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【目がよくなる体操】ネコ背は目の健康を損ねる!背筋を伸ばすと視力がアップ、ドライアイ・白内障も改善!

眼神経が圧迫されると多くの目の不調や病気が進む

清水 真 札幌スポーツケア治療院院長

姿勢と目には、実は深い関係があります。私がそのことに気づいたのは、十数年前から行っている姿勢矯正の体操指導がきっかけでした。

体操で姿勢がよくなった人に、「視界が明るくなった」「ものがよく見えるようになった」など、目の改善を喜ぶ声が多いことに気づいたのです。

そこで、姿勢と目の関係について研究を始めました。すると、現代人に多い「ネコ背」が、目に大きな悪影響を与えることがわかったのです。

私たちの背骨は、体を物理的に支える柱であるとともに、「神経の入れもの」でもあります。背骨の中はトンネル状になっていて、そこに、脳が伸びてできた神経の束、つまり脊髄が通っているのです。

背骨は、短い「椎骨」という骨(上から頸椎、胸椎、腰椎という種類があり、番号がついています)がつながってできています。

 脊髄から枝分かれした神経が、椎骨同士の間から出て、いろいろな器官に脳の指令を伝えます。どの椎骨の間から出た神経が、どの器官に指令を伝えるかは、担当がきちんと決まっています。

目の働きに深く関係する眼神経は、頸椎の1番と2番の間(首の「ぼんのくぼ」のところ)から出ています。ここは、私たちがうつむき姿勢になると、必ずゆがんで狭くなる部分です。

スマホの操作、パソコン作業、多くの家事など、現代人は生活の大部分でうつむき姿勢になっています。それが固定してしまうのが猫背です。

すると、頸椎の1・2番の間が狭くなり、眼神経が圧迫されます。眼神経は、目のピント合わせをする毛様体筋という筋肉を支配しています。その毛様体筋は、眼球を満たしている房水という液の分泌や圧とも深くかかわっています。

そのため、眼神経が圧迫されると、近視や老眼を初め、眼精疲労やドライアイ、緑内障など、多くの目の不調や病気が進んでしまうのです。

うつむき姿勢が目を悪くする原因

ネコ背は姿勢の生活習慣病

また、目の働きには、胸椎の6~9番(背中の中央)から出た神経の働きも重要です。

ここが狭くなって神経の伝達が悪くなると、目の健康を保つのに欠かせないコルチゾールというホルモン(腎臓の上にある副腎から出ているホルモンの一種)が不足したり出過ぎたりします。

