ってきます。
この股関節転位こそが、病気の根本要因なのです。

足の長さを揃えると背が伸びる

骨格が左右均等の人がいないように、足の長さも左右均等の人はいません。たいていは、どちらかの足が長く(または短く)なっています。

この足の長さで、隠れた疾患を見つけることができます。右足が長いと胸から上の疾患(呼吸器や循環器)、左足が長いと胸から下の疾患(消化器、泌尿器、生殖器など)になりやすい傾向があります。

礒谷療法では、まずどちらの足が長いかチェックし、長い方の足に長さを揃えるように矯正します。両足の長さを揃えて足をまっすぐにすると、姿勢もよくなって身長が伸びるし、足も長くなります。

私たちは股関節の形や角度を見てどちらが長いか判断しますが、自分で見分ける場合は、足の動かしやすさでわかります。

どちらの足が長い?セルフチェック!

その①

あおむけに寝て両ひざを立てる。
足を左右に倒して、左右差を見る。倒しやすい方が長い

その②

階段を上がり下りするとき、歩き始めのとき、最初の一歩を踏み出す方の足が長い

その③

片足立ちをして、立ちやすい側の足が短い


股関節矯正の基本は、ひもで足を結ぶ「ひも療法」です。股関節転位を矯正できる、最も簡単で非常に有効なセルフケアです。足を結ぶと、足が体の中心線上にまっすぐくるようになり、足のねじれが矯正されます。この状態が、体の基本の位置です。

ひもで足を結ぶと血流が止まるのではないかと思われるかもしれませんが、心配は無用です。
足の外側には動脈が、内側には静脈が流れています。ひもが当たるのは動脈側だけなので、むしろ、動脈が圧迫されて血流がよくなり、足が温まります。サーモグラフィで測定したところ、1時間のひも療法で、足先の温度が4~5℃上がるのを確認しています。

なお、使用するひもは、必ず幅が5㎝ほどあって圧迫を分散できるものにしてください。

「ひも療法」のやり方

用意するもの

①幅5㎝ほど、長さ170㎝ほどのひもを3本

・コートやワンピースなど、衣類についている布製の幅広のひもでもよい
・細いひもだと、肌に食い込んで圧迫が強すぎるため向かない(※2)

※2 礒谷療法専用のひもは1本700円で購入可能。

②硬めに丸めたバスタオル(輪ゴムで留める)

ひも療法①
3点結び

【効果】
足の変形(O脚、X脚)の矯正
冷え症、むくみ
股関節のズレ矯正

①ひざ上5㎝、ひざ下5㎝、足首の3カ所をひもでギュッときつく縛る
このまま足を伸ばし、あおむけになって寝る。20分行う。
できれば一晩、そのまま眠る。寝返りを打ってもいいし、嫌になったら外してもOK

ひも療法②
ひざ抱え

【効果】
腰痛、股関節痛、ひざ痛の改善
股関節のズレ矯正

①足首をきつく縛り、あおむけに寝て両ひざを立てる
②一度腰を上げて、骨盤を水平にし、ゆっくり腰を下ろす
③ 両ひざを抱えて、胸に向けてひざを引き寄せる。
リズミカルにトントンと引き寄せるのを3分ほど続ける

ひも療法③
腰枕

【効果】
ストレートネック、ネコ背、
姿勢の矯正
便秘、腰痛の改善
股関節のズレ矯正

①足首をきつく縛って、あおむけに寝る
②タオル枕を腰の下(へその裏)に入れて足を伸ばし、10分間寝る

ひも療法④
スクワット

【効果】
下半身のねじれを解消
足の長さをそろえる
股関節痛、ひざ痛の改善
肥満解消

①壁から30㎝ほど離れて立つ。両足のかかとをつけて足先を90度開き、V字を作る。このまま、長い方の足を半歩後ろにずらす
②壁に手をつき、後ろの足に8割、前の足に2割体重をかける
③このまま、両ひざを足先の方向に向け腰を落とす。ひざが足先より前に出ないよ注意しながら、100回、
軽く曲げ伸ばしをする。これを1日3セット行う
ひもで輪っかを作り、それを後ろから両腕に通す。胸を張った姿勢になるので、さらによい
この記事は『ゆほびか』9月号に掲載されています。