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【足ツボ押し】声かけで効果を高める?自律神経に働きかけて心身を整える魔法のことば

現代人の多くが未病の状態

特に病気ではないものの、体調が悪い。読者の皆様も、そんな体調不良に悩まされていませんか?

これは「未病」と言って、ストレス過多な現代人に最も多い症状です。言うならば、健康な状態から病気に向かっている途中。そのままにしておくと、本当に病気になってしまいます。今は毎日元気いっぱいに仕事をしている私も、未病に悩んだことがあります。

前日までピンピンしていたのに、突然体調が崩れて気分も最悪な日がありました。体は、まるで鎧を着けているかのように重く、仕事は思うように進みません。そのせいで、イライラが募ります。

どうにかできないかと、それまでほとんど経験のなかったマッサージを受けに行きました。

店に着き、症状を伝えると、マッサージ師は、全身のツボをくまなく丁寧に押してくれました。

すると、体はウソのように軽く、嫌な気分も消え、スッキリ楽になったのです。あまりの体の変化に、大変感動したのを覚えています。

怒りや悲しみが鎮まりやる気がアップする!

先の体験以来、私は「薬では解決できない不調をツボ押しで解決できるかもしれない」とツボの研究を重ねてきました。

さて、なぜツボ押しで体調や気分がよくなるのかというと、ツボの特性に理由があります。

ツボとは、全身に張り巡らされた末梢神経が重なり合っている部分のことです。

末梢神経は、脳からの指令を体の隅々まで伝達したり、脳へ体の情報を届けたりするための〝道路〟のようなもの。その道路が重なっているツボは、いわば〝交差点〟です。

ですから、ツボを刺激すると当然、神経に作用します。中でも「自律神経」には強く働きかけることができます。

自律神経は、心臓を動かす・呼吸をする・食べたものを消化する・体温を調節するなど、生きるために必要な体の機能を調節している神経です。

しかし、仕事や勉強、家事、育児など、多忙な現代人は、日々さまざまな情報にさらされ、脳に届けるべき情報が、この交差点で渋滞を起こしやすくなっています。

すると、自律神経の働きがうまく体に伝わらず、体調や気分の不調として表れてくるのです。

この渋滞を解消する方法こそ、ツボ押しです。ツボは、自分では直接ケアすることのできない自律神経に作用し、心身の機能を調整してくれるのです。

ツボ押しは、習慣にすることで得られる利点もあります。

体調の変化に気づきやすくなり、症状の悪化も防ぐことができるのです。さらに、ツボを押して、交差点の流れがスムーズになれば、幸福ホルモンと呼ばれる「セロトニン」や、やる気をアップさせる「ノルアドレナリン」といった脳内物質の分泌を促しやすくなります。

つまり、ツボを押すことで怒りや悲しみを鎮めたり、やる気をアップさせたりすることが、自然とできるようになるのです。

ツボ押しで、情報の渋滞が解消!
心身の機能を調整してくれる

「魔法のことば」で効果が倍増!

全身のツボの中でも、特にお勧めしたいのが、「足のツボ押し」です。

足のツボ押しは、血行や代謝を促進し、体内の老廃物の排出なども促します。その結果、アンチエイジング効果も期待できるのです。

さらに、血行が促進されることで、足のむくみやだるさ、疲労感などの解消にもつながり、疲れを持ち越さない体にもなってきます。

加えて、足のツボを押す際に、「魔法のことば」を唱えることで、効果は倍増します(「魔法のことば」については下記で詳しく解説)。

これは、「ゲートコントロール効果」といって、刺激を感じたときに、さすったり声をかけたりすることで、刺激に対する感情(痛みや苦しみ、悲しみ・怒りなど)を鎮めやすくなります。反対に気分を盛り上げたいときや、やる気を高めたいときにも作用します。スポーツの試合の前に「よし、行くぞ!」と高らかに声を出すのも、この効果を引き出すためです。

未病対策には、日々の疲れを癒し、しっかり食べて、寝ることが肝腎です。

今回は、日頃たまりに溜まったストレスや疲れを一掃できるツボ押しと魔法のことばを、6つご紹介します。夜、寝る前にツボをプッシュ!
そして、身軽に元気に明日をお迎えください。

ツボに合った”魔法のことば”をかけて押すだけ!
「声かけ足ツボ押し」のやり方

足の三里

位置
ひざの皿の下から指幅4本分を目安に、2本の骨が接するV字のくぼみ

押し方
ツボがある足と同じ側の手の親指で、ツボを押す。そしてひざの方向へ押し上げるように刺激する

ツボになじみのない人でも一度は耳にしたことがあるであろう、足ツボの看板とも言えるのが「足の三里」です。
名前は「三里歩いて疲れても、このツボを押せば疲れが一瞬でとれる」という言い伝えに由来します。足の疲れのほか、痛み・不調に効果的なツボですが、実は全身の不調にも対応し、解消できます。

