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【漫画】2型糖尿病になった自らを描いた振り返りレポート!

それは猛烈なだるさから始まった!

日和見感染:健康な状態では感染しない弱い病原体に免疫機能が低下したせいで感染すること

糖尿病の治療にはスタートダッシュが肝腎。
そして病気の怖さを知ること

あまりのだるさに病院に行ったら「糖尿病です」

こんにちは。特集の冒頭に漫画を描かせていただいたGONZUIです。現在、54歳です。10年ほど前、2型糖尿病と診断されました。

それまでの20年近く、漫画を制作する現場に1週間泊まり込んで、4~5日休んで、また1週間泊まり込む、という生活を続けていました。

現場にいるときは、食事と風呂、寝る以外は、ずーっと机にかじりつきです。運動もしませんし、ブクブク太っちゃって(身長は171㎝で体重は90㎏オーバー)、感覚的に「これは何か病気するな」というのはずーっと引きずりながら、ただもう忙しさで、考えないようにしていました。僕の親戚、家族周りで糖尿病になった人がいないので、たかをくくっていたところもありました。

それでも、とにかくだるい。一日中だるい。あまりにもだるさがキツイので、一回診察を受けてみようと病院に行きました。そしたら、「糖尿病です」と医師にきっぱり言われたのです。ヘモグロビンA1c(※)の数値は8・6%でした(当時の基準値は5・6%以下)。

※検査直前の飲食に左右されず、過去1~2カ月の平均的な血糖の状態を調べることができるため、糖尿病の診断や血糖値の状態の確認に役立つ

それから、奥さんの協力で本だったりインターネットだったりでカロリー計算をしつつ、1食500㎉に。

糖質制限も意識しました。こんにゃくの粒をご飯に見立てたものでご飯を嵩増しすることも、ずっとやっていました。

運動は、毎日、30分から1時間のウォーキングを始めました。

処方された薬も飲んでいましたが、これはキツかったです。血糖値がガーンと下がりすぎて、寒気と手の震えと、極端な空腹感。幸い、検査の数値は基準値以下になったので、それとともに薬はやめました。

お医者さんも、「薬はもういらないだろう」と。そこまで行くのに、半年ぐらいかかりました。

知ると知らないでは対処のしかたが全然変わる

糖質制限とダイエットを始めてから、体調は回復の一途でした。以前あった、極端に喉が渇くとか、脚がひきつることもなくなりました。

食べる量は自然と減って、油っこいものも食べられなくなりました。

ほんとは禁煙もしたほうがいいと思うのですが、こればかりは、何度か試みましたが、無理でした。糖尿病になった僕が言うのもなんですが、「無理なものは無理」としておくほうがいいのかなって。「ここは許容範囲」と、ストレスをためないようにするのがいいと思ってます。

今は年に1回の健康診断で、数字を確認する程度。昨年の健康診断のヘモグロビンA1cの数値は5・1%。ちなみに、糖尿病発症後でいちばん低かったときは4・2%でした。体重は、現在、75㎏です。

僕がいちばんよかったなと思うのは、初期段階でけっこうがんばったことです。それが、今にずっと続いているような気がします。「スタートダッシュが肝腎」と、今にしてみれば思うのです。

自らの糖尿病闘病記の漫画『糖尿ブギウギ』を描いたきっかけは、何かそういう思いを発表したいな、そして、僕自身も描きながら糖尿病のことをもっと勉強しようと考えたからです。

それを個人のホームページでやっていたら、糖尿病の情報を発信しているウエブサイト「糖尿病ネットワーク」さんから声がかかったのです。そんな感じですから、糖尿病日記と思ってもらえればいいです。

糖尿病は、もちろん、ならないにこしたことはないのですけど、なったときの対処法として、「思いっきりその病気を知る」ということが大事だと思います。僕は、糖尿病の合併症の恐怖に打ち震えましたけど。

知ると知らないでは、対処のしかたが全然変わります。真正面から勉強する、情報をたくさん仕入れる。これが大事だと思っています。

医師からのアドバイス

愛し野内科クリニック院長 岡本 卓

食事で大事なのは糖質制限ではなく食物繊維

境界型糖尿病(※)や糖尿病初期の状態で、膵臓の機能が十分に保たれていれば、GONZUIさんのように食事制限と運動療法を中心にしてがんばることで、早期に血糖を下げられる可能性は高いと言えます。

※糖尿病の前段階。ヘモグロビンA1c 6.5%未満で、①空腹時血糖値が110〜125㎎/㎗、②75ℊ経口ブドウ糖負荷後2時間の血糖値が140〜199㎎/㎗のいずれかを満たしている状態

こうした早い段階で血糖値を下げることは、ものすごく大事です。

なぜなら、糖尿病になっていちばん気をつけなければならないのは、動脈硬化による心筋梗塞の予防と、膵臓がん、大腸がん、肝臓がんの予防で、高血糖の状態が長引くにつれ、これらのリスクが高まるからです。

タバコも、これらのリスクを高めます。タバコは中毒性があるので、やめるのは簡単ではないのですが。

マンガの中で、「糖質制限」という言葉が出てきますが、厳密な意味での糖質制限は、体にとっては極めて不健康で、非常に危険です。

厳密な糖質制限をしているかどうかは、尿中にケトン体が出ているかを調べたら、すぐわかります。私のクリニックの患者さん約1200人のうち、該当するのは1人だけでした。だから実際は、糖質制限をしているつもりでも、炭水化物を少し減らしただけのことがほとんどだと思います。

食事のポイントは別記事でまとめましたが、食事でいちばん大事なのは「食物繊維」だと考えています。患者さんには、「精製しないもの、玄米とか、全粒粉のパンなどにしなさい」と言っています。実際、主食を玄米にしてもらうと、血糖値も中性脂肪値もよく下がります。

この記事は『ゆほびか10月号に掲載されています

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