
血糖値上昇を防ぎつつ筋肉が減るのを防ぐ食べ物
食物繊維を豊富に含む食材は、血糖値が急激に上がるのを抑えてくれます。
食物繊維が多い食材には、海藻やキノコ、葉野菜などがありますが、私が勧めているのが「大豆」です。
大豆には、100gあたり約18gの食物繊維が含まれています。食物繊維の多い印象があるゴボウが5・7g ですから、大豆の食物繊維量は、数ある食材の中でもトップクラスです。
また、たんぱく質が豊富なところも、大豆を勧める理由です。
「なんちゃって糖質制限」と言っても、糖質を減らすことに変わりはありません。糖質を減らしたら、たんぱく質が不足しないよう気をつけてください。た
んぱく質が不足すると、筋肉量が落ちるからです。
筋肉が、糖分の保管場所であることをご存じですか。また、筋肉は、血糖値を調節している組織でもあります。そのため、筋肉量が落ちると、糖分の行き場がなくなってしまいます。
血糖値が急上昇しても、血糖値をうまく下げられないという事態になりかねません。
事実、やせた女性には食後高血糖が多いこともわかっています。たんぱく質不足では、肌の調子も悪くなるので、見た目の老化にもつながります。
大豆には、1 0 0g あたり、33・8gもたんぱく質が含まれています。また、大豆は、たんぱく質の優秀さを評価する「アミノ酸スコア」が、満点の100点。量も質も、たんぱく源として言うことがありません。
大豆ファーストで糖質も自然に減らせる

実は私は、30代の頃に、メタボ気味だったことがあります。
そのとき、やせるために極端な糖質制限をしました。すると、おもしろいように体重が落ち、うれしくて、いっそう糖質制限に励んだのです。
そんなある日、鏡の前に立った私は愕然としました。目の前には、まるでヨボヨボのおじいさんが立っていたからです。
今、振り返ると、たんぱく質が明らかに足りていませんでした。その後、納豆や豆腐、大豆の水煮などを最初に食べる食事法である「大豆ファースト」を始めたところ、筋肉量を維持したまま、減量に成功しました。
肌もきれいになり、30代の頃より、50代の現在のほうが若々しくなりました。
大豆の利点は、まだあります。腹持ちがいいので、食事量が自然に減るのです。おかげで、糖質も無理なく減らせます。
また、大豆に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」に似た働きをするので、更年期障害による不定愁訴(原因がはっきりしない体の不調)の緩和にも役立ちます。
血糖値と便秘の両方に効く「蒸し大豆ヨーグルト」
大豆を、どう食べたらいいか、悩まれるかたもいるかもしれません。いちばん手軽なのは、「蒸し大豆」です。蒸し大豆は、大手のスーパーなどで入手できます。しかも150円前後と安い!
私も、市販の蒸し大豆を愛用しています。サラダに入れたり、ご飯に混ぜたり、口寂しいときにそのまま食べたりと、毎日欠かすことはありません。出張カバンには、おやつ代わりに蒸し大豆が入っています。
蒸し大豆の活用法としてお勧めしたいのが、ヨーグルトに入れる「蒸し大豆ヨーグルト」です。
大豆の食物繊維と、ヨーグルトに含まれるオリゴ糖や乳酸菌が合体した、最強の整腸食です。これだけで、1日に必要な食物繊維のほとんどをカバーできます。
私は毎朝、蒸し大豆ヨーグルトを食べています。そのおかげか便秘に悩んだことは一度もありません。
3時のおやつの代わりに、蒸し大豆ヨーグルトを食べることもあります。腹持ちがいいので、間食のチョコレートやおせんべいを食べることが、パタリとなくなりました。
患者さんにも蒸し大豆ヨーグルトを勧めていますが、「腹持ちがいい」と好評です。
「血糖値が下がった」「便秘が解消した」など、食物繊維の効果も現れています。
立ったまま食べると血糖値が上がりにくい

最後に、もし家庭環境が許されるなら、「立ったまま食事をする」のもお勧めです。
例えば、体育の授業のあとは、食欲が湧かない。そんな経験はありませんか?
これは、運動したことで交感神経が活発になり、副交感神経が主役の消化吸収機能が、抑えられてしまうからです。
立つだけでも交感神経は優位になりますから、糖質の吸収も緩やかになります。
最近、立食スタイルの外食チェーンが流行していますが、血糖値上昇を防ぐ意味で、とても理にかなっています。
私の家では、子育てがひと段落したので、妻とふたりで夕飯を食べています。よく、キッチンカウンターをテーブルの代わりにして、立ったまま一杯やりながら、食事を楽しんでいます。
慌ただしい朝も、キッチンカウンターで朝食を作り、その場で食べる立食スタイル。時間短縮にもなり、お勧めです。