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【岩国白蛇神社】【己巳の日】江戸時代より続く岩国の白蛇さま信仰を受け継いだ新しくも歴史を背負う神社

2020/11/22

岩国の白蛇は世界でも唯一の存在

 世界でも山口県の岩国市だけに生息する天然記念物「岩国の白蛇」は、名橋・錦帯橋と並んで有名です。

 この歴史的な白蛇の地に建つ岩國白蛇神社は、平成24年と最近の創建になります。その経緯を、平田光寛宮司におうかがいしました。

 「岩国には、古くから白蛇さまがおられました。はっきりした年代は不明ですが、『岩邑年代記』という元文3年(1738年)の文献に白蛇に関する記述がありますので、その頃にはおられたことがわかります。

 文献によれば、岩国に大洪水が起こってそれが引いたのち、錦帯橋のある横山
千石原という地の岩国城門付近で、城の門番が1匹の白蛇を発見したそうです。

 その白蛇は捕まり、乾燥させられて、当時の殿様に薬として供されたといいます。 その後、さまざまな文献に白蛇が登場するようになります。

 岩国に白蛇さまが生息するようになった理由は、一説には岩国藩主吉川家の祖である吉川広家公が錦見(現在の岩国市)で米作りを推進したことにあります。

 米がたくさん作られたことで米蔵もたくさん建ち、ネズミが集まるため、それを餌とするアオダイショウも集まり、突然変異で白化したというわけです。

 岩国一帯は、日本酒の蔵元や製紙会社もあることからもわかるとおり、水に恵まれた土地です。それも白蛇さまの生誕に寄与したのではないかと思われます」(平田宮司)

福、財、幸の俵に乗った手水舎の白蛇さま。口から出る水は地下65メートルからくみ上げており、飲むこともできる
拝殿前には1対の燈籠があり、3体の白蛇さまが巻きついている

白蛇さま信仰が生まれ祠があちこちに建った

 岩国に生まれた白蛇さまは、徐々に地元の人たちの信仰の対象になっていきます。「岩国の白蛇さまが信仰の対象になったのは、江戸時代の終わりごろと目されます。

 岩国城の近くを流れ、錦帯橋のかかっている川を錦川といいますが、これが広島湾の河口に向かう途中で今津川と門前川に分岐します。

 江戸時代、今津川の河口付近には米蔵がたくさんできたため、そこに集まるネズミを追って白蛇さまもたくさん現れるようになりました。

 そしていつしか、白蛇さまは神様のお使いとして信仰されるようになり、河口付近のさまざまな場所に白蛇さまの祠が建ちました。そして白蛇さま信仰は、水の神様である弁財天とも結びつきます。

 今津川の河口付近といえば、現在、岩国錦帯橋空港がある一帯です。2つの川と海に囲まれた三角州で、水害に遭いやすそうですが、過去に目立った被害はなく、弁財天のご神徳ではないかとされています。

 こうした経緯を経て、長きにわたり、岩国の白蛇さまはたいせつに保護されてきました」(平田宮司)

 そして時代は下り、白蛇さまがいる一帯は、大正13年に国の天然記念物の生息地域に指定されます。

「岩国の白蛇さまはアオダイショウのアルビノですが、古来、希少・貴重なものであるとされてきました。

 本来なら、1、2代で滅びるのが普通なのに、300年以上続いており、動物学者も奇跡だといっています。

 これも、神様のお使いだと思わされるゆえんです」(平田宮司)

