脳疲労を解消、幸せホルモンも分泌する「中指回し」
中指回しは、龍村ヨガ研究所の龍村修所長が考案した「龍村式・指ヨガ」のことです。指ヨガは手指を刺激することで、全身で行うヨガと同等の効果が得られます。手と全身の相関を表した図になります。
※中指回しのやり方はこちら↓
医師が伝授!【脳疲労を解消する】簡単テクニック~「むきだしの脳」といわれる手を刺激!|ゆほびかweb
中指回しは呼吸を合わせて中指を回したり、押したりするだけですが、驚くほどの効果を発揮します。
私は整形外科医として、クリニックを訪れた患者さんたちに痛みや不調を改善するセルフケアの一つとして中指回しをお勧めしてきました。
ところが、コロナ禍に入ってから、自ら進んで「中指回しをやってみたい」と言う人が増えたのです。
これは、体が中指回しを欲していることを、患者さん自身が感じ始めたからでしょう。そうなってきたのは、コロナ禍の日常で、「怖い」と身構えることが多くなってきたことが影響しているように思えます。
恐怖を感じているとき、脳は緊張状態になっており、その緊張は、そのまま手の緊張として現れます。皆さんも、恐怖を感じたり緊張したりしたときに、手をギュッと握りしめたり、手に汗をかいたりした経験があることでしょう。
「手は第二の脳」「手はむき出しの脳」とも言われるのは、これが理由です。脳に現れた変化や不調は、手にも現れるわけです。
これは、呼吸に合わせて手を刺激することで、脳の緊張や不安も取り除いてリラックスさせる効果が期待できるということでもあります。
中指回しは、私たちの不安や緊張を和らげることに対して有効に機能します。それが、自分の体や心が求めているものと合致していると感じ始めた人が増えてきたのでしょう。
ある80代の女性は、以前「中指を回すだけで、そんなによくなるわけないよ」と言っていましたが、現在は熱心に中指回しを行っています。
このかたはひざ痛で通院されていたのですが、中指回しを始めてから、ひざが楽になっただけでなく、怒りっぽかった性格が丸くなってきました。周囲とのコミュニケーションがよくなり、人生が豊かになってきていることが感じられます。
中指回しは単に症状を改善させるだけでなく、本人も気づかなかった不調の根本原因を取り除き、人生を豊かにする効果もあるのです。
ヨガの呼吸法で行うことがたいせつ
中指回しは、指に刺激を加えているときは息を吐き、力を緩めるときに息を吸う、ヨガの呼吸法とともに行います。このヨガの呼吸法が、心身をリラックスさせ、精神を安定させるのに役立つのです。
また、このリズミカルな呼吸は、神経伝達物質の一つであるセロトニンの分泌を促すと考えられています。
セロトニンは、私たちの気分を大きく左右する神経伝達物質です。「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させたり、痛みを抑制したりする働きがあります。
ヨガのようにゆったりとした呼吸を一定のリズムで行うエクササイズは、セロトニンの分泌を増やす効果が高いことがわかっています。先ほどの80代の女性も、セロトニンが分泌されることで、思考や感覚が変化してきたと考えられます。
崩れた自律神経のバランスも整える
中指回しは、バランスを崩した自律神経を整えるのにも役立ちます。
自律神経は、私たちの意思とは無関係に働き、内臓や血管など、体内の活動のすべてを調節している「まとめ役」とも言える存在で、とても重要な役割を果たしています。
自律神経には、主に昼間に優位となり、昼の活動を支える交感神経と、主に夜に優位となり、いわゆる休息の神経である副交感神経の二つがあります。両者はシーソーのようにバランスをとりながら働いています。
しかし、不安や恐怖は交感神経を過度に緊張させます。夜になっても交感神経が優位になったままだと眠れず、じゅうぶんな睡眠をとることができなくなります。
一方、リモートワークやオンライン授業で通勤や通学がなくなり、家から出ない生活を送っていると、昼間活発に動くはずの交感神経があまり優位にならず、脳や体はいつまでたっても副交感神経優位の就寝モードのままです。
このように交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがスムーズに行われなくなると、自律神経失調症の状態が生じ、体のさまざまな不調や、痛み、こりといった症状が現れるようになります。
いつでもどこでも脳と体をセルフケアできる
中指回しを行うことで自律神経が整うのは、中指に通っている経絡が関係すると思われます。
東洋医学では、氣という生命エネルギーの通り道として経絡があり、手の指にも6本の経絡が通っています。各指が経絡に対応した臓器・臓腑と深い関連を持っており、中指には、自律神経の調整に役立つ「心包経」という経絡が通っています。
ですから、中指をしっかり刺激することによって、自律神経のバランスを整える効果が期待できるのです。バランスが整えば、さまざまな不定愁訴に変化が生じていきます。
また、自律神経に間接的にアプローチすることで全身の血流やリンパ液の流れなど「巡り」が整います。その結果、脳のリンパ液、髄液の流れがよくなり、老廃物の排出が促されることが期待できます。
多くの人はコロナ禍で自身を取り巻く環境の変化が少なくなりました。その影響で感覚として脳への入力情報に変化が少なく、脳ではパターン化した神経回路が使用されるようになります。これが脳疲労へとつながるのです。
中指を回すと、その刺激が新しい情報として脳に入り、それと同時に、セロトニンの分泌が活性化されるので、脳にため込まれた「疲れ」のもとが流れ去ります。その結果、脳疲労が解消し、うつやイライラ、モヤモヤも改善されてくるのです。
中指回しを行うときにたいせつなことは「意識(心)」「呼吸」「動作」の3点。心と呼吸を合わせて動作する、中指回しセルフケアを通して、楽でくつろいだ自分自身を発見するかもしれません。中指回しで体に変化があった人は、中指回しがフィットしているということでしょう。
※中指回しのやり方はこちら↓