1回に小さじ1杯強を豆乳に混ぜて飲む
実は、ご紹介したダイエット番組での指導に先立ち、実際に私も自分の体で、MCTオイルの効果を確認しています。
2013 年の夏から、自らの食生活にMCTオイルを積極的に取り入れることにしたのです。
飲み始めた当初、私はひどい下痢をしてしまいました。油をたくさん食べると、うまく小腸で分解されずに、おなかがゆるくなってしまうことがあります。
それなら、油を分解されやすい形にすれば下痢は解消できるはず。そう思い、豆乳とMCTオイルをよく混ぜて飲んでみました。豆乳と混ぜるのが最も飲みやすく、ある程度乳化します。
それでもMCTオイルを15g 以上にすると下痢しやすく、レシチンのサプリメンを併用することで治まりました。5カ月後、82㎏あった体重は18 ㎏落ちて64㎏ に(身長は165㎝ )。
その7カ月後には、さらに2㎏落ち、1年で20㎏の減量に成功しました。これだけ体重が落ちても、ストレスや体調不良はまったくなく、熟睡できて目覚めもスッキリ、肌もツヤツヤです。疲れ知らずで、仕事の効率は今まで以上にアップしました。採血データも改善しました。
肝臓の機能を表すALTの数値は5カ月で46から15に(基準値は30U/L以下)、γ-GTPも32から13まで下がりました(基準値は50U/L以下)。MCTオイルの医学的な効果を目の当たりにし、私は医学の歴史が変わったと実感したのです。
コーヒーやみそ汁に混ぜてもOK
MCTオイルに慣れるために私がお勧めする方法は、1日4回(朝・昼・夜・就寝前)、小さじ1杯強(5g 程度)のMCTオイルを50〜70㎖の豆乳によく混ぜて飲むことです。
100円ショップなどで売っているシェイカーを使うと、うまく混ざります。豆乳は無糖であれば、調整豆乳でも無調整豆乳でもかまいません。
慣れたらMCTオイルの量を1回に大さじ1杯強(15g程度)を目標に増やしてみてください。コーヒーやみそ汁に混ぜてもOKです。
そして、効果を上げるためには、意識的に糖質を減らしていきます。糖質制限の目安は、1日に摂取する糖質量の合計を130g以下にすることです(理想は大人なら80g 以下)。
白飯茶わん1杯(160g)の糖質量は約60g ですから、夕食だけはご飯を抜いたり、小さい茶わんにして毎食のご飯の量を減らしたりするなど工夫をしてみましょう。それでも、MCTオイルの作用で、不思議と空腹は感じないはずです。
アルツハイマー型認知症に注目されている
MCTオイルの効果は、ダイエットだけにとどまりません。糖質を制限したうえでMCTオイルを摂取すると、前述したとおりにさまざまな健康効果が期待できます。
その中でも特に注目されているのが、脳への作用です。超高齢化社会において、アルツハイマー型認知症がたいへん増加しています。
健康的な脳とは、炎症がなく、必要な栄養素が過不足なく供給され、常に新しい細胞を作り出せる状態です。アルツハイマー型認知症の脳では、なんらかの理由で脳のエネルギー源の一部である、ブドウ糖がうまく使えない状態になっています。
脳には、脳血液関門という、脳に有害な物質が入らないよう調節する、関所のような役割をする細胞があります。ブドウ糖と同じく、MCTオイルにより合成さ
れたケトン体も通過することがわかっています。しかも、ブドウ糖よりも効率的に脳に届きます。
脳に届いたケトン体は、ブドウ糖に代わるエネルギー源として働き、活性酸素(体内で増えすぎると細胞を傷つけ老化の一因となる物質)や炎症から神経細胞を保護します。
すると脳が正常に機能し、新たな細胞が作られやすい環境になり、脳の機能が改善すると考えられます。実際、国立精神・神経医療研究センターの高齢者を対象とした研究において、ケトン体を脳のエネルギー源とすることで、認知機能が改善したという発表が2016年にされています。
また、私が食事指導をした50代の若年性認知症の男性は、日常生活がかなり改善されました。