岩國白蛇神社の白鳥居とご本殿。岩國白蛇保存会の施設が隣接する
金色に輝く拝殿正面の神額。平成28年に崇敬会より寄贈されたもの

50年来の住民の願いを叶えた白蛇さま神社

 そして、岩国で綿々と続いてきた白蛇さま信仰は、岩國白蛇神社の創建という形で結実します。

「古くから白蛇さまをお祀りしていた白蛇堂や祠は、今でも岩国のあちこちにあります。

 大正時代には、今津村の役場の中にも祠がありましたが、敗戦後にGHQの指示で今津川の寿橋に移転しました。

 そばには白蛇飼育場もあったそうです。白蛇さまを信仰してきた岩国の住民の中には、いずれ立派な白蛇さまのお宮ができれば――という共通の願いがありました。

岩國白蛇神社の南側に建つ今津天満宮。菅原道真公をお祀りする

 当神社の建つ場所は、天神山という小さな山です。天神山という名称は、かつて菅原道真公が立ち寄られたという伝説に由来します。

 そのため、昔から菅原道真公をお祀りするお宮があり、それが今、当神社の向かいに建っている今津天満宮です。

 近年になり、地震や大雨で天神山が一部崩れて憂慮されていました。

 ちょうど天神山に岩国白蛇保存会の施設があったこともあり、50年をかけてためた記念品販売などの浄財で天神山の整地を行い、平成24年の12月に当神社が創建されたのです。

 創建に当たり、広島の厳島神社のご祭神である宗像三女神、そして伏見稲荷大社の御祭神である宇迦之御魂神にご鎮座いただきました」(平田宮司)

岩国白蛇保存会の白蛇飼育場が隣接する

白鳥居から北側に進むと隣接する白蛇資料館と白蛇観覧所があり、岩国の白蛇を間近で見られる

 岩國白蛇神社の社殿は、新しいだけあってとても美しく、常若を感じさせるものがあります。

 「当神社の建築木材は、前述の元岩国藩主吉川家が所有しておられた岩国市錦
町の森林のひのきです。

 また、手水舎には俵に巻き付いた白蛇さまの彫刻があり、その口からは常時、水が流れ出ていますが、この水は地下65メートルから汲み上げている地下水で、飲むこともできます。汲んでお持ち帰りになるかたもいらっしゃいます。

 このほか、拝殿前の2つの燈籠や拝殿屋根から下がる釣燈籠にも白蛇さまの彫刻があしらわれ、拝殿内には白蛇さまのご神像もあります。

 当神社に隣接して、岩国白蛇保存会の白蛇飼育場があります。生きた白蛇さまを見られる白蛇資料館や、白蛇供養塔もあり、供養塔内には弁天堂があります」(平田宮司)

白蛇さまの力にあやかり豊かさへの祈りを捧げる

社務所わきで頒布されている白蛇さまのおみくじ。1つ1つが手作業で作られている

 まさに白蛇さまのお力が満ちた岩國白蛇神社には、地元はもちろん、全国から人が訪れるそうです。

 「巳の日に行っている月次祭には、金運、安産、交通安全といったご祈願をされるかたが多く来られます。

 己巳の日にはなおにぎわいますが、ピークはお正月です。創建して最初の巳年(平成25年)には、三が日で2万人のかたが来られました。

 また先日、令和に御世代わりした際にも、たくさんのかたが御朱印を受けに来られました」(平田宮司)

 白蛇さまということで、金運にあずかりたいかたも多いようです。

 「宝くじをたくさん持って参拝されるかたや、宝くじの当選祈願を希望されるかたもおられます。

 先日は、宝くじに高額当選され、いっしょにお参りをした親戚2名も当選されたというかたが御礼に来られ、ご寄付もくださいました。

 おかげさまで宝くじによく当たるという声も多く聞きます」(平田宮司)

 そして平田宮司によると、人は金運をきっかけに、大きな祈りを捧げるようになっていくそうです。

 「当神社では、毎朝神様に神饌を献上する日供祭を行い、常にきれいなお宮であるように心がけています。

 お参りしていただいたとき、生きている、生かされているという感謝の心のきっかけができます。ご自身の金運をお祈りするところから、だんだんと家族や友人、地域、日本、世界への気持ちが出てきます。

 世のため、人のための祈りの場は貴いもの。ぜひ、白蛇さまの力にあやかって、大きな祈りを捧げていただきたいと思っております」

 自分はもちろん、生きる人すべての豊かさと幸せをお祈りできる場として、岩國白蛇神社はあります。

御朱印は「白蛇神社」「開運招福」の2種類。それぞれ金色の白蛇印が押されている

岩國白蛇神社

住所
山口県岩国市今津町6 丁目4-2 
御祭神
田心姫神、湍津姫神、市杵島姫神、宇迦之御魂神(宇賀弁財天)
◉アクセス:JR 岩国駅からいわくにバス「今津」「天神町」下車。錦帯橋からは、いわくにバス「長山公園」下車。