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やせる!【タマ玉スープ】③ 脂肪が燃えて12㎏19㎏減!糖尿病・肝臓病・高血圧も改善!免疫力も向上

焦がし気味に炒めたタマネギにスープをそそぎ、沸騰したら火を弱めて、溶き卵を入れる。これがタマネギと卵で作る「タマ玉スープ」です。

本記事は『ゆほびか』2022年3月号の掲載記事を再編集したものです。

 20㎏やせて脂肪肝から脱出!血圧も正常化した医師が勧める「タマ玉スープ」

 私は肝臓の専門医です。肝臓の治療といえば、もともとはウイルス性肝炎などに対する薬物治療が主体でした。

 ところが、食生活の変化によって脂肪肝が増え、近年はお酒をさほど飲まない人にも見られる非アルコール性の脂肪肝(NAFLD)や非アルコール性の脂肪肝炎(NASH)が急増しています。それに伴い、私も食事指導を行うことが増えてきました。

 NASHは、肝炎から肝硬変、肝臓がんに進行するリスクがあることがわかってきていて、人間ドック等でも精密検査の対象になるなど問題視されています。重篤な病気に発展するのを防ぐには、できるだけ早く食生活を見直すことが重要です。

 そこで、私が患者さんにお勧めしているのが、卵を使った食事法です。実は私自身、医師になってから太り続け、ピーク時の体重は128㎏ありました(身長は188㎝)。肝機能の数値も高く、肝臓専門医でありながら、脂肪肝になってしまったのです。

 患者さんに指導する立場なのに、「これではいけない」と一念発起した私は、野菜、魚、肉、卵などを中心に食べ、ご飯、パン、麺類を控えめにする食事法を実践することにしました。この食事法の狙いは、カロリーの吸収率を抑え、体に脂肪をため込みにくくすることです。

 ご飯、パン、麺類などのでんぷん質は、摂取したカロリーがすべて吸収されるのに対し、たんぱく質や脂質を含む魚、肉、卵は分解するときに消化管が動くため、カロリーの吸収率は7~8割になるといわれています。

 また、でんぷん質は血糖値を上げ、膵臓から出たインスリンが余分な糖を脂肪に変えて体にため込みます。一方で、食物繊維が豊富な野菜は、血糖値の上昇を緩やかにします。

 つまり、でんぷん質を極力控えて、それ以外の物でおなかを満たすのがポイント。そのために、ご飯、パン、麺類に代わる主食として私が目をつけたのが卵です。

卵を主食にして健康的、かつ効率的にやせた

 実は、卵の前に、ゆでた鶏ムネ肉に目をつけ、毎日、食べるようにしたことがあります。ところが、3カ月もすると、鶏ムネ肉を見るだけでうんざりしてしまい、とても続けることができませんでした。

 その点、卵ならゆでたり、焼いたり、オムレツにしたりと、いろんな調理法があるので、飽きることがありません 。卵を2個食べればちょうどご飯一杯分くらいのカロリーになるので、でんぷん質を食べなくても、おなかがほどよく満たされます。

 なかには、卵のコレステロールを気にする人もいるかもしれません。しかし、卵の脂肪にはミリスチン酸という成分がほとんど入っていないことから、コレステロールを上げづらい食品であることが近年わかってきました。

 それどころか、卵には体を作るのに必要なたんぱく質はもちろん、ビタミンやミネラルが脂肪に溶けた状態で入っているため、人間にとっては栄養を効率よく吸収できる優秀食品として見直されています。

 卵を主食にした食事法で、私は4カ月で8㎏、1年で12㎏、2年で20㎏と減量し、現在は105㎏になりました。ひどかった肝機能の数値や、高かった血圧もすべて正常化し、コレステロール値も下がっています。

 患者さんにもこの食事法を勧めて、多くのかたに効果を確認しています。1日1食、主食を卵に置き換えるだけで、肝機能の数値が下がる人がおおぜいいるのです。慣れてきた人や、体重をもっと減らしたい人は、1日2食、3食と主食を卵に置き換えると、より効果が得られやすいようです。

血液をサラサラにし、免疫力もアップする

 なお、卵とともに私がもう一つ勧めているのが、野菜スープです。野菜は生で食べるより火を通したほうがかさが減るので、ご飯、パン、麺類を控えて野菜をたっぷり食べるために、スープはとてもいい食べ方だと思います。

野菜をたっぷり入れるとおなかの満足度もアップ!

 私はいろいろな野菜を入れてスープにしていますが、必ず入れるものの一つがタマネギです。タマネギは血液をサラサラにして、血糖値や中性脂肪値を抑える働きがあるといわれています。強い抗酸化作用があり、さまざまな病気の予防効果も期待できるでしょう。また、ほかの野菜同様、食物繊維が便通を促し、肥満の改善にも役立ちます。

 卵と組み合わせることで、健康効果はさらに高まるはずとの考えから、私は野菜スープに溶き卵を入れて食べる「タマ玉スープ」もお勧めしています。各臓器が健康に働くためには体を温めることも重要です。その点でもタマネギや卵を温かいスープにして食べるのは、メリットが大きいといえるでしょう。

 食事療法を成功させるポイントは、がんばりすぎないことです。「ご飯、パン、麺類を食べてはいけない」と思うとつらくなるので、「野菜や卵をたっぷり食べる」と考えましょう。

 タマネギと卵の入った「タマ玉スープ」のほかにも、卵は好きな調理法で1日2個以上、4個くらいまでを目安に食べてください。

 アレルギーなどで卵が食べられないかたは、チーズ、納豆、豆腐などで代用してもかまいません。もちろん、魚、肉も食べてOK。卵の白身が苦手なら、黄身だけでもじゅうぶん効果が得られます。タマ玉スープをおいしく続けて、健康な体を維持して、人生、楽しく過ごしましょう。