胃炎や胃けいれん、吐き気、便秘、下痢などの消化器系のトラブルをはじめ、更年期障害、精神不安、ニキビ、吹き出物などにも効果的です。

調子が悪いときはもちろん、ふだんから積極的に押すことで、不調や病気の予防にもつながります。

魔法のことばをゆっくり唱え、最低5秒。しっかりとツボを押してください。以降のツボも同様に、押し方に準じて押してください


湧泉

位置
足の第2指の骨をかかと側にたどるとある、くぼみ。足裏のふくらみの間

押し方
親指の腹をツボに当て、骨のキワを足先に向って押し上げる

「押せば生命力が湧いてくる」という意味が名前の由来。こちらも足の代表的なツボで、そのいわれの通り、エネルギーの生まれる場所とされています。

押すと全身の疲労を回復させるとともに、血流やリンパ液など、体を巡る水分の循環を促します。冷え症・のぼせ・背中の痛み・婦人科系のトラブル全般に効果的です。また、精神的な疲れや気持ちの高ぶりを抑え、気分を落ち着かせてくれます。

安心したいとき、ホッと一息いれたいときに押すことをお勧めしている、心身の健康維持に効くツボです


太白

位置
足の親指の側面、親指のつけ根の下にある。親指の側面をたどるとぶつかる骨の出っ張りのすぐ下のくぼみ

押し方
手の親指をツボのくぼみに入るように当て、くぼみから指先に向って押し上げる。手の親指を骨の壁にぶつけるようなイメージで押す

血圧のコントロールに役立つツボは、いくつかありますが、「太白」は中でもお勧めのツボです。血液循環を調整し、血圧が正常に保たれるよう導いてくれます。

血圧は、高くても低くても体に負担がかかります。高血圧は、生活習慣病を誘発しますし、低血圧も朝スッキリ起きられない、疲れやすいなど本人にしかわからないつらい症状があります。

そんなお悩みをお抱えのかたは、魔法のことばとともに太白を押し、血圧コントロールに役立ててください。

また、太白は心にも作用します。特にイライラした気分は血圧の天敵。太白は押すと、イタ気持ちよくスッキリしますから、イライラ解消にも役立ちます


足の井穴(あしのせいけつ)

位置
足指の爪のつけ根の両側

押し方
親指から順に、爪のキワをつまむようにして押す。もみほぐすようにしてもよい

「気の出入り口」とも呼ばれるツボです。自律神経を整えるツボとしても知られ、夜になっても収まらないイライラがあるときに押すと気持ちが鎮まります。その効果から、私はこのツボを「鎮静ツボ」と呼ぶこともあります。

足の井穴も、血流の促進を促す代表的なツボです。足の冷えが続くと内臓まで影響が及び、消化器系・循環器系の不調や病気も招きます。

特に女性は、真夏でも足先がキンキンに冷えてつらいという人が少なくありません。そんなお悩みがあるかたには、ぜひ押していただきたいツボです


曲泉


位置
ひざの皿の内側。足をピンと伸ばして、太ももに力を入れたとき、ひざの内側にできるくぼみのややつま先側

押し方
ひざをつかむようにして、親指をくぼみのツボのところに入れ、手ごと回転させるようにしてツボを押す

曲泉は、痛みによく効く特効ツボとして知られています。特に、ひざ痛には効果的。立つ・座るという動作や階段の昇り降りに限らず、普通に歩くのもつらい! というときに押すと痛みを和らげてくれます。

余談ですが、ツボの名前に「泉」とつくツボは、血液やリンパ液の源であり、生命エネルギーが湧き出る場所という意味を持ちます。

曲泉も押せば痛みのほか、むくみやだるさを解消し、足に元気がみなぎってきます。落ち込んで元気がないときに魔法のことばを唱えながら押すのをお勧めします


失眠

位置
かかとの真ん中

押し方
親指をツボに当て、足の中心に向かって全力で力をかけるように押す

長時間のテレビやスマホの操作で、コロナや世界情勢のよくないニュースに常に身をさらしていませんか? 心当たりのある人の中には、眠りにつきにくくなったと感じる人も少なくないのでは? その症状、ストレスや疲れのたまりすぎが原因です。

「失眠」は「眠りを失ったときに押すとよいツボ」と言われる通り、押すとスイッチが切り替わったかのように眠りにつきやすくなります。

その理由は、このツボが交感神経と副交感神経の切り替えスイッチになっているからです。人は、神経を鎮める副交感神経が優位にならなければ、スムーズに入眠ができません。失眠は、ストレスや疲れで高ぶったままの交感神経を鎮め、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせてくれます


ツボ押しの後に行うとGOOD!
血流が促され老廃物が流れやすくなる!「足伸ばし」

ツボ押しを行った後、仕上げに「足伸ばし」をすると、血流が促され、より効果的に老廃物などの不要なものを体外に排出します

やり方

床に座った状態で、ツボ押しをした方の足にタオルをかける。そのままタオルを引いて上体を真っ直ぐにしたまま前に倒し、きついところで10秒キープする。反対側の足も同様に行う

POINT
曲げている足のかかとはお尻につける

この記事は『ゆほびか』9月号に掲載されています。