厳しい冬の山形では納豆汁は理想の栄養食
日本には昔から、その土地の風土や食材を活かした「郷土料理」というものがあります。私の出身地である山形は、野菜の宝庫といわれるほど食材が豊富な地域であることから、多様な郷土料理にもそれらがふんだんに使われています。
一方、冬は雪が降り積もり、野菜の収穫が難しい地域もあります。そのような地域でも、厳しい自然に合わせた郷土料理が作られてきました。
例えば、1月7日の「人日の節句」では、七草粥を食べるのが一般的です。しかし、山形の内陸部の雪深い地域では、早春に七草をそろえることができないため、栄養のある納豆とサトイモの茎を干した「芋がら」で温かい「納豆汁」をつくり、無病息災を願います。
山形では、納豆汁はもともと日常でもよく食べられてきました。それを現しているのが、県内のほとんどのスーパーで手に入る「納豆汁の素」です。すりつぶしてペースト状にした納豆がみそに練り込まれていて、具材を入れてお湯で溶かすだけで、もう納豆汁が出来上がるのです。納豆汁がどれほど山形県民の食生活に根づいているかが、容易に想像できると思います。
山形の納豆汁は、すり鉢ですってペースト状にした納豆をみそ汁に溶かし入れて作ります。具は先述の芋がらのほか、山菜、豆腐、キノコ、コンニャクなどですが、家族の好みで変わったり、その日に家にあるもので作ったりするので、「絶対にこれ!」というのはありません。
しかし、「納豆汁は飲んでみたいけど、納豆をすり鉢でするのは少しハードルが高い」という人もいると思います。
そこで今回、私が最近作っている、もっと手軽な「納豆スープレシピ」をご紹介します。
こちらは納豆を粒のまま使用し、具も水煮の山菜を入れるだけ。レシピとも言えないほど、まったく手間がかかりません。それでいてとっても美味で、本場山形の納豆汁を知っている家族からも大好評です。ぜひ皆さんも作ってみてください。
山形風!山菜納豆スープの作り方
OFFレシピで50kgの減量に成功
納豆が苦手な人に「納豆汁」はおすすめ
納豆汁は体が温まるだけでなく、栄養的にも非常にバランスのいいメニューです。食物繊維が豊富ですから、腸内環境の改善に役立ち、血糖値の急上昇を抑制するなどの健康効果も期待できます。
さらに、ダイエットにも最適です。飲めばすぐに満腹感が得られるので、過食を抑えられるうえに、ビタミンB2が脂質・糖質の代謝を促進し、カリウムがむくみを防いでくれます。たんぱく質が豊富ですから、筋肉を落とすことなく、きれいにやせることができる、まさに理想のダイエット食なのです。
私自身、納豆にはいろいろと助けられています。小さい頃から食べることが大好きで食いしん坊だった私は、ストレスによる過食も加わり、20代の半ばの頃に体重が97㎏もありました(身長は154cm)。
血圧や血糖値など、健康診断のすべての項目が「要再検査」という状態で、医師から「このままでは早死にするよ」と3年間で2度言われたことがきっかけでダイエットを始めました。食事制限や置き換えダイエットなど、いろいろな方法を試しましたが、少しやせてはリバウンドの繰り返しでした。
それで、今までのやり方ではだめだと考え、徹底的に食事にこだわるようになったのです。
ダイエットは「食事が8割、運動2割」とよく言われます。私もただ食べないダイエットではなく、糖質を抑える糖質制限やカロリーを抑えるカロリー制限など、そのときどきの体に合わせた食事作りを始めました。もちろん毎日のことですから、時間や手間、食費もできるだけ抑えたレシピを考えました。
糖質オフ、カロリーオフ、時間も手間も食費もオフ、それでいておいしく続けられる。これが私の提唱する「OFFレシピ」です。
OFFレシピと、筋力を落とさずに代謝を上げるために、ジムでの筋力トレーニングも続けたおかげで、体重は2年ほどで41㎏まで落ちました。なんと50㎏のダイエットに成功したのです。
さすがに身長に対し、41㎏はやせすぎですので、健康面を考え、現在は自分のベスト体重の50㎏前後に戻し、それを維持しています。
このOFFレシピで活躍したのが納豆です。私は納豆汁のほか、納豆オムレツや、山形の漬け物「おみ漬け」と和えるなど、いろいろなかたちで納豆を活用しています。
やせた後は、健康診断の数値もすべて正常値になり、ちょっと動いただけで息切れする、ということはもうありません。また、太っていた頃は吹き出物が多かったのですが、ダイエット後はなくなり、きめが整って、ツルッとした肌になりました。
そして、人生も変わりました。考案したOFFレシピをSNSで紹介し始めたところ、「おいしく、楽しく、簡単に作れる」と評判になり、メディアで紹介されるようになったのです。レシピ本も出版して、現在は企業のレシピ開発の協力や、料理教室の開催など、幅広く活動しています。
納豆は、いつまでも美しくいたい女性の強い味方です。納豆そのものは苦手だけど納豆汁なら食べられる、という人も多いです。美と健康のためにぜひお手軽な納豆汁を実践してください。