すると、白内障などの目の病気も進みやすくなります。ネコ背の人は、頸椎だけでなく、背中も丸くなるので、その影響から白内障も進みやすいのです。

とはいえ、うつむき姿勢は現代人の宿命のようなものです。現代人の生活の94%は、前に手を出して行う動作で占められているので、どうしてもうつむき姿勢になるのです。

その習慣を続けながら、何もケアをしないとネコ背が固定します。つまり、ネコ背は、「姿勢の生活習慣病」のようなものです。

たいせつなのは、ネコ背を固定させないよう、こまめにリセットすること。すでにネコ背になっている人は矯正して姿勢をよくし、それを維持することです。

ネコ背を固定させないようにリセットすることが大切

姿勢を矯正する特効薬

 そのために効果的な方法として考案したのが「背伸ばし体操」です。この体操は、家事や仕事の合間などに手軽にでき、短時間でうつむき姿勢をリセットできます。

背伸ばし体操は、ネコ背という姿勢の生活習慣病の「特効薬」といえるでしょう。その結果として、目の働きや視力を劇的に改善できるのです。

たとえば、右目0・2、左目0・6まで下がっていた視力が、背伸ばし体操を1週間行っただけで、右目1・0、左目1・2へと劇的に上がった例もあります。

ほかにも、近視や老眼が改善されて視力がアップした人、緑内障や白内障が改善した例、ドライアイや眼精疲労がよくなった例などが多数あります。

一度行っただけでも、視界が明るくなったり、ものの見え方がクリアになったりします。

続けると、視力アップや眼圧の正常化、目のかすみの改善などの効果が出てきます。簡単で目へのすぐれた効果がある背伸ばし体操を、ぜひお試しください。

90歳で身長が2㎝伸びた!姿勢も視力もよくなる【背伸ばし体操】のやり方

背伸ばし体操は、背すじを伸ばして本来の正しい姿勢にリセットする体操です。その結果、首や背中にある目と深く関わる神経の伝達がよくなり、目の働きや視力がアップします。

 さらに、背伸ばし体操にはもう一つの意味もあります。文字どおり「背を伸ばす」、つまり身長を高くする効果もあるのです。というと、成長期の子どもの話と思う人もいるでしょうが、そうではありません。

年齢に関わりなく、たとえ80代、90代という高齢でも、背伸ばし体操でしっかり背が伸びるのです。

 たとえば、下の写真は90歳の男性が、背伸ばし体操を行う前と、3カ月行ったあとの自然な直立姿勢を比較したものです。この男性は、背伸ばし体操で背が2・6㎝伸びて若々しい姿勢になり、腰痛が解消しました。

ほかにも、84歳の女性の背が2・8㎝伸びた例もあり、多くの場合、2~3㎝は楽に伸びます。ネコ背が治って背すじが伸びると、当然、その分、身長が高くなりますが、背伸ばし体操で背が伸びる理由はそれだけではありません。

 背骨は椎骨がつながってできていますが、椎骨同士の間にはクッション役の「椎間板」という弾力性に富む組織がはさまっています。

椎間板は、脳と脊髄に流れている「脳脊髄液」を吸ってふくらみ、適度な弾力性を保っています。ネコ背になると、脳脊髄液の流れが悪くなり、椎間板が平たくなってきます。

それで、腰痛などを招きやすくなりますが、同時に身長も低くなるのです。間に椎間板が挟まっている椎骨は、20個以上あります。

背伸ばし体操で、それらがわずかずつでもふくらむと、2~3㎝は容易に背が伸びるというわけです。クッション役の椎間板が復活することで、腰痛や首の痛み、背中の痛みなども軽減します。

つまり、背伸ばし体操は、目がよくなるうえに腰痛などが改善され、身長まで高くなるという大変“おトク”な体操なのです。しかも、やり方はたいへん簡単です。以下にご紹介しましょう。

90歳で身長が2.6cm伸びた!

