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【石原加受子】心理カウンセラー直伝!  「仕事がめんどうくさい」 という思いから脱出するヒント

●本記事は『ゆほびかGOLD』vol.18の記事を再編集したものです。

「イヤ」という感情は思考が作り出している

 仕事で細かい部分が気になって、イライラする。できていない自分を責める。がんばっているのに、ミスをする。疲れて、だるい。全部めんどうくさくなって、もう仕事を辞めてしまいたい――思い当たること、ありませんか。
 なにもかもイヤになるのは、自分でもつらいこと。ですが、ちょっとした訓練でイヤな感情を解消できて、うんと楽に生きられるのです。
 例えば皆さんは、「体調が悪いけど仕事を休めない」と考えたことはありませんか。とりわけ軽度の不調なら、「休む=怠ける」と感じるかたもいらっしゃると思います。
 ほんとうは休みたいのに理屈で覆し、自分に労働を強制する。そんなことをすれば仕事がイヤになるのも当然です。このように感情というのは、多くは思考から作り出されるものなのです。

他者中心でいるとやる気が削がれてしまう

 人間はもともと知識欲や好奇心を備えているため、心身が元気なら自然とやる気が湧くようになっています。ですから疲れたら休息を取り、早めに回復させたほうが、よほど仕事への意欲にもつながります。

 ではなぜ人が自分の欲求をなかなか受け入れられないのかというと、他者中心で物事を見ているため。自分の仕事が早く終わっても、「みんな残業しているから」などという思考が邪魔をし、なかなか帰れないというのはよくあるケースですよね。

 こんなふうに周囲の目線が基準になってしまうと、やがて自分の気持ちや状況を見失ってしまいます。すると「仕事がイヤだ」と思っても、具体的にどの部分がつらいのかもわからず、一気に「会社を辞めたい」というレベルに発展することも。

 仮にABCDという4つの仕事のうち、自分はDがうまくできないとします。このとき「4つを完璧にできていない」と思うことと、「Dだけできない」と思うことでは、どう違うでしょうか。

「Dだけできない」の場合は、その部分だけ上司や同僚に相談するなど適切な処置を取り、問題解決すればいいだけのこと。それを「4つを完璧にできていない」と全否定するから、「自分は低能でダメな人間だ」などと思い込んでしまうのです。

 他者中心でいると問題がどこにあるのか把握できなくなり、物事を全否定するようになってしまいます。

 だからこそ、自分の「したい」「したくない」を尊重することがたいせつなのです。とはいえ、いきなり会社で「仕事したくないから帰る」とはいかないもの。それは当然で、何事も徐々に慣れる必要があります。

 最初は「今日の残業は30分早めに終える」など、容易に実行できそうなところからトライすればいいのです。もしそれも難しければ、さらにハードルを下げ、家庭内のことからでもOK。掃除中にイヤになれば、そこで「やめる」という選択をする。まずは自分の意思で100%決められることから実践し、「掃除をやめられてよかったなぁ」と感じてください。

 小さなことでも繰り返すうち、自分の欲求が満たされる喜びは癖になります。すると仕事でも逡巡なく休め、「休息してよかった、明日はがんばろう!」と思えるはずです。

悩みの大半が実はシンプルなもの

 人間関係でも、嫌いな人と関わることはありません。業務で必要なら「この人は嫌いだから親しくしない。仕事の話だけする」というように感情と行為を区別し、淡々と用事を済ませましょう。そうすれば、相手のことも必要以上に気になりません。

 しかし「嫌いなのに関わらなければならない」という思考があると、どうしても嫌悪感や緊張が表に出ます。すると相手も不快になり、イヤな態度に出てくるものなのです。

 私自身も時折、カウンセリングや執筆の仕事量が増えてパンクしそうになることもあるのですが、そんなときこそ休むようにします。一時的には相談者のかたに迷惑をかけるものの、結果的にはいい仕事につながるため、無理をするよりよほどお互いのメリットになるからです。

 自分中心というのは、決してわがままではありません。自分の感情を尊重してリラックスすれば、仕事が全部イヤだなんて思わなくなりますよ。悩みの大半が、とてもシンプルなものだったと気づくはずです。