「人生最大の悲しみ」は才能の源泉でもある
一代で世界的企業を育てた松下幸之助氏は、実は創業した若いころから、病気がちで貧乏でした。
一般的には、病気やお金がないことはネガティブなことだと思います。
けれども松下氏は、お金がなかったために「できるだけお金を使わずにものを作る工夫」を重ねました。
また、健康に恵まれていなかったために、周囲の人から知恵と力を借り、人を信頼して仕事を任せました。その結果、松下電器産業は大企業になっていったのです。
このように才覚・才能は、一見ネガティブなところからも発現します。
ここでは、「感情」を才能探知機として使う方法をご紹介しましょう。
実は、感情が大きく動くときは、その周辺に、自分の才能が眠っていることが多いのです。
才能があるところで、ポジティブ感情が発生するのは、わかりやすいでしょう。花を生ける、歌を歌うなど、それをやることを考えるだけでワクワクする。文章をほめられてすごくうれしかった、などがそのいい例です。
才能がなければ人はイライラしたりしない
では、才能があるところでネガティブ感情が生じるとは、どういうことでしょうか。
例えば、あなたが味やサービスの悪いレストランにイライラするとしたら、もっといいものを自分が提供できると感じるからです。まず才能がなければ、人はイライラしたりしません。
子ども時代に、親や先生からよく叱られたことにも、才能の種があります。
おもしろいことに、世界的な講演家の友人たちに話を聞いたら、ほぼ全員が、子ども時代に「少し静かにしていなさい」と叱られた経験があると教えてくれました。
過去の悲しみも、才能の発見ポイントです。例えば「英語が大好きだったけれど、テストで悪い点を取って以来、嫌いになった」、「夢中で絵を描いていたが、親にけなされて描くのをやめた」、「親が病気になって、なんとか治してあげたいと祈っていた」といった思い出はありませんか?
人生をたどり、ご自身の感情を見つめてください。
才能は多くの場合、悲しみ、怒り、失敗や絶望など、その人が触れたくない感情とセットになっています。
苦しい感情を感知したら、その周辺に、自分の才能がないかどうか、探ってみましょう。それは、感情の癒しにもつながっていきます。
短所を裏返すと才能に早変わり!
才能には、下に示すように、ポジティブな才能と、ネガティブな才能があります。また、動的な才能と、静的な才能があります。そのどれも、自分の特質で、優劣はありません。
「ネガティブな才能」というと、悪くとらえられるかもしれませんが、そうではありません。実際に一見、ネガティブに見える特質を活かして、大活躍している人はたくさんいます。例えば、深い悲しみを描いて消えない余韻を残す漫画家、歯に衣着せぬ物言いで人気となるタレントなどです。
短所と思っていたところも、活かし方しだいで、才能に変わるわけです。
●本記事は『ゆほびかGOLD』vol.34(2017年刊)からの抜粋です。