男性は3カ月でネコ背が喪失。姿勢がこんなに良くなりました

ネコ背が治って若々しい姿勢に

背伸ばし体操にもいろいろなものがありますが、今回は、特に簡単で効果的な3つの体操をご紹介します。

①「背伸ばしストレッチ」

1つ目は「背伸ばしストレッチ」です。目をよくするとともに、身長を伸ばす効果が大きい体操です。

ポイントは、④の動作で腕や上体が斜めにならないようにすることです。手のひらは常に天井を向いているように気をつけましょう。

できれば、④の姿勢のとき、頭を後ろに倒すとより効果的です。また、これは寝た状態ででもできます。寝た状態でするときには、つま先も伸ばすとさらに効果的です。

②「ネコ背ストレッチ」

2つ目の体操は「ネコ背ストレッチ」です。名前のとおり、頑固なクセになってしまったネコ背の矯正に、特に効果的な体操です。

①安定したイスに深く座り、両手を交差させて肩に乗せる(左右どちらが上でもよい)。

②息をいっぱいに吸って2~3秒止める

③息を細く長く吸いながら、おなかから上体を前に出す

④さらに息を吸いながら、ひじを肩の高さに上げる

⑤息を吐ききったら①の姿勢に戻る ※呼吸にあわせて②~⑤を10回ほどくり返す

ポイントは、③でひじが下がらないようにすることです。できる人は、ひじをさらに高く上げると、より効果的です。

③「眼球ストレッチ」

3つ目の体操は、頸椎を押しながらの「眼球ストレッチ」です。目の筋肉の動きをよくする体操で、特に近視や老眼の改善に効果的です。

①首の後ろにある「ぼんのくぼ(頭蓋骨の下のくぼみ)」を、左右から挟むように、4本指をそろえて当てる

② ①の状態で、眼球を動かす。上下、左右、斜めに、それぞれ往復2回動かす

③最後に、眼球を回す。左回しと右回しに往復2回

 首のぼんのくぼは、ちょうど頸椎の1番に当たります。頸椎の1番は、頭蓋骨に接続する部分で、体表から引っ込んだ場所にあるので「くぼみ」として感じられるのです。そのすぐ下に頸椎2番があり、この付近から眼神経が出ています。

神経はデリケートなので、指を当てておくだけでも、じゅうぶんな刺激になります。その状態で眼球運動をすると、眼神経が刺激され、視力アップにとても効果的なのです。


以上の背伸ばし体操は、1日1回、3つセットで行うのがベストです。時間がないときは、2番目のネコ背ストレッチだけでも行うとよいでしょう。

 また、ネコ背ストレッチは、できれば1時間に1回くらい、家事や仕事の合間に行うと、姿勢のリセットに大きな効果を発揮します。

私たちは、ムシ歯を防ぐために、歯磨きを習慣にしていますが、同じようにネコ背を防ぐために、背伸ばし体操を習慣にしていただきたいというのが私の願いです。

 ネコ背は姿勢の生活習慣病です。背伸ばし体操で姿勢の生活習慣病を退治し、クリアな視界や高い視力、背すじの伸びた若々しい姿勢を手に入れてください。

【医師解説】背骨のゆがみを正す体操は血流や神経の滞りをよくし視力の改善に有効

本部千博 ほんべ眼科院長

姿勢が悪いと、全身のいろいろなところに弊害が出ます。目も例外ではありません。当院では定期的に、「親子で学ぶ視力回復教室」を開催しています。その中に、よい姿勢を保つ指導は、重要な項目として含まれています。

その理由は2つあります。1つは、ネコ背になると、目と本の距離が近づき、目に悪影響を与えることです。

 2つ目は、悪い姿勢で背骨がゆがむと、背骨のあいだから出ている神経が圧迫されることです。この神経は、全身の器官に行き、正常に働いているかどうかを監視し、その情報を脳に送っています。

それにより、こまめに異常が察知されて病気が防がれるのです背骨がゆがんで神経が圧迫されると、このしくみが円滑にいかなくなって異常が放置され、病気が起きやすくなります。

 目では視力低下や目の病気が進んでしまいます。背骨のゆがみは、血流も悪くするのでなおさらです。逆に、正しい姿勢を保てば、このしくみが働いて、視力低下や目の病気の予防、さらに視力回復の促進に役立つのです。

起きたときや寝る前に背伸びするのも効果的

当院で行っているのはお子さんを対象にした視力回復教室ですが、姿勢の矯正が視力や目によい影響を与えるのは、大人でも同じです。

その意味で「背伸ばし体操」は、大変よい体操といえるでしょう。その中には、文字どおり背伸びをする体操が含まれていますが、これは立って行うだけでなく、寝床で寝て行ってもよいでしょう。

ネコは、目覚めたときに必ず大きな伸びをしますが、あれは寝ている間にゆがんだ背骨をリセットするための本能的な動きです。

人間も、起きたときには背伸びをするとよいのです。寝る前に背伸びをして背骨をリセットするのもよい方法です。目に関することだからと、目だけをいじっていても視力は思うように回復しません。

姿勢をよくして、神経や血液の流れを促すことが、目を根本からよくすることにつながるのです。根本から目の改善を促すために、背伸ばし体操を活用されるとよいでしょう。