ゆほびか ゆほびか
  • 文字サイズの変更
  • 大
  • 中
  • 小
  • SNS
  • twitter
  • facebook
  • instagram

【コロナ後遺症を予防・改善】感染時の重症化防止にも!お勧め治療法とセルフケア

コロナ後遺症の人は上咽頭が腫れている

コロナ後遺症になってしまったらどうしたらいいのか、その治療法についてお話しします。なお、ワクチン長期副反応も、対処法は同じです。

▼前の記事
【コロナ後遺症とは】症状は倦怠感、思考力低下など。8人に1人が後遺症に苦しむというデータも

まず、私が最も効果が高いと実感しているのは、「上咽頭擦過療法(EAT)」です。昔は「Bスポット療法」と呼ばれたものです。
これは上咽頭(鼻とのどの間)に塩化亜鉛を綿棒を使ってこすり付ける治療法で、コロナ後遺症とも関連の深い「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」に対する効果が以前から指摘されています。

コロナ後遺症の人ののどを見ると、ほぼ全員、上咽頭が腫れています。上咽頭は脳に近い場所にあり、炎症物質が脳にいくと、脳にも炎症が起こります。
EATは上咽頭の炎症を抑えることで脳の炎症を鎮め、多岐にわたるコロナ後遺症の症状改善に効果が期待できるのです。

私は福岡の今井一彰医師(みらいクリニック院長)の元で、EATを受けたコロナ後遺症の患者さんの症状が改善していく様子を見て、「これは本物の治療法だ!」と確信しました。
EATは耳鼻科などで受けることができ、多くの場合、保険適応です。可能なら、ぜひ受けることをお勧めします。

ただし、この治療は全国、どの耳鼻科でも受けられるわけではありません。また、上咽頭をこするので、とても痛い治療であることを併記しておきます。

コロナにかかってなくてもやったほうがよい

そこで、私がセルフケアとして提案しているのが、「鼻うがい」です。

鼻うがいもEATと同じく、上咽頭の治療効果を期待して行います。コロナ後遺症の症状の改善はもちろん、後遺症予防にもなります。
コロナに感染したら、すぐさま1日3回鼻うがいを行うようにしましょう。

鼻うがいは、上咽頭を洗い流すことで体内に入るウイルスが減り、たとえコロナに感染しても、重症化する確率が8分の1になるという報告もあります。
今は元気な人も、自分自身や人への感染およびコロナにかかったときの重症化を防ぐために、鼻うがいを1日2回やっておくと安心です。

コロナ後遺症の人は、逆流性食道炎など胃酸が上がりやすい人も多いので、その治療もしっかり行いましょう。胃酸が上がってくると、上咽頭にも悪影響を及ぼします。

これは私の持論ですが、膵臓が弱い人はコロナ後遺症になりやすい印象があります。
油っこいものを食べたりお酒を飲んだりすると、おなかや左の肩甲骨辺りが痛くなる人は、日頃から鼻うがいを積極的に行いましょう。

起床時・帰宅後、寝る前の1日3回!
鼻うがい のやり方

用意するもの

100円均一ショップで売っているドレッシングやハチミツの容器に、濃度1~2%の食塩水(ぬるま湯)を入れたもの。もしくは、市販の鼻うがい洗浄液
※濃度を間違えると痛いので注意

やり方

①洗面台に顔を突き出し、容器を片方の鼻の穴に入れる

上を向いては行わない

②「あー」と声を出しながら、ボトルをギュッと押して洗浄液を鼻に入れる。反対の鼻の穴から洗浄液が出てくるので、これを5秒ほど続ける。難しければ口から洗浄液を出してもOK

③反対の鼻の穴も、同様に行う

※1日2〜3回、起床時や帰宅時に行う
※中耳炎の人、誤嚥しやすい人は行わない

自宅でできるセルフケアとしては、「呼吸リハビリ」もお勧めです。
コロナ後遺症の人は、肺のガス交換機能が低下しています。
そのため、酸欠によって脳がエネルギー不足になっていることも、倦怠感や思考力の低下に影響していると考えられます。

