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血管が老けるとシミが増える!血管年齢のセルフチェック法と血管若返り術

シミが目立つのは血管老化のサイン

 鏡を見たときに、「シミが目立ってきたなぁ」「なんか老けてきたかも」と感じることはありませんか。もし思い当たるなら要注意。知らないところで血管の老化が進んでいるかもしれないからです。

 これまで見た目が老けて見える大きな原因とされてきたのは、紫外線による皮膚の老化でした。長年にわたって紫外線を浴び続けることで、シミやシワができて、見た目年齢が実年齢以上に老けて見えるのです。

 最近、その理由に加えて新しい原因があることがわかりました。私は愛媛大学附属病院抗加齢・予防医療センターのセンター長を務めており、センターでは、血管、抗加齢(アンチエイジング)医学研究をしています。

 私の研究グループでは、「血管年齢と見た目年齢には相関関係があるかもしれない」という仮説を立て、病院の抗加齢ドックを受診したかたがたの協力のもと、その仮説を立証しました。「顔の老化は、100%紫外線の影響によるもの」という、それまでの医学界の常識に一石を投じることができたのです。

 さらに、研究を重ね、シミの面積が大きい人ほど、動脈硬化の傾向が強いことがわかりました。動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態をいいます。この状態が続くと、脳梗塞や心筋梗塞になる危険性が高まります。

 一般的に、人は若いときには顔の美しさを重要視する傾向にありますが、40歳頃からは、いかに若く見られるかを重視するようになります。

見た目の若さを意識することがたいせつ

 これまで見てきたように、血管の老化は動脈硬化や高血圧といった症状を誘発します。

 しかし、これらの症状には、痛みや不快感はほとんどありません。したがって、症状が出ていても気づきにくく、健康診断などで指摘を受けて初めて知るというケースが少なくありません。

 下に挙げたテスト項目のうち、当てはまるものが多い人ほど、血管年齢が実年齢よりも老けているサインです。早速、見た目年齢を若返らせる努力を始めましょう。

 個人差はありますが、一般に30歳頃から血管の老化は始まるといわれています。老化を遅らせる対策を始めるのに、「もう歳だから遅すぎる」ということはありません。見た目が若返って、血管も若返るのですから一石二鳥だととらえて、以下にお伝えする手法をやってみてください。

血管の若返りに役立つ食材を意識して食べる

血管の若返りのために、私がお勧めする方法は大きく3種類あります。①食材と調理法、②入浴法、③ゆるい運動です。それぞれについて、ここで簡単にご紹介しましょう。

ニンニク

 私がお勧めする、No.1血管の若返り食材はニンニクです。ニンニクに含まれる成分が、血管をしなやかにする物質の分泌を促してくれると考えられています。また、老化を抑制する抗酸化作用を持つことでも知られています。ニンニクは1個六片入りですが、1日に一片を目安に摂るとよいでしょう。

ダイズ

 ダイズに特徴的なダイズイソフラボンという成分が、悪玉コレステロール値(LDL)を下げてくれることがわかっています。ダイズそのものや納豆、豆腐やおから、みそなどのダイズ製品でも効果があります。

クルミ

 クルミは、抗老化のビタミンといわれるビタミンEの宝庫です。ニンニク同様に、血管をしなやかにしてくれます。

蒸す、ゆでる、煮るを基本に

 小さい頃、「焦げたところを食べたらがんになる」と言われた人もいるかもしれません。この焦げの正体はAGEという成分で、老化の原因の一つです。AGEを取り込まないようにすることはできませんが、調理法を工夫して減らすことは可能です。

それは「蒸す・ゆでる・煮る」こと。例えば、ソテーしたものと水炊きにした鶏肉の場合、AGE値は5倍以上も変わってくるのです。「焼く・める」は、週に2回までにする、などのルールを決めるとよいでしょう。

スパイス、お酢をフル活用する

 ふだん、しょうゆや塩で味つけしているような献立を、スパイスやお酢を使ってみましょう。

 例えば、冷奴にしょうゆではなく、お酢やヒハツをかけてみましょう。ヒハツとは、東南アジアで広く利用されているスパイスです。いつもと違う味の変化を楽しむつもりで試してください。

