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【シワ・タルミ】真の原因は骨の老化!骨密度を高めて若返る「耳下パタパタ」のやり方

2023/01/05

骨がやせるから皮膚がたるむ

シワやたるみは、なぜできるのでしょうか。これまでは加齢で筋肉が緩み、皮膚が重力で垂れ下がるのが原因と考えられてきました。

しかし真の原因は、別にあります。それは皮膚と筋肉の土台である「骨」の老化。

加齢とともに骨は、もろく小さくなります。すると、その上に位置する筋肉や脂肪の形も崩れ、皮膚が余ってシワやたるみとなるのです。

ちなみに、この骨の老化が一番早く始まるのは顔。太ももの骨である大腿骨と比較すると、なんと15年も早く、もろくなり始めます。 

これはなぜかというと、顔は23個もの骨で形成されているから。薄く張った氷が端から溶けていくように、骨も端からすり減ります。特に小さめの骨は、すり減りやすいのです。

頭蓋骨は目や鼻、口の部分に穴が開いていますが、これらの穴の周囲もすり減りやすい部分です。

最初に減るのがあごや口周りの骨。この変化は30~40代から始まるため、その年代からフェイスラインのたるみやほうれい線が目立つようになります。

40~50代になると、目の穴がすり減ってきます。すると穴が広がるので、上まぶたが落ちくぼみ、下まぶたにたるみやくまが現れます。

鼻の穴がすり減るのは60代頃から。穴が広がると、鼻の脂肪が横にずり落ちるので、鼻が低く大きくなったように見えます。

このように顔の老化現象のほとんどは、骨の老化が原因。ですから若返りたいなら、骨を強くするのが最も手っ取り早くて、確実です。

顔の骨は穴が開いている箇所が多く、構造的に体のほかの部位より老いやすい

骨密度の高い人は肌がきれい

その方法として、私が考案したのが、今回ご紹介する「耳下パタパタ」です。これは耳の周囲に手を当て、腕を動かしたり、歯を噛み合わせたりする簡単な体操です。

考案のきっかけとなったのは、当院の院長である山本慎吾医師の「骨密度(骨の量)が高い人は、肌がきれい」という発言でした。2014年のことです。

院長の印象が正しいかを調べるため、当院では男女239人の骨密度を測定。同時に顔と手の甲の写真を撮り、14人の判定者に「何歳に見えるか」を推定してもらいました。

その結果、予想通り「骨密度が高いほど、見た目の年齢が若い」という相関関係が得られたのです。

この結果を受けて最初に取り組んだのが、患者さんへの姿勢指導と、正しい姿勢を保ちながらの運動です。骨密度は骨に衝撃を与えれば高まることが研究で判明しているので、正しい姿勢を保ちつつ、運動で振動を加えれば、骨が強くなるのでは、と考えたのです、

その成果は、予想以上でした。

1~3カ月ほどで患者さんの骨密度がアップ。骨が強くなると、心身も健康になり、健康診断の数値が全て基準値になる人や、20個もの病名がついていたのに薬が必要なくなる人などが続出したのです。

見た目も若返り、78歳でシニアモデルとしてショーに出る人も現れました。
 しかし、ひざ痛や腰痛で正しい姿勢の保持が難しい患者さんも当院にはいらっしゃいます。そこで、そんな人でもできる方法として考案したのが、耳下パタパタを含む、顔の骨トレでした。
 当院の患者さんやスタッフに実践してもらったところ、これも大好評。「目がはっきり見えるようになった」「頭痛がなくなった」「よく眠れるようになった」「疲れにくくなった」など幅広い効果が認められました。

見た目の若返りも顕著で「小顔になった」「ほおが上がった」「ほうれい線が薄くなった」など、数多くの喜びの声が寄せられたのです。

データでも、その効果は明らかでした。21歳から64歳までの男女28名に1日1分、1カ月実践してもらったところ、80%の人の骨の質が改善。また、実施前後の顔写真の「見た目年齢」を7人の判定者に推定してもらったところ、85%の人に若返り効果が認められたのです。

脳幹を刺激して自律神経を整える

耳下パタパタは骨を強くする体操ですが、他にも次の二つのメカニズムで若返り効果をもたらすと考えられます。

❶脳幹を刺激する

耳のすぐそばには、呼吸や血液循環の調節など生命維持に必要な役割を担う脳幹があります。特にその中の視床下部は、自律神経やホルモンのコントローラーといわれる、健康維持の要となる部位です。

耳下パタパタを行うと、この脳幹に刺激が入り、血流もアップします。その結果、自律神経のバランスやホルモン分泌が整うので、内臓から元気になり、心身ともに若返ると考えられます。

❷オステオカルシンの分泌を促進

骨を刺激すると、骨の細胞からオステオカルシンというホルモンが分泌されます。オステオカルシンは全身の若返りを促す物質として、近年、世界的に注目されています。

通常、ホルモンはその受容体と「鍵と鍵穴」のような関係にあるため、決まった部位にしか働きかけられません。しかし、オステオカルシンがすごいのは、万能の鍵として、全身のあらゆる部位に働きかけられる点。

骨から分泌された後は、血管を通じて体内を循環します。脳の神経細胞を増やしたり、免疫機能や代謝機能を活性化させたり、筋力、運動能力を高めたりと、全身の細胞の働きをサポートしてくれます。

前述の男女28人を対象とした実験で、血中のオステオカルシン量も測定したところ、1カ月で57%もアップしていました。耳下パタパタにはオステオカルシンの分泌を促して、全身を若返らせる効果も期待できるのです。

耳下パタパタを行うと脳幹に刺激が入りホルモン分泌も整い内臓から元気になる

1日1分! いつでもどこでも簡単にできる

耳下パタパタでは次の3つの動きで、骨を刺激します。

❶耳の下に手を当てて、腕を開いたり閉じたりする動き。この腕の開閉によって、てこの原理で効率よく安全に骨に刺激を与えます。
❷エラに手を当て、歯をカチカチと軽く噛み合わせる動き。
❸耳の下に手を当てて、歯をカチカチ噛み合わせる動きです。

カチカチという音は、自分では大きな音に聞こえますが、周囲にはほとんど聞こえません。これは頭蓋内で音が反響するからで、その振動が高い効果を生みます。すり減りやすいあごや口の骨を強くする効果も絶大で、噛み合わせも改善します。
「こんなに緩い刺激で効くの?」と不安に思うかもしれません。しかし、強い刺激を与えると、体はバランスを崩します。弱い刺激を長期間にわたって加え続けることで、耳からドミノ倒しのようにパタパタと全身の細胞が若返っていきます。

耳下パタパタは1分もかかりませんし、いつ行っても構いません。1カ月を目安に続けてみてください。


1日1分!骨を刺激して若返る

耳下パタパタのやり方

①手の母指球をそれぞれ耳の下に当てる
②耳たぶの下の骨を持ち上げながら、両ひじを開いたり閉じたりパタパタとリズミカルに10回ほど動かす。両ひじを近づけるときに息を吐くとよい。皮膚を引っぱらないよう注意

①エラの下に、握りこぶしを当てる
②このまま、歯をカチカチ、軽く噛み合わせる。10回ほど行う

①耳の下に、握りこぶしを当てる
②このまま、歯をカチカチ、軽く噛み合わせる。10回ほど行う
この記事は『ゆほびか』2022年12月号に掲載されています。