濃いピンク色で交感神経の興奮が鎮まった
私は診察の際、患者さんにカラーチャートをお見せして、好きな色を選んでいただきます。好きな色を聞くことで、その人の性格や考え方の傾向、心と体の状態を大まかにつかむことができるからです。
同じ色でも、心が重いときは暗いトーン(色の調子)が、元気なときは鮮やかなトーンがしっくりきたりと、心の状態によって選ぶ色のトーンも変わります。
不登校の子どもの悩みの原因など、じかに話を聞き出すのが難しいとき、色を活用した診断は大いに役立ちます。
色は健康状態を知るだけでなく、心身の不調の改善にも役立ちます。
たとえば、イライラや頭痛、めまい、動悸、肩こりなどの更年期障害に悩む女性は、マゼンタと呼ばれる濃いピンク色(赤紫色)を好きな色に選ぶ人が多いのです。
診察をすると、話があちこちに飛び、心と体のベクトルがちぐはぐな印象で、ささいなことにも過敏に反応する傾向があります。
こうした人たちに、特別に開発した濃いピンク色のレンズのサングラスをかけてもらうと、自律神経のバランスが整い、交感神経の興奮が鎮まって血圧が安定し、イライラなどの症状が緩和されることがわかりました。
「気持ちが明るくなった」との感想も多く、うつ的な気分の改善にもよい効果が見られました。
不安定な心理状態を落ち着けてくれる
色彩心理学的に見ると、濃いピンク色には、活動的な赤系と、鎮静をもたらす青系の要素が、両方含まれています。
そのため、濃いピンク色は、不安定になっている心理状態にしっくりきて、心身の不調を緩和すると考えられます。
一方、ストレス過多で不眠やうつなどの症状に悩んでいる人には、オレンジ色が効果的なことがわかっています。
ピンク色やオレンジ色は、よく目にする小物に取り入れるだけでも効果があります。洋服など広い面積に使う場合は、淡いトーンの色を選ぶのがコツです。
これらの色は、その色が好きで、見ると心が落ち着く、元気になるという場合に効果があります。その色を不快に感じる人には、逆効果なので注意してください。
私は「カラーは心のビタミン」と考えています。薬ほどの劇的な効き目はなくても、サプリメントのように、日ごろの不調を未然に解消するのに有効なツールです。
皆さんもぜひ、色の効果を生活に取り入れてはいかがでしょうか。