湯船に浸かることで肌も血管も若返る

 1日の終わりの入浴は、汚れを落とすだけでなく、心身を休めるリラックスタイムでもあります。若い人を中心に、シャワーだけで済ませる人も多いようです。私は、毎日湯船に浸かることをお勧めしています。お湯は、41℃を超えない温度を目安に、10分程度肩まで浸かるようにしてください。

 湯船に週に5回以上浸かる人は、そうでない人に比べて、動脈硬化の進行度合いや心臓にかかる負荷度を示す検査値が低いことが私たちの研究でわかりました。つまり、血管も心臓も若いことが突き止められたのです。

 私の研究室がある愛媛県のには、温泉があり、温泉を引いている施設も少なくありません。湯治という言葉があるように、温泉には病気の療養や、ケガの治療の効果があります。

 一般のご家庭では、温泉の代わりに、市販の入浴剤を使うといいでしょう。炭酸ガス入りの入浴剤は、血行促進効果もあります。また、夏場などは、シャワーで済ませてしまう人もいると思いますが、季節に関係なく湯船に浸かることがお勧めです。

 なお、冬場、特に高齢者や血圧が高い人は、部屋と脱衣所、浴室との温度差による血管への負担に注意する必要があります。脱衣所をヒーターなどで前もって暖めておき、入浴の5分前ぐらいには湯船の蓋を外して、浴室の温度を上げておきましょう。

お勧め習慣のキーワードは「ながら」と「ゆる」

 血管の若返りに役立つ食材と調理法、入浴法についてお伝えしました。食事も入浴も、すべての人が毎日あたりまえに行っていることなので、お伝えしたアイデアを取り入れるのは簡単だと思います。

 他方、血管の若返りに運動がよいといわれても、ふだん運動をやっていない人にとっては、ハードルが高いのではないでしょうか。始めたけれども、1週間と続かなかったという人もいると思います。

 続かなかった原因は、運動そのものがたいへん、新たに運動する時間を取るのが難しいといった辺りにあると私は推測しています。そこで、私が皆さんにお勧めしている運動のキーワードは、「ながら」と「ゆる」です。

 テレビを見ながら、電車に乗りながら、歯磨きしながらといったように、毎日の習慣の中に運動を組み込むことで、無理なく続けることができるはずです。

買い物や歯磨きなどの時間を有効に使う

すき間の時間に歩く習慣

 仕事をしているかたは、往復の通勤時間、そうでないかたでも、週に1度ぐらいは買い物に出かける時間があると思います。そうした際、駅では階段を使う、スーパーでは入り口から少し遠い場所に車を停めて歩くなど、すき間の時間を見つけて、歩くクセをつけるようにしてください。また、できる限り、大股で歩くと、なおいいでしょう。

歯磨きの時間にかかと上げ下げ

 ほとんどの人は、朝晩の2回は歯を磨いていると思います。この歯磨き時間にお勧めしたいのが、かかとの上げ下げです。歯磨きをしている間、かかとを上げ下げするだけなので、簡単にできると思います。

 歯を磨きながら、両足のかかとを同時にゆっくりと上げてつま先立ちになります。次に、かかとをゆっくりと床に着けます。つま先立ちで静止する必要はないので、リズムよく1分ほど繰り返してください。なお、最初のうちは、壁やイスの背もたれなどの安定したところにつかまって行うようにしてください。

ゆるジャンプでますます若返る

 かかとの上げ下げが無理なくできるようになったらお勧めしたいのが、「ゆるジャンプ」です。こちらはジャンプなので、足裏を床から少し離すのがポイントです。あくまでも「ゆる」ですから、1回1分を目安にやるといいでしょう。歯磨きしながらでも無理なくできる人は、それでもかまいません。

 私は、ヴァン・ヘイレンというロックバンドの『ジャンプ』という曲をかけながら、ゆるジャンプしています。曲の前奏部分だけで、100回跳べるようになりました。

 いずれの手法も簡単で、続けやすい点が魅力ですが、最初に張り切りすぎると挫折しやすいので、無理のない範囲で始めてください。