知らないうちに足もみで改善する人がほとんど
糖尿病や高血圧、腰痛にひざ痛、不眠症……と、足もみに来られる人のお悩みは十人十色ですが、「脂肪肝」が主訴という人は、私が覚えている限り、一人もいません。
では、脂肪肝の人がいないのかというと、そうではありません。「脂肪肝はどうですか」と聞くと、「そういえば、病院で言われた」と、ほとんどのかたが答えます。
ある糖尿病のお客様は、以前の検査で脂肪肝があると指摘されたそうですが、「最近は検査をしても脂肪肝のことは言われないので、治ったのでは」とおっしゃっていました。
また、糖尿病予備軍で、急激に太ってしまい、コレステロール値も高くなったので病院を受診したところ、脂肪肝も指摘された人もいます。しかしこの場合も、「今は検査をしても脂肪肝のことは言われないので忘れていた」と話していました。
ほかにも、高血圧の人や心臓の悪いかたなど、脂肪肝と言われたのに、知らないうちに治ったという人が、何人かいます。
脂肪肝は自覚症状がないため、ほかの病気の検査でわかることが多いのですが、それでも、足もみを続けているうちに、いつの間にか改善しているようです。
しかし、知らないまま放置していたら、肝硬変や肝臓がんに移行するリスクもあります。そうなる前に、普段から足もみをしていれば、脂肪肝の発症や進行が抑えられると、私は考えています。
怒りのエネルギーをプラスの力に変える
肝臓は、東洋医学では「怒りの臓器」と言われています。現代医学的に、肝臓は500以上の働きがあるとされ、なかでも重要なのが、代謝、解毒、エネルギーの貯蔵、消化などの働きです。
脂肪肝になりやすい人は、怒りを消化できず、知らないうちにため込んでいます。しかし、ご本人がそれに気づいていなかったり、怒りを外に出してはいけないと思い込んでいたりするようです。
たまった怒りが消化されなければ、イライラ・ヤキモキして、やり場のない心労や不満がたまっていきます。そういった「負の感情」を抑えるために、肝臓の周りに脂肪がまとわりつく。私はそう考えます。
怒りの感情は、誰もが持っています。ただ、その怒りを表に出すか出さないか、流せるかため込むかの調整次第で、肝臓にかかる負担も違ってきます。
怒りを感情的にぶつけたり、ため込んでイライラが続いたりすると、怒りを「悪いもの」のように感じてしまいます。
しかし、怒りの感情は、決して悪いものでありません。怒りにはパワーがあり、何かを変えるきっかけや原動力になります。そのエネルギーをプラスの力に変えられれば、怒りをうまく昇華できます。「怒りをどう調整するか」が大事なのです。
ところが、本人に怒りをため込んでいるという自覚がない場合、脂肪肝になってしまうようです。逆に言えば、脂肪肝になったことで、怒りをため込んでいる自分、怒りを隠そうと頑張っている自分に気づくことができます。
足全体がむくんで肝臓の反射区が肉厚に
そこで今回は、ため込んだ怒りを流し、ほぐして気の流れを整え、脂肪肝を改善する足もみをご紹介します。
怒りをため込んでいると、それは足にも現れます。足には全身の臓器に対応する反射区やツボがあり、対応する臓器の不調が、足に現れるのです。
脂肪肝のある人の足は、足からふくらはぎまで、全体がむくんでいます。代謝が悪く、本来出さなければいけないものを、ため込んでいるからです。
右足裏にある肝臓の反射区を見ると、ポッテリ肉厚で、軟らかいけれど、そこに指を入れようとしても、なかなか入っていきません。ポッテリしているのは、肝臓に脂肪がたまっているからです。
また、かかとや足の指先など、角質のできやすいところが、黄色や赤っぽくなっています。こういう特徴のある足は、要注意です。
脂肪肝の足もみのやり方は、少し補足します。
❶~❷老廃物を排泄する
❸肝臓の経絡(気の通り道)とつながる第一指を回す
❹右足裏の、肝臓の反射区を刺激
❺左足裏の、心臓の反射区を刺激
④と⑤についてですが、東洋医学には相対関係の理論があり、左右の同じ場所の反射区を刺激すると、効果が上がると言われています。ですから、肝臓の反射区と対になっている心臓の反射区もよくもんで、血流を促します。
❻ふくらはぎをもむ
足のもみ方は、ガシガシこすったり押したりせず、愛情を込めていたわるようにもんでください。
自分の足を大切に扱うことで、ため込んでいた怒りが癒されて、元気になっていきます。足をもんで体調がよくなるなかで、脂肪肝も自然に改善していきます。早い人では1カ月もかかりません。
コロナが3年も続き、外出できない日が続いて、誰もが大きなストレスを感じていると思います。加えて、運動不足や不規則な生活で、脂肪をため込みやすくなっています。 体は、ストレスがかかっているときは無意識に脂肪をためて、自分を守ろうとします。その結果、じわじわと脂肪肝になっていくのでしょう。
今の時期、誰もが脂肪肝になりやすいので、予防のためにも、ぜひ足もみをご活用ください。
全身の不調や病気にも効く「足もみ」のやり方
①老廃物を流す…その❶
腎臓 → 輸尿管 → 膀胱の反射区
A
足裏の中央から少し上にある腎臓の反射区(A)を、人さし指を鋭角にして上下にしごく。痛いところ、硬いところを見つけて、痛気持ちいいと感じるところまで響かせるように深く押し、3秒間の圧をかける。腎臓の反射区は広いので、広範囲に行う
B
次に、腎臓と膀胱の反射区を斜めにつなぐラインである輸尿管の反射区(B)を、人さし指を鋭角にして圧をかけながら流していく。腎臓から膀胱の反射区に向けて、一方向で流す。3回行う
C
膀胱の反射区(C)を、人さし指の鋭角で、痛気持ちいいと感じるところまで響かせるように深く押し、3秒間の安定した圧をかける。広範囲に行う
※反対の足も同様に行う