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【写経のやり方】部屋を片付けて空間を清める!写経をするときの4つの心得

静かな心で写経をすれば、結果は自然についてくる、と前回の記事で述べました。しかし、気になることがあり、どうしても心が乱れる、あるいは、ついご利益を期待してしまう、という人もいることでしょう。

写経をするときの四つの心得

次に紹介する写経の4つの心得には、そんなざわつく心を落ち着ける効果があります。できる範囲でよいので実践するとよいでしょう。

心得❶ 周囲を清める

散らかっていたり、汚れていたりする場所で、集中するのは誰にとっても難しいことです。ですから、可能であれば、写経をする前に、部屋や机の上の掃除を済ませましょう。

時間がないときは、机の上を拭いて清めるだけでも、心が整いやすくなります。

心得❷ 自分の身を清める

体の汚れを落とす行為によって、心もスッキリと浄化されます。写経前に入浴やシャワーで全身を清めるのが理想的ですが、なかなかそこまでできないと思うので、手を洗い、口をすすぐとよいでしょう。

心得❸ 姿勢を正す

前かがみの姿勢で写経をすると、胸が圧迫されて、浅い呼吸となります。ですから、正しい姿勢を意識しましょう。そうすることで、呼吸も自然に整います

心得❹ 呼吸は丹田呼吸で

おへそから75㎜下にある「臍下丹田」を意識して呼吸する丹田呼吸には、心を落ち着ける効果があるといわれています。

写経を行う前には合掌して、おへその下に息を落とすイメージを持って、ゆっくり深呼吸を繰り返しましょう。それだけでも、ざわついた心が静まっていきます。

丹田は、へそから指3本分下に位置する。丹田から息を吐き、丹田に空気を入れるように呼吸をする

般若心経書き付録の使い方(ゆほびか2022年6月号)

表面には「般若心経」が、裏面には「延命十句観音経」があります。

これをお手本として、半紙または文字が透けて見える薄い紙を重ねて置き、なぞり書きをしましょう。

筆記用具は、筆ペンやボールペンなどでもいいですし、毛筆に挑戦してもよいでしょう。

一度に全部書き上げる必要はありません。

1日1行でもいいですし、5分など時間で区切ってでもよいので、毎日続けることをお勧めします。

『ゆほびか』2022年6月号付録の般若心経の写経見本
『ゆほびか』2022年6月号付録の『延命十句観音経』の写経見本

般若心経なぞり書きQ&A

ここからは写経が初めての人からよく受ける質問とその答えを紹介します。写経に取り組むときの参考にしてください。

心を込めて書くことが肝腎。筆記具はボールペンや筆ペンでOK!

Q1 写経は筆で書かないと功徳が得られませんか?

もともと写経は、墨をすってから筆で書くものでした。墨をする行為によって精神統一しやすくなります。墨の香りにも心を安定させる効果があるといわれています。  

しかし、写経で最もたいせつなのは、一文字ずつ心を込めて書くこと。ですから、筆記具はボールペンや筆ペンでかまいません。

私が住職を務める建功寺にも、大学ノートにボールペンで書かれた写経を納経していただいたことがあります。1日に1~5行ずつ、丁寧に写経されているのがよくわかり、感銘を受けました。このように用具は何でもよいのです。写経を習慣化することで功徳は得られます。

Q2 写経するのは、1日のいつがよいですか?

いつ行ってもかまいませんが、理想的なのは朝です。なぜなら、心が落ち着き、1日を気持ちよくスタートさせることができるからです。

写経をすると思考がクリアになるので、「今日の予定はこうで、仕事はここまで進めよう」といったように、1日の段取りを落ち着いて考えることもできます。その結果、充実した1日を過ごすことができるでしょう。

朝の写経を習慣化すると、その日の心身の状態を判断するのにも役立ちます。筆運びがスムーズ、あるいは心を落ち着けて向き合えるなら、よい状態。反対に集中できず、筆が乱れる日は、気をつけて過ごしたほうがよい、といったことがわかるのです。

ただし、朝は時間がとれない人も多いと思います。ですから、数行だけにするか、坐禅など別のルーティンを取り入れてもよいでしょう。

Q3 般若心経のほかに写経するといいお経はありますか?

「延命十句観音経」(付録裏面に掲載)がお勧めです。これは「観音経」というお経の真髄を抜粋した、十句だけのお経です。功徳があるとして昔から知られており、短いので写経に向いています。

Q4 書き終えたらどうしたらよいですか?

書き終えた写経は、お寺に納経して、読経してもらいます。これは写経に込めた思いをお寺の御本尊にお伝えして、仏様に届けてもらう大切な儀式です。

写経が済んだら、お寺に納経をするとよい

基本的には菩提寺(先祖代々のお墓のあるお寺)やご縁のあるお寺に納経料とともに納めますが、そういったお寺がない場合、郵送で納経を受け付けているお寺を探すといいでしょう。

コロナ禍で家にいる時間が増えたことにより、写経に取り組む人は増えています。

これからも世の中にはいろいろな出来事が起こるでしょうが、写経で自分を見つめる習慣が身についていれば、世間の移ろいに惑わされることなく、落ち着いて過ごすことができるはず。

今だからこそ、写経はお勧めなのです。


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