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【眠れる脳の作り方】眠りの浅い脳の部位を熟睡させる!専門医直伝の「脳番地快眠法」(その2)

その1を読む

眠りの浅い脳番地がわかる!

 私たち人間の脳には1000億個以上の神経細胞があり、それらがネットワークを張り巡らせて、脳の働きを分担しています。脳は右脳と左脳に分かれているだけでなく、役割分担ごとにもっと細かく分かれているのです。その数はおよそ120個にもなり、私はそれらを「脳番地」と名づけました。

 120個の脳番地を機能別に分けると、下図のように8つに大別できます。脳は一部の脳番地の疲れを、脳全体、あるいは全身の疲れとして錯覚してしまいます。

 それは裏を返せば、眠れない脳番地さえ眠らせることができれば、脳全体がスッキリして、質の高い睡眠となるということです。これを利用したのが、私の考案した「脳番地快眠法」です。

 前項で、「脳の1日の活動サイクルをグラフ化すると、夜と昼できれいな波のようなバイオリズムを描く」という話をしました。よく眠れない脳番地は、日中、そこが使われず、波が低かったからです。

 つまり、使われていない脳番地を積極的に「昼活」させれば、夜は疲れて眠りやすくなるのです。では、自分の脳の眠れていない脳番地はどこなのでしょうか。20ページに「脳番地の寝不足診断チェックリスト」を掲載しましたので、診断してみてください。

 どの項目にチェックがついたかで、眠れなくなっている脳番地が判定できます。眠れなくなっている脳番地がわかったら、日中にその脳番地が働くように意識してトレーニングすることで、夜の眠りの質を高めることができます。

 各脳番地のトレーニング方法については、21ページを参考していただくとして、次から脳番地睡眠法の基本についてお話しします。

熟睡するコツは脳を疲れされること

 ふだんの生活で、私たちは活動のために目を開き、耳を使い、手足を動かし、会話します。これは随時、「視覚系」「聴覚系」「運動系」「伝達系」の4つの脳番地をフル活動させている状態です。

 つまり、これらの脳番地は、普通に動いて行動し、人と会うだけで自ずと活性化されます。ただ、ふだんから家に引きこもりがちで、人に会う機会も少ない人、特に現在はコロナ禍でリモートワークが増え、そのような人が増えているかもしれません。

 そうした人の中で、「どうも眠りが浅い気がする」「寝つきが悪い」という人は、日中、これらの脳番地の活動が小さいため、睡眠が浅くなっている可能性があります。脳が疲れていないので、夜間に眠る理由がないわけです。

 この場合の対処法は簡単です。「日中になるべく体を動かす」こと。特に、「歩く」ことはほどよく脳が疲れるいい運動です。理想を言えば、1時間くらいは歩きたいところ。日中に体をしっかり動かすことで、夜間にスムーズに入眠できる脳が作られます。

入眠前に悩みのループにはまると厄介

 次に、「理解系」「感情系」「思考系」「記憶系」の4つの脳番地が原因で眠れない場合の対処法ですが、こちらは少し厄介です。

 先に説明した視覚系・聴覚系・運動系・伝達系の脳番地は、夜間になると直接的な情報の入力はほとんどなくなります。睡眠時は、目を閉じ、耳は使わず、動かず、話もしません。

 しかし、理解系・感情系・思考系・記憶系の脳番地は、人が感じて考えるときに動く部分で、夜も活動を継続していると、徐波睡眠に移行しにくくなり、深い睡眠が得られません。そして、レム睡眠中にもこの4つの脳番地は動くのです。

 例えば、日中に大きな問題が生じたとします。入眠前に記憶系脳番地がそのことを思い出しました。すると、感情系が「困ったなぁ」となり、理解系が「どうしてこうなったんだろう」と考えます。そして、思考系が「どうしよう」となります。

 1つの問題を解決しようと、4つの脳番地が順番に働いてしまうのです。眠る前にこのような状態になっては、深い睡眠など望めません。

 脳は、答えが出ると途端に活動を停止します。しかし、入眠前に思い出してしまうような問題は答えが出にくいものです。答えが出るまで、先の順番で悩みがグルグル回り、睡眠どころではなくなります。

脳が快眠すれば幸福感も増す

 理解系・感情系・思考系・記憶系のコントロールにお勧めなのは、「日記を書くこと」です。

眠りの浅い脳番地を鍛えて熟睡を得る!脳番地トレーニング法

 日記は、1日の総括になります。書き留めることにより、記憶を整理することができます。同時に情報の整理も助けます。記憶と情報を整理することで、記憶系脳番地に1日の完了サインを送ります。それにより、寝るときにあれこれ考えることを抑制できるのです。

 ただし、寝る前にパソコンやスマホの光を見ると、スムーズな入眠の妨げになります。ブログなどではなく、手書きの日記にしてください。不眠の改善には、このほか深部体温を下げるなど、入眠しやすい環境を作ることもたいせつです。

 深部体温とは、体の内部の体温のことで、直腸や脳の温度です。深部体温は、日中は上がり、夜は入眠とともに下がります。

 深部体温の高低にかかわっているのが、手足の末梢の血管です。入眠の準備がうまく進むと、手足の温かさ、血行のよさを感じます。冬は湯たんぽや電気毛布を使って温めてもよいでしょう。

 じゅうぶん温まったら、寝具から手先足先を出します。すると温まった手足から熱が発散されて体温調節機構が働き、深部体温が下がるので、スムーズに入眠できるのです。

 また、夕食を遅い時間に取ると、寝るのも遅くなり、睡眠の質が低下します。早めに夕食を取って、少し空腹気味で寝ると、翌朝は目覚めとともに腸管が動きますから、体も脳も朝から活発に働きます。午後8時までには夕食を済ませましょう。

 快眠は、日中の幸福感を高めます。一方、睡眠不足は、モチベーションを下げるだけでなく、さまざまな病気や不調の原因となります。脳番地快眠法を実践して、寝不足脳から快眠脳に変え、健康で幸福な生活を送ってください。

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