鍼灸師の野崎真治先生によると、コロナ後遺症の人は呼吸も浅く、交感神経(※1)優位になっているのだそう。呼吸リハビリで呼吸を深めれば、副交感神経(※2)優位になり、酸欠も改善し、各種症状の軽減が期待できます。

※1自律神経の一種で活動時に働く神経 ※2 自律神経の一種でリラックス時に働く神経

野崎先生と私が考案した呼吸リハビリを3種類、ご紹介しています。
無理なく、自分のペースでできるものを選んでやってみてください。

肺の機能が回復する
「呼吸リハビリ」のやり方

重度の人もできる「脚上げ呼吸」

①イスや台の上に両脚をのせ、直角に近い形にして自然に呼吸を5分行う

②できる人は、両手をバンザイさせて、肋骨の動きを感じながらゆっくり呼吸する。5分行う

③胸やおなかに手を置いて、呼吸に合わせて動くのを意識しながらゆっくり呼吸する。5分行う

PS5以下の人に「まんまる呼吸」

①横向きに寝て、胎児が胎内にいるときのように手足を縮め、背中を丸める
②背中の下の方に呼吸を入れるつもりで、ゆっくり呼吸をする。5分行う

③できる人は、上になった側の手を上げ、頭にのせる。わきが開くのを感じながらゆっくり呼吸する。5分行う
※終わったら逆側も同様に行う

PS4以下の人に「腕組み呼吸」

①イスや台の上に両脚をのせ、直角に近い形にして、左右の手を軽く組む

②息を吸い、吐きながら、両腕をおでこの上にのせる

※①~②を10回ほど行う。この動きがつらい場合は、片手ずつ行ってもよい
※息の吐き方は、鼻からでも口からでも、意識せず、楽な方法で吐く。体が回復してきたら、鼻から吸って、口からゆっくり細く吐く

そのほか、当院では漢方薬、鍼灸、BCAA(アミノ酸サプリ)などを組み合わせて治療を行っています。

漢方薬は、個々の体質に合わせて処方するので、必ず医師や漢方医に診てもらってから、ご自分に合う薬を処方してもらってください。
私のこれまでの経験から言うと、鼻うがいと呼吸リハビリのセルフケアだけでもかなりの効果が期待できます。

ですが、症状が長引いている人、後遺症が重篤なかたは、ぜひEATが受けられる耳鼻科を当たってみることをお勧めします。

感染してから2カ月以内が危ない!

コロナ後遺症を悪化させないためには、無理をしないことも重要です。
準寝たきり~寝たきり状態になっている人を調べてみると、その9割が、コロナに感染して2カ月以内に悪化しています。

「病み上がりだから多少だるいのは仕方がない」と軽く見ていたら、後々大変なことになりかねません。

治ったと思っても最低2カ月は絶対に無理をせず、だるくならない範囲で行動しましょう。

「体力をつけなければ」と、無理に運動するなどもってのほか。また、「若いから」「体力に自信あり」という人も要注意です。特に日本人は、仕事なども根性論で頑張りすぎてしまいがちです。
重症化して働けなくなったら、それこそ企業の損失につながります。無理をさせないよう、周りもよく理解しておく必要があるでしょう。

最後に、症例を一つ紹介します。
Aさん(30代・女性)はコロナに感染し、療養期間を終えて仕事に復帰したものの、なかなかだるさが取れませんでした。
なんとか1週間頑張って働きましたが、ついに休職。食事とトイレ以外は何もできず、ほぼ寝たきりになってしまったのです。

そこで、鼻うがいと呼吸リハビリを行ったところ、2週間で少し動けるようになりました。
その後は耳鼻科でEATを受け、漢方薬を処方してもらって飲み始めました。その結果、3カ月で体調は回復し、無事に職場復帰を果たすことができました。

コロナに感染してから2カ月は絶対に無理は禁物!

回復までにかかる期間は、人によってまちまちです。たとえ時間がかかっても、ちゃんとケアすれば症状は改善します。
当院では、こういった治療とセルフケアに取り組んでいただいた結果、約75%の人のPSが半分以下に軽減しています。
時間がかかっても、諦めずに治療に取り組んでください。

この記事は『ゆほびか』2023年1月号に掲載されています。
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: amazon_banner01.png

関連記事